大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 5月11日 東京暮らし(5)

2016-05-11 18:59:21 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 5月11日 東京暮らし(5)



 玄関扉はスチール製で形は昔の市営や県営住宅を想像してもらえばわかると思う。
やや中心より下にポストの差込み口があり、部屋内側は受けの箱が格子状になっている。
差込口から中の鍵までは、目視できない。
 角度的に、どーしても格子の隙間から玄関の床タイルしか見えなかった。
それでもハンガーの先を手探りで鍵に合わせ様とする。
 ガチャガチャと音はするものの、手ごたえは感じられない。

“ くそっ!どーなってんだ!?”

焦りがピークに達した時、チャカッと手ごたえがあった。

“ やった、とれたか?”

慌てない様に慎重に引きぬく。
 鍵がそろそろ見えるくらいの時、確認のためポストを覗いた、その時だった。

“ えぇっ??”

格子の隙間から玄関タイルが見える。
が、そこを何かが横切った。
 一瞬のことだったが、赤ん坊に見えた。
ぷっくりとした右足と右横腹、ハイハイをしている赤ん坊を想像した。

“ いやいやいや、ありえんやろ?”

躊躇はしたが、時間も無いし、金も惜しい。
意を決して鍵を抜き取り、鍵を開けた
 スチール製の扉は、重そうな音をたてながらゆっくりと開いた。
恐る恐る半分逃げ腰で中を覗く。

“ 大丈夫だ、何もいない・・・・。”

内心ホッとして、勢いにまかせて扉を開き中に入った。
ダイニングのテーブルの上の封筒を確認する。
 靴を脱ぐのもそこそこに、半分土足ぎみにテーブルに駆け寄る。
封筒を手に取り中を開く。

“ あった、よかったぁ。”

あるのは当たり前なのだが、この時は何故か安心した。
 10万を封筒に残し、残りの金をサイフにしまう。

“ これで忘れ物は無いな・・・・。”

と思って何気に自分の部屋の方を見た。

“ うわっ?!”

腰が抜けそうになった。
 俺がさっき部屋を出た時に磨りガラス障子を閉めてたんだけど、そのガラス越しに誰かが立っている。
いや、正確には、白い人型が立っていた。
 輪郭からして背丈は150~160ぐらい。
体部分は白い服っぽい。
頭部分と思われる所は輪郭がアヤフヤだが黒髪で長いのか短いのかわからない。
それが俺の部屋の窓からの光でボヤァと浮かびあがってる。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------