大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 12月4日 鍵

2013-12-04 22:29:11 | B,日々の恐怖




     日々の恐怖 12月4日 鍵




 昔の家の鍵が不幸のもとだった。
両親が共働きで鍵っ子だったんだけど、11歳まで住んだそのマンションの一室から引っ越す際、4歳下の妹が黙って持ってきちゃったやつ。
 “無くした~”って言って、引越し間際にちょっと騒いでたけど、多分手放したくないが故の嘘だったんだろう。
物心ついたころから住んでた部屋だったし。
 新しい家についてから、その鍵を持ってるのに気がついたんだけど、私も懐かしさから“私も黙ってもってくればよかったなぁ”と思った。
妹に頼んで、時々見せてもらったり触らせてもらったりしてた。
 でも、触ると必ず手を怪我するんだ。
紙でスパッと切る程度の怪我から、ぐらぐら煮えた油がかかる大やけどまで。
おかげで、今も左手の甲が一部変色している。
所持者の妹は妹で、変な病気に罹ったり、クラス内の超問題児&その親に目をつけられたりして散々な目に合っていた。
 で、ある日妹と物凄い大喧嘩をしたことがあった。
上記のような状態が続いていて、家族中がピリピリしてた頃だったから、つかみ合ってお互い泣き叫ぶくらいの激しい喧嘩だった。
 結局、母が間に入って喧嘩両成敗だったけど、妹は根に持っていた。
その頃の妹の口癖は“なんで私ばっかり、なんでお姉ちゃんだけ・・・”。
幼いながらに自分の不運を感じ取ってたんだろう。
今から思うと、すごく可哀想なことだと思う。
 喧嘩から数日経った頃、ランドセル背負って学校から帰る途中、何にもないところで躓いて派手に転び、角を曲がってきたバイクに轢かれそうになった。
ぎりぎりで避けられたけど、運転手には罵声を浴びせられた。
死ぬかと思った。
 それから、まるで妹の不運が乗り移ったように私も変なことになった。
いきなり親しい友人から虐められるようになるわ、それがクラス中に伝染するわ、明らかに被害者こっちなのに、クラス担任は私を目の仇にするわ。
すごく理不尽な理由でテストを0点にされたこともあった。
転んで腕をざっくり切り(なんでそんなに深く切れたのか今でもよくわからん) 、5針縫う怪我したりとか。
 で、不登校寸前までいったある日、リビングに置かれていた私のランドセルを、父がおもむろにいじり始めた。
この父が不思議な人で、真面目で固いバリバリ理系人間なんだけども、妙な勘を発揮する人だった。
 多分、父としては最初は“最近のランドセルどうなってんだ?”くらいの興味だったんだろうけど、 蓋をあけて中にあるチャックを開け、いきなり逆さに振り始めた。
“なにやってんのお父さん?”と生ぬるい目で見守っていたのだが、その時、チャリーンと妹が持っていた昔の鍵がそこから落ちてきた。

「 これ前のマンションの鍵か、なんで持ってるんだ?」

 父がそういった瞬間、血の気がザーッと引いていくのがわかった。
妹が入れたんだ。
鍵に関わるとロクな目に合わないな、とは薄々感じていたけども、その負の力を改めて思い知らされたというか。
 この辛い状況を生み出したのがこの鍵で、妹が入れたのだとしたら・・・。
悪意と恨みを叩きつけられた気がして、ショックすぎて妹を責める気にもなれず、その後その鍵はリビングに放置。
気がついたら無くなっていた。
父か母が捨てたのかもしれないし、戸棚の裏とかに落ちちゃってるだけなのかも。
 ちなみに私の不運は中学入学と同時に自然に解消された。
でも、妹の不運はまだ続いている。
とくに人間関係は悲惨だ。
ひねくれた子だから今まで単に本人の性格が原因なんだろうと思ってたけど、鍵のことを思い出した。


 ついでに、前のマンションですが、私が小学生当時ですでに築20年以上経過しておりまして、 周辺が再開発の手が入り始めた頃だったんで、子供は“お化けマンション”と呼んでました。
 目立つ怪異はなかったんですが、今から思うと“?”なこともいくつか。
7階なのに、どこからともなく猫が入り込んできてて、押入れに隠れていたらしく父の布団がおしっこまみれにされたとか。
また、どこからともなく巨大なザリガニ(多分お隣さんが飼ってたやつ)が、父の寝ている枕の下に侵入し、生臭さで起きた父が激怒したりとか。
 私と母は、よく変な夢を見て飛び起きました。
同じ内容だったことも幾度かありました。
一番怖かったのは、7階に住んでいるのにベランダの柵を越えて、包丁をくわえた人が侵入してくる、という夢です。
母も私も大騒ぎし、父にわ~わ~喚きたてました。
父はかなりうざそうでした。
 その後、一旦沈静化したんですが、妹が変な女のストーカーに会い、(宗教の勧誘みたいだったんですけど、なんで小学一年生を?) 、それがきっかけで引っ越しました。
 バブルが崩壊して、不安定な世相だったんで変な人が沸いたのかな~、と今は冷静に見つめていますが、当時の“お化けマンション”は宗教がはびこり、リストラゆえに出て行く人が後を絶たないカオスな物件でした。















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