極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

湖岸でのクロックムッシュ

2022年06月19日 | びわこ環境

  

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」 



【男子厨房に立ちて環境リスクを考える】

スペインバルでおなじみの、アヒージョ。 小さなカスエラ(陶製の器
)で具材をオイル煮にして、まだ油がくつくつと沸いているところを
サーブする"アツアツ"のタパス----スペイン人の生活に欠かせない居
酒屋兼軽食堂、バル(bar)で供される小皿料理の総称。午前11時頃と夕
方以降の間食として、生ハム、魚介や肉の網焼き、サラダ各種、貝や
野菜の酢油漬けなどをワインと一緒に楽しむ。ピンチョスは、タパス
のおつまみ版。一口大の料理を楊枝に刺したりパンに乗せ、手でつま
んで食べられるように作られる(英語でフィンガーフード)。発祥はア
ンダルシア地方だが、近年スペイン各地や外国でも専門店ができ、と
りわけ、スペイン・カタロニア地方にあるレストラン「エル・ブジ」
のオーナーシェフ、フェラン・アドリアは、伝統のレシピを新解釈・
再構築して新たなスペイン風味を創り出し、フランス料理やイタリア
料理にも影響を与える----オイルのベースは、にんにく、とうがらし、
オリーブオイル。香ばしくて、おいしさストレート。しかもこの"ライ
ブ感"がたまらないとか。


9:00~16:00(ラストオーダー15:30)
ジュブリルタン
J'oublie le temps 
                                                         * * * *
ローストポークのクロックムッシュ Croque-monsieur de porc rôti
自家製のベシャメルソース、ローストポーク、ゴーダチーズを使用し
たホットサンド。
サラダ・ドリンク付き 

⮚ 今年も、『鳥人間コンテスト』が準備に入っています。ただ、仮設艀は沖
 合に向け延伸されていると、お店の方に
うかがいました。(Jun. 19. 9:30)


1.ツルウメモドキ 2.ニシキギ 3.マサキ 4.マユミ
5.ツリバナ

【樹木×短歌トレッキング:
マユミ】

      南淵の細川山に立つ檀弓束纏ゆづかまくまで人に知らゆな   
   
                               万葉集巻7-1330 詠人不詳

【解釈】南淵(みなぶち)の細川山のマユミの木よ、大きくなって弓
が作れるほどになるまで人に知られずにいて欲しいというもの。当時
から貴重な弓材として知られ、大切にされていたことがこの歌からは
うかがえる。なお、若葉と実は食に饗される。



 

マユミ(檀・真弓・檀弓、学名:Euonymus sieboldianus var. sieboldianus
とは、ニシキギ科ニシキギ属の木本。別名ヤマニシキギ(山錦木)、
カンサイマユミ、オオバマユミ、エゾオオバマユミとも呼ばれる。和
名の由来は、昔この木から弓が作られたことに因む。日本と中国の林
に自生する。秋に果実と種子、紅葉を楽しむ庭木として親しまれ、盆
栽に仕立てられることもある。日本の北海道・本州・四国・九州の屋
久島まで、および日本国外では南千島、サハリン、朝鮮半島南部、中
国に分布する。丘陵地や山地、山野に自生。丘陵から山地の疎林や林
縁などに生える落葉小高木で、幹は灰褐色で、老木になると縦に筋が
入る。葉は長さが5~15センチほどの長楕円形で、縁には細かい鋸
歯。両面とも無毛で、短い柄を有し、対生する。花期は5月から6月
ころで、本年枝の葉の下の芽鱗痕の腋から短い柄を有する集散花序を
出し、小さな花をまばらにつける。花は直径1センチほどの緑白色の
4弁花。実はニシキギ(錦木)と同じ蒴果で、直径1センチほど。秋
が深まるころ淡紅色に熟し、熟すと4裂して、艶のある橙赤色の仮種
皮に包まれた種子を見せる。東吉野村の高見山(1248メートル)には
高さが10メートルに及ぶ古木も見られる。象牙色の材は緻密で堅く、
木工に適し、将棋の駒やこけし、玩具に用いられる。また、枝のしな
りがよく、昔から上質の弓材にされたことは有名で、この名がある。
『万葉集』の歌にもこの弓材に関して詠まれる。




