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日々の恐怖 12月8日 夏休みの思い出

2013-12-08 20:14:01 | B,日々の恐怖




     日々の恐怖 12月8日 夏休みの思い出




 印象に残る夏休みの思い出って色々あると思うけど、オレの夏休みの思い出といえばこれだな。

 オレが小学二年生の夏休み一日目。
小さい頃からずっと遊び場にしていた近所の神社の境内で、その日も仲のいい友達数人で遊んでたんだ。
かくれんぼだったか、鬼ごっこだったか…。
とにかくオニから逃げる遊びだったと思う。
 そんな遊びをキャッキャ言いながら汗だくで遊んでた。 
オレもオニから逃げてて隠れ場所を探してていたけど、なかなかこれと思う場所がなくってさ。
神社の敷地内からは外に出ちゃいけない決まりだったし、それほど大きくもない神社だったから隠れ場所は自然と限られるし…。

 で、もっと見つかりにくそうな場所はないかと神社の本殿の周囲をウロウロしてると、本殿の扉がわずかに開いているを見つけたんだよ。
いつもは本殿の扉は開かないよう南京錠で施錠されてたけど、その日は何故だか南京錠がされていなかった。

 オレは最高の隠れ場所を見つけたと思って、すぐに本殿の中に隠れたんだ。
外はまだ明るかったけど本殿の中は暗くて蒸し暑くて、それになりよりすごくイヤな臭いが充満してたのを覚えている。
正直あまり長居はしたくなかったけど、こんなところに入れるのは滅多にないことだし興奮もしてたし我慢した。
 本殿の中から扉を少し開けて外の様子を伺っていると、オニの友達が本殿の前でキョロキョロと自分を探す様子が見えた。
その姿がすごくおかしくてクスクス笑いながら覗いてと、その友達と目が合っちゃったんだよね。
 すぐに友達は、

「 なんで、そんなとこにいるんだよ~。」

と笑いながらこっち向かって走ってきた。
 オレの方は思いのほか早く見つかってしまって残念ではあったけど、友達の反応が面白くて逃げることもせず友達が扉を開けるのを待ってた。

 そして、友達が扉の前まで来て勢いよく扉をバン!と開けたんだ。

友達「 ○○くん、見ぃ~つけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」

笑いながらオレの名前を呼んだ。
 友達の表情が一瞬で変わった。
笑顔は一瞬で消えて目を大きく見開き、口は開けっ放しで。

( ゜д゜)? ←ホントにこんな顔してた。

オレを見つけて急に笑顔が消えて固まった友達を見て、オレもワケがわからず戸惑っているとあることに気がついた。
 友達はオレを見てない、正確にいうと顔はオレの方を向いているけどオレを見ているわけじゃなく、オレの後ろ。
しかも、オレの背丈よりずっと上の方を見てる。

“ うしろ・・・・・・?”

なんだろうと思い、振り返ると天井の梁から垂れたロープに首を吊っている女の人がそこにいた。
 一瞬で頭が真っ白に・・・・・。
たぶん、オレも友達と同じく、「 ( ゜д゜)? 、 ( ゜д゜)? 」って顔をしてたと思う。
 どのくらいそうしてたかわからないけど、しばらく放心状態で女の人を見上げていると、急に後ろでバタバタ!と音がした。 
 我に返って振り向くと、無言のままスゴイ勢い走りながら遠ざかっていく友達の背中が見えた。
その姿を見た直後、全身にすごい鳥肌が立って気がつくと自分も無言のまま外へ駆け出してた。
 境内を真っ直ぐ突っ切って鳥居を潜って石段を五段とばしくらいで降りてった気がする。
友達が近所の家に駆け込むのを見て、自分もその家に駆け込んで、家の人に神社で人が死んでることをパニックになりながらもなんとか伝えた。

 後はもう、パトカーは来るわ、神主はステテコ姿で走ってくるわで大騒ぎ。
オレが知ってるのはここまでで、その後のことはよくわからない。
新聞なんかで出てたかもしれないけど、子供のオレには分らなかったし、周りの大人もそのことには触れようとしなかった。
 首を吊っていた女の人がどこの誰だったかはわからないまま、今思い出しても怖いけど不幸中の幸いだったのが女の人が後ろを向いていてくれたこと。
もし、顔なんか下から覗き込んで見た日には、きっと頭に焼き付いて忘れられなかったと思う。














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