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日々の恐怖 12月27日 天井裏

2013-12-27 18:45:04 | B,日々の恐怖


     日々の恐怖 12月27日 天井裏


 昔、5階建てのカラオケでバイトしてた時のお話です。
3階の部屋が客で埋まったら4階に、4階が埋まったら5階にって感じで部屋を回すのがお決まりだった。
 一つでも部屋を使うと最後に閉めって言ってそのフロアを全部掃除しなきゃいけないもんで、3階が埋まってても5分ぐらいで部屋が空きそうなら、「今満室なんですよー5分程…。」って感じで、客待たせて4階を使わないようにする努力してた。
流石に待ちが二組以上だったら、4階開放してたけど。

 その日は平日だってのに、めずらしく4階まで埋まってて、出てくるような客もいなかったから仕方なく5階を開放した。
つっても、5階に入ったのは父母子供二人の4人家族一組だけ。 
 んで、部屋案内して1時間ぐらいたった時かな。
その家族部屋から苦情が来た。
何やら5階を走り回る子供がいるらしい。
インターホンに出た店長はすぐに注意しにいきますのでってな感じで謝ってた。
 んで、店長が部屋の人数とか年齢をチェックしたんだけど、5階の家族部屋以外に小学生以下の子供がいるような部屋は無かった。
俺らにも、

「 今日って子供入ってたっけ?」

って聞いてきたけど、

「 今日は子供入ってないっすね。」

って感じで返した。
取りあえず3、4、5階見回りしたけど子供は見つからなかった

「 やっぽ子供はいないですねー。」

って報告してたらインターホンがなった。
もちろん家族部屋から。
 曰く、子供が益々騒がしく走り回ってるとのこと。
こりゃまいったなーと思い、取り合えずお飲み物でも出そうって事になった。

「 申し訳ありません、これ、サービスになります。」

って飲み物渡して一階に下りると店長が、

「 ちょっとフロント見てて、俺上言ってくる。」

って小走りで上行った。
 まさか5階か、なんて思ってたら、家族部屋からトゥルルルって…。
出てみると店長で、

「 N(俺)ちょっと脚立と懐中電灯もって、部屋きて。」

って頼まれた。

「 うほっ!」

て思いながら脚立もって5階の家族部屋に行った。
 部屋につくと何やら店長と父親が話してた。
上見ると、普段は鍵がないと開けられない天井裏に行くためのドアが開いてた。
蓋がプラ~ンとなってて、溜まった埃がフワフワと降ってきてる感じだった。
汚ねぇ~、って思った。

「 N、脚立押さえてて。」

って言うと、店長が脚立に上がってそこの穴に上半身突っ込んで何やら点検してる感じ。

「 鍵が壊れちゃってるみたいですね~、申し訳ありません・」

って、店長が申し訳無さそうに言った。
 しっかし子供がうるさいわ、天井のドアが開くわ、でこの家族も災難だな、今日は料金頂くわけにはいかないな、とか考えてた。

「 どこの部屋の子かしら、親御さんは心配してないかしら?」

って子供二人に抱きつかれた母親が俺に聞いてきた。
天井の事で文句言われると思ってたから反応が遅れた。

「 3階の方かもしれないですね(嘘)、あはは・・・。」

って感じで返してたら、

「 どうやって上がったのかしらね、そんなに簡単に上がれるものなんですか?」

って言われた。

「 エレベーター以外にも階段がありますから、なので階段を使って上に来ちゃったんじゃないですかね。」

と返した。
一呼吸おいて父親が俺に向かって言った。

「 歌ってたら急にバン!って上の蓋が勢いよく開いて、ビックリして(家族四人共)上見たら知らない子供が頭出して部屋を覗いてたんですよ。」

“ ゾワっとしたわ!
ブルっとしたわ!
おいマジかよ。
店長言えよ。
馬鹿、こえーよ。
俺、早く下戻りてーよ・・・。”

って思った。
 母親が、

「 私達ビックリしちゃってしばらく何も言えずにじーっと見詰め合ったんです。」

父親が、

「 ボク危ないよ?って言おうと思ったらスっと顔引っ込めて逃げちゃったんです。」

そのとき俺には、

「 うううううう~!」

って子供のような声が聞こえた。
今思えば、あれは俺の心の声だったのかもしれない。
 店長が、

「 誠に申し訳ありません、すぐ別の部屋を用意させて頂きます。」

と言うと俺に別(3階か4階)の部屋に案内するよう指示した。
 飲み物などは全てそこに置いて新しい部屋に案内し、

「 今回は御代の方は結構ですので。」

と新しく飲み物をサービスした。
思わぬ展開に家族は喜んでた。
思わぬ展開に俺はブルってた。
 5階の部屋に指示通りやった事を報告しに戻ると、店長がニヤニヤしながら、

「 こえええ~~~~~!」

って言ってきた。

“ 俺もだ、馬鹿・・・・。”

って思ってたら、

「 いやさ、鍵壊れてるつったけど、実は鍵壊れてないんだよね、うはは!」

って。
俺はあの時、チビったのかな?
どうやら何とか誤魔化そうと鍵が壊れてるって事にしたらしい。
 上半身穴に突っ込んでるときは、正直、

“ やべええ・・・、こんなとこ覗きたくねぇ・・・・。”

って思ったとか。
 取りあえず蓋閉めて、鍵閉めなおして、部屋片付けてフロント戻った。
何がこえーってさ、俺思い出したんだよ、店のルール。
一部屋でも使ったらそのフロアは掃除しなくちゃいけないってこと。
一人で、店を閉める夜中の3時付近に・・・。
 店長が何か言いたそうに、じ~っとこっち見てたのを覚えてる。
俺は0時で帰った。

 翌日、出勤すると店の中はその話題で持ちきりだった。
何やらあの後、遅番の人が5階閉めに行ったら天井のドアがまた開いてたらしい。
技術専門スタッフに来るよう本社に連絡入れた後、しばらく5階に客は入れなかった。














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