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日々の恐怖 5月13日 東京暮らし(7)

2016-05-13 18:52:01 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 5月13日 東京暮らし(7)



 10年程前、アパートが新築して1年半経った時に、若い夫婦が引っ越してきたそうだ。
ほどなくして、その夫婦に子供が生まれた。
 だが、しばらくして旦那が事故で亡くなり、奥さんが一人で育てていたんだが、育児ノイローゼか旦那の死がショックだったのかわからないが、1才にも満たない赤ん坊と共に餓死して死んだそうだ。
 社長は、

「 保険金も入ってて家賃も滞納してないのに、餓死で死ぬなんてありえないんだけどね。」

と言った。
 俺は頭にきた。

「 なんでそんないわく付きの部屋を貸すんだ、説明も無しに酷いだろうが!!」

そこで、社長は言い訳にもならないことを言った。

「 いや、2年程前に御祓いをして、それ以降現れなかったんで・・・・。」

あきれて言葉が言えなかった。
 だが、落ち着いて考えてみれば、俺は今日地元に帰るんだし二度と部屋には行かない。
あの部屋に帰るのは、あの憎い上司だけだ。

“ ざまぁみろ、呪い殺されてしまえ!”

その時は、本気でそう思った。
 俺は社長に、この事は誰にも、上司にも話さないでくれと念を押し、部屋の鍵を渡した。
そして俺は、

「 鍵がかかってないんで、オタク達でかけてください。
鍵は俺の上司に連絡して、俺から受け取ったと報告しといてください。」

と伝えて不動産屋を出ようとした。
 扉を開ける時に社長が独り言の様に呟いた。

「 でも、おかしんですよね。
出るのは3階じゃなくて4階なんですけどね。」
「 じゃあ、アパート全体に御祓いをした方がいいですよ。」

俺は、そう言い残して外へ出た。
 地元に帰った次の日、会社に出勤して課長に事の顛末を話し、10万は後日、返してもらった。
もちろん、恐怖体験は言ってない。
 そのとき、俺は確信していた。

“ アイツ、絶対、呪い殺されるぞ。”

ところが、その後の上司は、本社にやって来て俺の斜め前の席で、今も元気に仕事をしている。
 俺はアイツを見る。
アイツはニヤッと笑った。












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