【ポストエネルギー革命序論 450: アフターコロナ時代 270】
 現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
技術的特異点のエンドレス・サーフィング
     再生可能エネルギー革命 ➢ 2030 Ⅴ



 ハルバッハモータ時代
昨年9月,日立製作所と日立Astemo(日立アステモ、東京・千代田)は
電気自動車(EV)向けの小型軽量インホイールモータ(IWM)---モー
タの構造を見直したほか、インバーターやブレーキと一体化したこと
などで小型軽量化し、電動車両用のモータとしては 2.5kW/kgという
世界最高水準の出力密度を実現----を開発したことを公表。これによ
りモータの構造を見直したほか、インバーターやブレーキと一体化し
たことなどで小型軽量化し、電動車両用のモータとしては、2.5kW/kg
という世界最高水準の出力密度を実現。これまで日立グループで培っ
た鉄道、エレベーターなど広範なモビリティ分野の技術開発や製品化
実績に基づき、インホイール式のEV向けにモーターとインバータ、お
よびブレーキを一体化した小型・軽量のダイレクト駆動システムを開
発し。開発した技術の特長は以下の通り。
【要点】
1.ハルバッハ配列磁石と扁平コイルにより、世界トップクラスのパ
 ワー密度を実現----モータ駆動力を向上には磁極数の増加が効果的
 だが、有効に使える磁束の割合が低下する課題や、コイルの溶接箇
 所と溶接スペースが増大する課題があるが、磁石をハルバッハ配列
 にすることで、磁極ごとの有効磁束を増加させて駆動力を高めると
 ともに、ビーム溶接*5などによって扁平なコイルを高密度に配列す
 ることでモーターを軽量化し世界トップクラスのパワー密度2.5kW/
 kgを実現。これにより、開発したEVではホイール内の重量増加を大
 幅に抑制し、従来のインホイール式で課題だった重量化に伴うエネ
 ルギー消費量の増大を回避できる。 
2.モータ、インバータ、ブレーキを一体化したダイレクト駆動シス
 テム----従来のモーターはパワー密度が低く、十分な駆動力を確保
 にはホイール内部のスペースが占有され、既存のブレーキやサスペ
 ンションの流用が困難であった、インバーターを構成するパワー半
 導体に冷却水が付着し漏電防止に、電気的に絶縁された専用の冷却
 水路のスペースを、小型・軽量化したモータにブレーキとインバー
 ターを一体化し、絶縁性の高い冷却油でパワー半導体を直接冷却し
 たあと、そのままモータに循環してコイルも直接冷却することで、
 冷却配管のスペースを大幅に削減した。これにより、サスペンショ
 ンなどの既存構造を大きく変更せずに、ホイール内への搭載を可能
 とした。 


掲載している理由(わけ)は、4月に亡くなった実弟の家族葬の折、
義理の甥と仕事の事業開発プロジェクトリーダ(東京の某電動機メー
カ勤務)の話しに及んだとき、ピントくるものがあり、気になってい
た「ハルバッハモータ」の最新開発情報を今回整理する(彼にはその
ことは伝えていない)。



【関連特許】

❏ US7151355B2 電気モーター駆動システム、電気四輪駆動車、ハ
  イ
ブリッド車 日立製作所
【概要】
電気四輪駆動車には、次のものが含まれる。DC電力を出力するための
発電機。発電機から出力された直流電力を交流電力に変換するための
インバータ。 後輪を駆動するためのインバータによって駆動される
ACの場合、電動機制御装置は、AC電動機の損失が負の出力を超えるよ
うに、AC電動機に印加される電流を制御する。AC電気モータはこれ
により、AC電気モータは熱損失の形で過剰な電気エネルギーを吸収で
きる。

✔ 日本の独壇場のようなシーンを見ているようですね。頼もしい!
  それにしても、時間速度が速いというのも飽きましたね。だから
  こそ、Say、”J'oublie le temps ”ですか。


【ウイルス解体新書 124】


序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第3章 パンデミック戦略「後手の先」



終 章 「新冷戦時代」という神話 

危機の後遺症
 テグネル局長のインタビューからもうかがえる、新型コロナ危機に
ついての第二の教訓があります。それはこの危機そのもの、もしくは
危機の後遺症とは、われわれは長期にわたり付き合わなければならな
いということです。X年X月にコロナワクチンが実用化され、国民に
次々に接種される。それによって台風一過のように、コロナが覆って
いた闇が、ある日すっかり消えてなくなる・・・そのように簡単には 問
題は片付かないということです。
 今年5月に発刊されたThe Covid 19 (jarastophe‐What’s going wrong
and how to stop 
happenmg agamという著書で、医学雑誌「ランセット」
のリチャード・ホートン編集長は、次のように述べています。

