大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 5月16日 床下(3)

2016-05-16 21:15:45 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 5月16日 床下(3)



 私達はまた作業に戻ったのですが、奥さんは誰かと電話で話をしているらしく、部屋から時折、

「 私だって分からないわよ!」

とか荒げた声が聴こえて来ました。
 予定内の作業も無事終え、そろそろ終業しようとしていると、今度はご主人が帰宅されました。
ご主人は私達に会釈程度の挨拶をし、そのまま先程奥さんが入って行った部屋に慌てた様子で入って行きました。
 今度はご主人の荒げた声が響いてきました。
細かい内容は勿論聴こえては来ませんが、

「 なんで、なんで!」

とご主人の荒げた声と、奥さんのすすり泣く声がこちらまで聴こえて来ます。
 職人さんと顔を見合わせ、どうしたものかと成り行きを案じていると、ご主人が部屋から出て来られました。
急用が出来て家を留守にするので工事を3、4日ずらして欲しい、との相談でした。
 こちらでの改修工事後に別現場の改装工事があったので、営業から連絡をさせ、再開については再度打合せをお願いしました。
そして、この日を最後に再びこのお宅に伺う事はありませんでした。
お客様との連絡が取れず、ご近隣の方に事情を説明したところ、どうやら行方不明だそうでした。
 月日は流れ、あの時、何故、あの夫婦が怯えていたのか、私には分かります。
結論から申し上げると、あの時の人形は、今、色々な経緯を経て私の手元にあります。
 ここ数年、色々なことが起こり過ぎて、私もさすがに負けそうです。
明日、イチかバチか川に流そうと思います。
それでは、体調が良い時にまたお話をさせていただきます。

その後、連絡は途絶えたままとなっています。











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