極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

これからのオールウインドシステム

2017年01月14日 | 環境工学システム論

 

          (言葉の)本質は沈黙にあるということ、そのことを徹底的に考えること。

                                  

                                                      

                                 Takaaki Yoshimoto
                                             25 Nov, 1924 - 16 Mar,
2012 
 

 

 

  

● これからのオールウインドシステム Ⅰ

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅸ】

昨夜は、ケニアにおける新興邦人企業の大規模太陽光発電の建設の記事の掲載と「エネルギーハーベ
スティング技術とその事業展開の現況確認を行った後、「フライホール蓄電装置」と「相逆転二段羽
根車と内外二重回転子発電装置」の特許事例について考察。今回は後者の風力発電と小形水力発電に
ついて触れてみる。

● よりコンパクトに!どこでも!風況に依存せず!風さえあれば発電 

【特許事例】特開2013-194609 風力発電システム

【要約】

風車発電機構と充放電装置とを備え、風車発電出力の充放電装置への送電と、充放電装置から系統へ
の出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システムであって、揚水発電機構を備え、充放
電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構による
水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチ
で選択的に行い、前記選択は、直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッチ終了時点での
充放電装置蓄電量とに基づいて行い、風車発電機構と充放電装置とを備え、風車発電出力の充放電装
置への送電と、充放電装置から系統への出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システム
であって、充放電装置の大容量化を招くことなく、系統への出力を安定的に平滑化できる風力発電シ
ステ
ムの提供である。

図1

 【符号の説明】

A  風力発電システム  B  風車発電機構  C  揚水発電機構  D  制御装置  E  ポンプ水車機構  
1 風車発電機  2  風車用インバータ  3  電力量計  4  充放電装置  5  連系用インバータ  6  上
部貯水タンク  7  下部貯水タンク  8  連通路  9  電磁弁  10  ポンプ水車  11  誘導発電電動機
12  発電電動機用インバータ  13  双方向チョッパ  14、15  羽根車  16  ポンプ・水車部  17  モー
タ・発電機部  18、19  回転子

風車発電出力の経時変動は大きいので、系統への出力を安定的に平滑化するためには、風車発電の余
剰電力を蓄電する充放電装置の大容量化が必要であるが、充放電装置は一般に高価であり、大容量化
は、風力発電システムの高価格化を招き、風力発電システムの普及促進を妨げる。そこで、①
風車発
電機構と②充放電装置とを備え、③風車発電出力の充放電装置への送電と、④充放電装置から系統へ
の出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システムであって、充放電装置の大容量化を招
くことなく、系統への出力を安定的に平滑化できる風力発電システムを提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、①風車発電機構と②充放電装置とを備え、③風車発電出力の充放電装置
への送電と、④充放電装置から系統への出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システム
であって、⑤揚水発電機構を備え、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚
水の落差を利用した揚水発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十
秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチで選択的に行い、⑥直前のピッチでの風車発電出力平均値と、
直前のピッチ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づいて行うことを特徴とする風力発電システムで
である


この風力発電システムでは、風車発電の余剰電力を充放電装置に蓄電すると共に、揚水発電機構の貯
水の位置エネルギーに変換して蓄積するので、必要に応じて揚水の落差を利用した揚水発電機構によ
る水力発電出力を風車発電出力と共に系統に出力することにより、充放電装置を大容量化することな
く、系統への出力を安定的に平滑化できる。

従来の揚水発電は、例えば夜間と昼間と言った長い時間スパンでの電力供給の平滑化を図るものであ
ったが、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発
電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十秒乃至数分の比較的短い所
定時間ピッチで選択的に行うことにより、揚水発電を、時々刻々変動する風車発電出力の平滑化に利
用するものであり、揚水発電の新規な利用方法を提案するものである。

風車発電出力は数十秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチで山谷に変動する場合が多いので、充放
電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構による
水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、数十秒乃至数分の比較的短い所定時間ピッチ
で選択的に行うのが合理的である。

尚、直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッチ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づ
いて、フィードバック方式で行えば、風車発電出力と充放電装置蓄電量の時々刻々の変動に応じた選
択が可能になる。
ここで、好ましい態様において、ピッチは1~2分ピッチである。