 「われわれの生活はワクチンができるまでは、いや、もしかしたら
それができた後も、正常には戻らないかもしれない。ワクチンは『魔
法の銃弾(Silver Bullet)』ではない。それが完全に有効であるとは
考えられず、すべての国民に適用されるとも考えられない。新型コロ
ナはわれわれにとって、人生の一つの瞬間と、別の瞬間との間の超え
られない垣根となるかもしれない。二度と元には戻れないのだ」

 完璧なワクチンの製造が困難だとすれば、新型コロナ危機の影響が
長期化する可能性が出できます。しかし、危機の影響が長閲化する可
能性は、他にも潜んでいます。たとえば心の問題」です。今年6月に
発表されたバリー・アイケングリーンたちによるワーキング・ペーパ
ーは心の問題、「感染症による心理トラウマ」をテーマにしています。
(Cevat Giray Aksoy, Barry Eichengreen,0rkun Saka NBER Working Paper
N0. 27401 1ssuedin June 2020
)。
 人生には「多感な時期」があります。その時期に起こったことが、
その人の人生観や社会的意見を決定づけるのです。この「多感な時期
」は、18歳から25歳までとこの論文では想定しています。
 論文は、二つのデータベースを活用した実証研究です。一つのデー
タベースは、140カ国をカバーする、国民の政治認識についての世論
調査。これにより、ある時点で、どのような国民が、政府の政策にど
れだけの「信頼」を置いているかを、140カ国について見ることがで
きます。データベースがカバーするのは、2006年から2018年までの時
期です。
 もう一つのデータベースは、1970年以降、世界で起こった感染症を
合む「災害」についての詳しいデータベースです。感染症の場合、感
乗率等の「深刻度」、たとえば感乗率や感染死亡率をデータベースか
ら読み取れるようになっています。
 この二つのデータベースを使うと、たとえばX年に「多感な時期」
に合まれる年齢層(18歳~25歳)にいて、深刻な感染症を経験した世
代が、X十10年という時期に、政府に対してどれだけの信頼を持って
いるか、といったことが調べられるわけです。これを、感染症を経験
しなかった別の国の同じ年齢層の世代と比べれば、感染症が政府に対
する信頼度にどれだけ影響したかが分析できます(もちろん政府に対
する信頼度には、国ごと、時期ごとの違いもありますから、統計的に
そういう要因を制御する必要があり、著者たちはそれを行っています)。
論文の重要な結論は、「多感な時期」において感染症の発生を経験す
ると、政府に対する信頼度が低くなるということです。「多感な時期
」に最も深刻な感染症に直面した世代は、政府に対する信頼度を7.2%
も低下させるという強い結果が得られています。
 また、信頼度の低下は長期(15年以上)にわたり続き、支特車が低
い「弱い政府」の下で発生した感染症の場合、支持率の低下はさらに
一層深刻といった結果も得られています。
 過去の感染症のデータセットの中には、今回のコロナほどの深刻な
感染症の事例は合まれていません。コロナ危機が国民の心理、とくに
「多感な時期」にコロナに直面した世代の、政治に対する意識を変え
る影響力は甚大だと思います。感染対策を誤って、死亡率が跳ね上が
ったり、経済が崩壊したりした国では、政治が機能停止に陥ることさ
えあるのではないでしょうか。われわれの人生が「コロナ前」と「コ
ロナ後」に二分されるかもしれないという「ランセット」のホートン
編集長の思い描く将来像は、心理的な影響から考えても実現する可能
性があるわけです。

