昼はあれほどにぎわった リアルト橋にも
初冬の寒さが忍び寄る 夕刻には
本来の静けさが 蘇る
橋から見下ろす カナルグランデ
夕陽のなごりがもたらす光で 水面は
燃えるような朱に 染まり
周囲に波動の揺らめきを 広げて行く
音もなく進む 一隻のゴンドラ
昼でも黒い船体は 夕暮れにはなお一層
その色を濃くし 闇という衣をまとって浮かぶ
まもなく夜が襲い来る ほんの少し前
運河に浮かぶ 孤高のゴンドラは
静寂の紅に満たされた 運河を越えて
はるか彼方への旅を 始めるのだろうか
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