風車発電出力の経時変化の計測データによれば、1~2分のピッチで中程度の山谷が発生する場合が
多いので、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水
発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、1~2分ピッチで選択的に行
うのが合理的である。好ましい態様では、選択開始直後の1ピッチは、系統への出力に等しい出力の
揚水発電機構による水力発電を行い、水力発電出力を充放電装置を介して系統へ出力する。

選択開始直後は、直前のピッチが存在しないので、とりあえず系統への出力に等しい出力の揚水発電
機構による水力発電を行い、水力発電出力を充放電装置を介して系統へ出力するのが好ましい。また、
好ましい態様においては、揚水発電機構は、上下一対の貯水タンクと、上タンクと下タンクとの間の
連通路の途上に配設されたポンプ水車機構とを備え、ポンプ水車機構は、互いに周方向逆向きに回転
する一組の羽根車がケーシング内に同軸に配設されたポンプ・水車部と、内外二重回転子形発電電動
機を有するモータ・発電機部とを有し、この一組の羽根車はそれぞれ前記モータ・発電機部の内外の
各回転子に結合されている。

上下一対の貯水タンクと、上タンクと下タンクとの間の連通路の途上に配設されたポンプ水車機構と
により、揚水発電機構を構成することができる。互いに周方向逆向きに回転する一組の羽根車がケー
シング内に同軸に配設されたポンプ・水車部と、内外二重回転子形発電電動機を有するモータ・発電
機部とを有し、この一組の羽根車はそれぞれモータ・発電機部の内外の各回転子に結合されたポンプ
水車機構は、前後段羽根車の相反回転トルクが同じ状態で、ひいては羽根車を流れる水流の角運動量
変化が前後段で同じ状態で、運転される特徴を有しており、ポンプ及び水車運転の両運転状態で、ガ
イドベーン等の補助機械なしで軸方向流入流出を実現できる。この特徴は、ポンプ(揚水)運転と水
車運転とを瞬時に切り換える必要が生じた場合に、瞬時切り換えを確実に実現するのに有利である。

【実施例】

上図1に示すように、風力発電システムAは、風車発電機構Bと、揚水発電機構Cと、両者の作動を
制御する制御装置Dとを備えている。風車発電機構Bは、風車発電機1と、風車発電機1の交流出力
を直流に変換する風車用インバータ2と、電力量計3と、充放電装置4と、充放電装置4の直流出力
を系統への交流出力に変換する連系用インバータ5とを備えている。

揚水発電機構Cは、上部貯水タンク6と、下部貯水タンク7と、上下貯水タンク間の連通路8と、連
通路8を開閉する電磁弁9と、連通路8の途上に配設されたポンプ水車10と、ポンプ水車10を駆
動し又ポンプ水車10により駆動される誘導発電電動機11と、充放電装置4の直流出力を誘導発電
電動機11の励磁電流(交流)に変換し、また誘導発電電動機11の交流出力を直流に変換する発電
電動機用インバータ12とを備えている。発電電動機用インバータ12と充放電装置4とは、双方向
チョッパ13を介して接続されている。

1.風車発電機構Bの作動を説明する。

風車発電機1の交流出力が、風車用インバータ2を介して直流出力に変換されて、充放電装置4に送
電される(風車発電機1の出力が直流の場合は風車用インバータ2は不要である)。風車発電機1の
出力値は電力量計3により検知され、制御装置Dに入力される。充放電装置4の蓄電量も制御装置D
に入力される。制御装置Dから系統への出力指令が充放電装置4に出力されると共に、電圧/周波数
制御指令が連系用インバータ5に出力され、充放電装置4の直流出力が連系用インバータ5を介して
所定電圧/周波数の交流出力に変換されて、系統に出力される。