世界経済への影響は
 もし、新型コロナの影響力が長期にわたり続くものだとしたら、世
界経済と世界の仕組みは、どのように変わるでしょうか。本書の最後
に、この点を検討したいと思います。世界の仕組みの変化というのは
、米中対立の行方と言い換えても良いかもしれません。それくらいア
メリカと中国が、現在の世界の要であると同時にウィークリンクにな
っているのです。
 コロナ危機が長引いた場合の経済への影響から考えてみましょう。
結論から言えば、自国通貨建てで国債が発行できる国の場合には、コ
ロナ不況に対して有効なマクロ経済政策が取れると考えています。コ
ロナによって営業の自粛が必要となるサービス業などに経済的な打撃
がないわけではありません。しかし、その打撃を政府の援助で緩和で
きるのです。
 「自国通貨建てで国情を発行できる」ことがなぜ重要かというと、
そういう国では政府がコロナ危機の生む困窮者を援助するために国債
を発行した場合、あとで中央銀行が通貨を発行してその国情を回収で
きるからです。この結果、実際上は通貨、つまり満期もなく、金利支
払いも必要ない公債(現金)の発行により、困窮者を援助できます。
 困窮者の援助のために通貨の発行を続ければ、インフレになりそう
なものですが、困窮者が増える状況では、彼らの所得が減少すること
によって、国内総需要は減少します。国内総需要の大きな減少が起こ
ると、失業煮が増加し、生産設備が遊休化します。現にアメリカの失
業者数は一時4000万人に達しました。これは国全体としての総供給能
力が、総需要を大きく上回る状態、つまり二国として、まだ財・サー
ビスが供給できるのに、需要が足りないためにその供給ができない状
態が発生することを意味します。
 こういう需要不足の状態では、生産者は価格を上げるわけにはいき
ません。その結果、インフレではなく、むしろデフレが発生する危険
が高くなるのです。それゆえ通貨の発行を続けることで、困窮者の生
活を援助すると同時に、失業に歯止めを掛けたとしても、少なくとも
当面はインフレをさほど心配せずに済みます。
 本書の冒頭においたトーマス・リードの言葉、つまり社会の崩壊が
、その社会のて甫脆い部分が崩れることから起こるという洞察に照ら
し合わせて考えると、財政政策と金融政策を組み合わせた、困窮者に
対するこのような有効な借着が可能な事実は、自国通貨建てで国債が
発行できる国にとって大きな助けです。もし、それが不可能だったら、
本当にその社会は、脆い部分から壊れていきかねないからです。それ
にしても通貨の発行によって経済を支えるような財政・金融政策は、
20年前なら反対論が続出して、大論争になったでしょう。ところが、
2008年にリーマンショックが起こって以来、日本、欧州、アメリカと、
低インフレの下でゼロ金利政策を延々と続ける国、地域が増え、この
ような財政・金融政策がビジネス・アズ・ユージュアル(常態)にな
ったので、現在では議論さえあまり起こりません。
 中央銀行が通貨を発行して国情を購入し続けると、資金(通貨)を
調達することがますます簡単になり、公刊ゼロでさえも資金が調達で
きるようになります。中央銀行のゼロ金利政策が生み出すのは、その
ような状態です。こうした状態では、政府は金融市場からではなく、
中央銀行から受け取った資金で公的支出ができる。つまり財政政策と
金融政策の垣根がなくなるのです。
                        この項つづく

【今夜も読書三昧:未来の税制考】


河出書房新社(2021/09発売)

サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
商品コード 9784309228303 NDC分類 345.1 Cコード C0022
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第18章 データ----税務当局の新たな味方

  ジョン・ペリー・バーロウが「サイバースペース独立宣言」で述べ
たとおりである。政府は「われわれが恐れるような強制力を持だない
……。サイバースペースを構成するものは、われわれのコミュニケー
ションの網の内に、定常波のようにずらりと並ぶ交流、関係、思考そ
のものである。われわれの世界はどこにでも存在すると同時にどこに
も存在しないが、実体ある人びとの暮らす場所には存在しない……。
おまえたちの所有、表現、アイデンティティ、運動の法律上の概念は、
われわれには適用されない。それらはすべて物質に基づくものだが、
ここに物質は存在しないのだ」
 世界各国の法制度の均質化が実現するのは、グローバル化された無
形のデジタル経済に対する課税の問題に、実行性ある解決策を考案し
てからのことだろう。それまでは分裂状態が続き、国ごとにさまざま
な方法を試すと思われる。
 徴税業務そのものは、現行の制度のもとで実施されているよりも冷
酷に、侵害的に、攻撃的になるだろう。税務調査では、会計士、弁護
士からファイナンシャル・アドバイザーまでの誰もが情報開示を求め
られることになる。政府は金欠状態である。だから、そうするしかな
い。だが、扱いは公平にならないと思われる。ある対象(有形経済)
は、その他にくらべて目をつけられやすいのだ。おそらく、不正行為
よりも、うまく機能するシステムを発見することに力を注ぐべきであ
。そういうシステムが見つからなければ、政府の役割を考えなおさ
ざるを得ない。政府の仕事を減らさなければならなくなる。

