大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 5月15日 床下(2)

2016-05-15 18:08:30 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 5月15日 床下(2)



 職人さんが何かに気が付いて、私ももう一度床下の擦り跡を見ると、擦った跡は一筆書きの様に一筋に連なっているようでした。
そして、その一端は先程拾い上げた人形の置いてあったところで止まっていました。
 私は、きっと前に施工に入った(もしくは建築当初の)業者が、床を塞ぐ前に仕掛けた悪ふざけだと思い、悪趣味なことをするものだ、と呆れていました。
取り敢えず作業を進めないとならないので、人形は出窓の上に置き、仕事を再開しました。
 結局、全て床を取り除いて躯体の隙間を探したが見付からず、一部防音材が入って無かった事が原因による、躯体とフローリングの間に出来た空間が他部屋の音を反響させたのではないかと結論付けました。
 夕方になり、家主の奥さんがパートから戻り、作業をしている私達の部屋に挨拶に来ました。
しかし、部屋の入り口に来るなり、そこの前で立ち止まりました。
どうやら出窓に置いてある人形を見て、硬直したように立ち竦んでいるようでした。
この時私は、部屋の入り口付近で作業をしていたのですが、奥さんが、

「 なんで、ここに?」

と、か細く呟いたのを聞き逃しませんでした。
 人形は今回剥がした床下に以前から放置されていた事を説明し、残材と一緒にこちらで処分する旨を伝えたところ、人形は自分らで処置したいので譲って欲しいと言われました。
断わる理由も無いので、私は出窓から人形を取り、奥さんに渡そうとしたときでした。
私の手から人形が逃げ出しました。
 逃げ出した、と感じたのは、明らかに手のひらの中で小さな突起物の様な感触が二つ、ぐいっと中から押されるのを感じたからです。
抱き抱えた子供がイヤイヤをして両腕を突っ張ねるような感じに似ていました。
 人形はそのまま下に落ち、奥さんの足下まで転がって行きました。
突然の出来事で私も動揺しましたが、奥さんは私以上に動揺なされたみたいで、小さく悲鳴を上げてその場でへたり込んでしまいました。
驚かしてしまった事を謝罪しましたが、奥さんは無言のまま人形を持ってふらふらと他の部屋へ入られてしまいました。











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