2.揚水発電機構Cの水車運転作動(水力発電作動)を説明する。

制御装置Dから開度制御指令が電磁弁9に出力されて電磁弁9の開度が制御される。制御装置Dから、
励磁電流出力指令が充放電装置4に出力されると共に、励磁電圧制御指令が発電電動機用インバータ
12に出力される。充放電装置4の直流出力が双方向チョッパ13により昇圧され、次いで発電電動
機用インバータ12により三相交流に変換されると共に電圧と周波数が調整されて、励磁電流として
発電電動機11に供給される。電磁弁9によって流量制御された水流が、上部貯水タンク6から連通
8を通って下部貯水タンク7へ流れ、連通路8の途上に配設されたポンプ水車10を回転駆動し、ポ
ンプ水車10は発電電動機11を駆動して発電する。発電電動機11の三相交流出力は、発電電動機
用インバータ12により直流出力に変換され、双方向チョッパ13により降圧された後、充放電装置
4に送電される。

揚水発電機構Cのポンプ運転作動(揚水作動)を説明する。

制御装置Dから、励磁電流出力指令が充放電装置4に出力されると共に、励磁電圧制御指令と相入替
指令とが発電電動機用インバータ12に出力される。充放電装置4の直流出力が双方向チョッパ13
により昇圧され、次いで発電電動機用インバータ12により三相交流に変換され電圧および周波数が
調整されると共に相入替えされる。相入替えにより、発電電動機用インバータ12の3相のうち2相
が入替わって、ポンプ水車10の回転方向が水車運転の時とは逆方向になり、ポンプ運転(揚水作動
)が開始される。直後に、制御装置Dから全開制御指令が電磁弁9に出力されて電磁弁9が全開し、
下部貯水タンク7内の水が上部貯水タンク6へ押し上げられ、上部貯水タンク6に貯水される。

図2

所定日の15時40分から16時10分まで行われたフィールド試験により得られた、風車ロータ径
2m、定格出力1.2kW(風速11.5m/s)の風車発電機1の出力の経時変化生データを図2に
示し、上図2の生データから得られた1分間平均出力の経時変化を図3に示す。下図3において、黒
塗領域は、系統への平滑出力を63Wとする場合の不足電力を示し、ハッチング領域は系統への平滑
出力を63Wとする場合の余剰電力を示す。

雨3

揚水発電機構Cを使用せず、風車発電機構Bと制御装置Dのみを用いて、15時40分から16時
10分まで、系統への63Wの平滑出力を維持する場合には、15時40分から15時46分までの
不足電力3.56Whが15時40分の時点で充放電装置4に蓄電されており、以降不足電力は充放
電装置4からの出力で賄い、余剰電力は充放電装置4に蓄電すると仮定すると、16時10分の時点
で、7.15Whの電力が充放電装置4に蓄電されていることになり、充放電装置4の必要蓄電容量
は、7.15Whとなる。


図2から1~2分のピッチで中程度の山谷が発生していることが分かる。そこで、風車発電機構Bに
よる発電を継続的に行うと共に、揚水発電機構Cによる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構
Cによる水力発電とを、1分ピッチで選択的に行い、系統への63Wの継続的な平滑出力を維持する
場合をシミュレーションする。シミュレーションは以下の条件下に行う。

(1)ポンプ水車10として揚程及び落差が2mのポンプ水車を使用する。当該ポンプ水車10のポ
  ンプ運転作動時のエネルギー効率は、実測に基づき0.7とし、ポンプ水車10の水車運転作動
  時のエネルギー効率は、実測に基づき0.9とする。即ち、風車発電の余剰電力1Whをポンプ
  水車10のポンプ運転作動によって上部貯水タンク6内の貯水の位置エネルギーに変換し、次い
  で、この位置エネルギーをポンプ水車10の水車運転作動によって電力エネルギーに変換した場
  合、0.63Whの電力エネルギーが得られることとする。インバータ5、12、電磁弁9、制
  御装置Dの駆動に必要な電力は平滑出力やポンプ駆動に要する電力に比べて微少なので無視する
  こととする。

(2)15時40分の時点で、充放電装置4の蓄電量は零であり、上部貯水タンク6には、ポンプ水
  車10の水車運転作動とポンプ水車10による発電電動機11の駆動とにより5.0Whの電力
  に変換される量の位置エネルギーに相当する量、即ち1019リットルの水が貯水されているこ
  ととする。