第19章 税制の不備

      税金がかかるとなれば、同じ収入額であっても、公正な
      人はより多く、不公正な人はより少なく支払うことにな
      る。還付合が出るとなれば、公正な人は少しももらわず、
      不公正な人は得をする。
                    プラトン(紀元前380年)

  今日の社会民主主義は、ある原則を土台にする。政府は、国民の保
護のみならず、富の再分配とライフチャンスの均等化----つまり市場
経済の不平等の相殺を役割にするというものだ。困難だが、その指標
としてもっともよく使用されるのは平均余命と乳児死亡率である。イ
ギリスでは現在、富裕層と貧困層の平均余命の差がかつてなかったほ
ど大きく、最貧困層の乳児死亡率とその全国平均の差も、やはりたい
へん大きくなっている。
 健康格差の拡大はイギリスのみで見られる特異な現象というわけで
はない。アメリカでは、中間世帯所得が年間2万5000ドル未満の地域の
平均余命は、年間5万3000ドル超の地域よりも約14年短い。これら2つ
の地域が隣りあっていても、裕福な地域の住人は、より貧困な地域の
住人にくらべ、余命が30%以上長くなっている。
 それから、機会格差というものがある。世界のさまざまな国で、私
立学校で教育を受けた人のほうが、公立学校で教育を受けた人よりも
優れた能力を発揮している。イギリスの場合、私立学校で学ぶのは全
生徒のたった7%だが、彼らは最高位の職業の過半数を占めている。た
とえば、医師全体の61%、判事全体の七四%が彼らなのだ。
 この格差のほとんどは、税と通貨の制度に原因があるといえる。
 たとえば、富の不平等である。富をほとんど持だない人、とりわけ
社会に出たばかりの若者ならば、頼みは自分の労働のみとなる。だが、
労働には重い税金がかけられ、定期的に取り立てられる。その理由の
一つに、所得税は徴収しやすいということがある。しかし、労働に重
い税金がかけられている場合、立身出世のため自分の労働のみを頼み
にする人びとの可能性が制限されてしまう。
 しかしスーパーリッチは、たしかに勤勉に働いてきたのかもしれな
いが、賃労働の結果としてその立場にたどりついたわけではない。た
だし、稀ではあるが例外もある。とんでもなく報酬の高い、たとえば
多国籍企業のCEOやスポーツ選手などだ。多くの場合、事業の拡大、
資産----住宅、土地、会社、株式、債権、美術品など----価値の高騰
によってスーパーリッチになっている。所得とは異なって、こういう
資産は毎年税金を取られることがない(私は、毎年取るべきだといい
たいわけではない)。売却の際にも(そういうときが来ればの話だが)
売却益にかかる税率は比較的低いことが多い。たいていは、売却でき
てもそうしないか、売却益が諜税対象利益にならないよう、再投資に
よる回避作戦を取るかのどちらかである。

 要するに、ある集団----労働者たち----は、より高い割合の税金を
納めている。所得と資本は同じように課税されるわけではなく、そこ
に格差が生じる。アメリカの資本・労働比率は、1960年代から金融危
機後までの期間に、67対33から56対44に下がっているいいかえれば、
労働の相対的価値は劇的に低下している。自動化によって雇用が失わ
れれば、さらに下がるだろう。二元的な課税制に不平等が内在するこ
とは明らかなのだ。
  インフレ税も勝者と敗者をつくる。実際、インフレ税は資産----不
動産、会社、株式、さらには美術品や骨とう晶----を所有する人びと
に恩恵をもたらす。通貨の価値が下がれば、こういう資産の価値が上
がりやすいからだ。それと同時にインフレ税は、給与や貯蓄を頼みに
する人びとに損失をもたらす。
 彼らが稼いだ通貨の価値を引き下げる一方、彼らが買いたがる資産、
とりわけ住宅の価格を、手が届かないほど高く引き上げてしまうから
だ。ビジネスパーソン階級はこの両面で打撃を受ける。
 税制は人びとを平等に扱わない。不利になる人もいれば、得をする
人もいる。だからこそ、資産の保有に目を向けるようになった経済国
は数多い。われわれの税と通貨の制度は、実は不平等を引き起こして
いる。この先、ますます権利を奪われている中流階級と労働者階級が、
ますます偏向を募らせている。税負担を文句もいわずに引き受けつづ
けるとは思えない。このままでは、社会不安、政治不安がいっそう大
きくなると考えられる。健康と教育の格差についての考察は、本書の
趣旨からは外れている。公営の教育制度や医療制度にうまくいってい
る例はたくさんある。そして、嘆かわしい例もそれと同じくらい見つ
かる。しかし、これらの格差をめぐって延々と議論が続いているのは
それだけ不満が高まっている証である----食料品、衣料品、ITなど、
政府が供給にそれほど関与していない経済領域においては、そこまで
のことはない。
 解決策としてしばしば提案されるのは、医療、教育、福祉にもっと
多くの予算を割りあてることだ。偶然かもしれないが、第二次世界大
戦以降のイギリスで、健康格差がもっとも関いた期間(1997年から20
07年)は、NHSの医療費の対GDP比がもっとも大きくなった期間
でもあった。たんに金額を増やしても、それで解決するわけではない
と思われる。
  その逆に、医療や教育などのサービスの費用を税金で賄うのをやめ
たらどうなるだろう? 徴収するはずだったお金を国民に取っておい
てもらい、その使い道を決めさせたら? 医療、福祉、教育は人間の
基本的なニーズである。なくなることはないはずだ。19世紀の共済組
合は、当時としては素晴らしい成功を収めていた。それらは、政府か
らの援助なしに、たいへん組織的に始まった。今後、共済組合の21世
組版が立ち上げられることも考えられる。

アダム・スミスの四つの規範
 『国富論』で、アダム・スミスはすべての税制の基礎とするべき四
つの一般原則を提示した。この本が出版されたのは.1776年だが、こ
れらの原則は現代にもあてはよる。スミスいわく、第一に、課税は公
平でなければならない。市民は「それぞれの能力に応じ、政府を支え
るためにできるかぎりの拠出をする」。すでに概略を述べたとおり、
いまは所得税とインフレ税の負担がたいへん大きいため、この原則は
守られていないと考えられる。
 インフレ税などの目に見えない税金は、スミスの第二の原則にも違
反している。「支払いの時期、方法、金額は、納税者にとって明瞭か
つ平易でなければならない」。インフレをわきへ置いても、現代の税
制は----香港やシンガポールなどの例外はあるが----明瞭でもなけれ
ば平易でもない。いまいましいほど複雑である。なかでも 2万1000ペ
ージに1000万語が詰めこまれた、世界最長の税法典を擁するイギリス
は、世界最悪の違反者だ。ちなみに、その分量は聖書のおよそ12倍で
ある。世界一長い小説としてギネスに登録されているマルセル・プル
ーストの『失われた時を求めて』は126万語、
イギリスの税法典はそ
の8倍だ。1000万語というのは、たいていの人が一生のあいだに読む
量よりも多い。
 しかし、イギリスの税法典を読むのと、それを理解するのとでは別
の話だ。その文章のほとんどは難解きわまりない。
 1983年から1989年まで財務大臣を務めたナイジェル・ローソンは、
予算案を提出するたび一つの税の廃止を提案することにしていて、実
際に6回そうした。また、所得税の階層区分を2つに減らした。しかし、
そのあと税法は急激に量を増していった。これは、おもにゴードン・
ブラウンの仕業だった。税法典はブラウン政権時代に3 倍に膨れ上が
ったのだ。財務大臣に就任したときのジョージ・オズボーンは、イギ
リスの税法典は「複雑さ、不透明さにおいて」世界屈指であると述べ、
大幅な簡素化に踏みきることを約束した。その業務を受けもつ税制簡
素化局まで設立したのだ。しかし、税法典は披の任期にまたもや倍増
した。
 税についてこれほど事細かに規定されているのは、イギリスにかぎ
ったことではない。欧米諸国には税法を増やしたがる性質があるよう
だ。現在のアメリカの内国歳入法典1240万語は、1955年の約6倍、19
85年の約2倍になっている。さらに、この法律の実地での適用につい
て明解にするため、IRSから770万語にのぼる規則が追加で公布されて
いる。そのほか 6万ページ余りの税関連の判例法もあって、会計士や
税務弁護士がクライアントの納税額を計算するうえで欠かせないもの
となっている。よく知られた逸話だが、アルバート・アインシユダイ
ンは確定申告書類を前にして困惑し、こう断言したという。「世界で
もっとも理解しがたいものは所得税だ」
 一方、香港の税法は276ベーダである。この量はイギリスのそれの
I・五%くらいだ。
 複雑さは格差をいっそう広げる。個人であれ企業であれ、法の抜け
穴をくぐるためにプロを雇う人びともいる。実際、抜け穴は多い。そ
の他の人びとはそうする余裕がなく、比例ペースでより多くを支払う
ことになる。税法が複雑になる原因の一部は、税の控除や免除、租税
補助金の制度がたくさん設けられていることで、それ自体が格差をつ
くりだしている。補助金や税控除----その根拠が金銭的利害であれ、
信念であれ、その両方が少しずつ合わさったものであれ----を求める
ロビー活動は当たり前に行なわれるようになっている。そのロビー活
動にしても、行なう余裕のある人びともいれば、そうでない人びとも
いる。たしかに、全員に同じルールが適用されるべきなのだ。
 それに、複雑さはミスを引き起こす。税務をつかさどるIRS、H
MRCのような行政機関がミスを犯すことはよく知られている。複雑
さをなくし、制度を簡素にし、ミスや租税回避の余地を小さくする九
同時に、訥悦に関する条件にもっと公ヤ性を待たせるべきである。ス
ミスの第三の原則は、徴税は「納税者にとって都合がいいと思われる
時期に、あるいはそのような方法で」行なわなければならないという
ものだ。源泉徴収、あるいは支払時に差し引かれる形での徴収は、ス
ミスの主張する要件をほぼ満たしているが、納税者の便宜のためでは
なく、税額の最大化のために行なわれている。

 第四の原則は、徴税のコストはできるだけ抑えなければならないと
いうことだ。税額1ドルを徴収する際のコストが50セントならば、そ
の税の存在意義はほぼ認められないだろう。現行の税制のあり方から
すれば、このコストはたいてい納税者の負担となる。雇用者は所得税
の徴収を義務とする。販売者はVATの徴収を義務とする。アメリカ
では、経済界が税務コンプライアンスによって負担するコストは年間
4090億ドルにのぼる。これは16の州の総生産額を合計した金額に等し
い。アメリカ人は、IRSから義務として要求される納税申告のため
に約89億人時を費やす。つまり、他に何もせず納税税申告の書類作成
だけをせっせとやる労働者が430万人いるに等しいということだ----
430万人というのは運転手として働くアメリカ人の数とほぼ同じであ
る。イギリスでは 金融などの分野でテクノロジーが進んでいるにも
かかわらず、政府の徴税のコストは50年前と回様に大きい。
 世界のほとんどの地域でおかしな状況になっていることは、想像
に難くない。
                        この項つづく

風蕭々と碧い時代




⦿ Album:  『ヘル・フリーゼズ・オーヴァー』(Hell Freezes Over)

"Pretty Maids All in a Row";『お前を夢見て』 1976
From The Album“Hotel California”
Writers: JOE WALSH, JOE VITALE 

Hi there, how are 'ya?
It's been a long time
Seems like we've come a long way
My, but we learn

My ,but we learn so slow
And heroes, they come and they go
And leave us behind as if
We're supposed to know why

Why do we give up our hearts to the past?
And why must we grow up so fast?

And all you wishing well fools with your fortunes
Someone should send you a rose
With love from a friend,
It's nice to hear from you again
And the storybook comes to a close
Gone are the ribbons and bows
Things to remember, places to go
Pretty maids all in a row...
Ooo ooo ooo  ( 4 times)

  
via  wikipedia as Joe Walsh  (1947.11.20~)

今夜の寸評人命を盾にすることはやめよ!
全ての野蛮諸国からの決別を。高度分業・消費資本主義社会(=社会
主義社会)の日本では資本主義が終焉。新秩序構築時代に突入。人類
滅亡を回避する国として思慮深く先進させていこう----ひこにゃんも賛同して
くれますよね ?!                  
                                                                 


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