(3)15時40分~15時41分の間は、系統への出力63Wに等しい出力の揚水発電機構Cによ
  る水力発電を行い、当  該水力発電出力を充放電装置4、連系用インバータ5を介して系統へ
  出力する。揚水発電機構Cによる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構Cによる水力発電
  との1分ピッチでの選択は、後述ごとく、直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッ
  チ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づいて、フィードバック方式で行うが、選択開始直後は、
  直前のピッチが存在しないので、とりあえず系統への出力に等しい出力の揚水発電機構による水
  力発電を行い、当該水力発電出力を充放電装置4、連系用インバータ5を介して系統へ出力する。

(4)15時41分以降の各1分間は、直前の1分間の風車発電出力平均値と直前の1分間終了時点
  での充放電装置4の蓄電量とに基づいて、充放電装置4から電力供給を受けた揚水発電機構Cに
  よる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構Cによる水力発電及び水力発電出力の充放電装
  置4への送電と、を選択的に行う。
  より具体的には、直前の一分間の風車発電出力平均値が63W未満の場合には、直前1分間分の
  不足電力を次の1分間に揚水発電機構Cによる水力発電によって補充して、系統に63W出力す
  る。

直前の1分間の風車発電出力平均値が63W以上であって、且つ直前の一分間終了時点での充放電装
置4の蓄電量が3Wh以下の場合には、次の1分間では揚水発電機構Cによる水力発電は行わず、揚
水発電機構Cによる揚水も行わない。直前の1分間の風車発電出力平均値が63W以上であって、且
つ直前の1分間終了時点での充放電装置4の蓄電量が3Whを超える場合には、次の1分間では揚水
発電機構Cによる水力発電は行わず、3Whからの超過分の蓄電力を揚水発電機構Cに供給して揚水
し、貯水の位置エネルギーに変換して上部貯水タンク6に蓄積する。

シミュレーション結果を下図4に示す。図4において、上部貯水タンクへ揚水された水の位置エネル
ギーの欄と、ピッチ終了時の上部貯水タンクの貯水の位置エネルギーの欄と、に記載したエネルギー
値(Wh)は、揚水の落差を利用した水力発電による電気エネルギーへの変換後の値である。図4か
ら分かるように、充放電装置4の蓄電量の最大値は、16時10分の時点での3.95Whである。



尚、16時10分の時点での上部貯水タンクの貯水量は367リットルである。

上記シミュレーションにおいては、揚水発電機構Cによる揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機
構Cによる水力発電とを、1分ピッチで選択的に行うことにより、充放電装置4の蓄電容量を3.9
5Whに設定すれば、換言すると風車発電機構Bのみで系統への63Wの継続的な平滑出力を維持す
る場合の約半分まで充放電装置4の蓄電容量を減らしても、系統への63Wの継続的な平滑出力を維
持することができた。

上記シミュレーションの結果を踏まえて以下が言える。

(1)風車発電機構と充放電装置とを備え、風車発電出力の充放電装置への送電と、充放電装置から
  系統への出力とにより、系統への出力を平滑化する風力発電システムに、揚水発電機構を付設し、
  充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機
  構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、比較的短い所定時間ピッチで選
  択的に行うことは、充放電装置の大容量化を抑制するのに有効である。

  尚、本揚水発電機構は、300°C以上の環境を保持するために大規模な周辺機器を必要とするNA
   S 
電池、高価で充放電の時間が遅くかつ劣化しやすいLiイオン電池などに比べ、運転コストがか
  からず簡素で耐用年数が長く、メンテナンス性も格段に優れている。また、これら電気的なキャ
  パシタは大容量化が極めて困難であるが、本揚水発電機構は落差/揚程、タンク容量、流体密度
  を変えることで処理能力を簡単かつ自由に設計でき、風力発電の規模を問わず如何なる風量発電
  所にも適用できる。また、数か所の発電所を一括して集中処理することも可能であり、充放電装
  置のみで系統出力の平滑化を図る従前の風力発電システムに比べて経済的である。この選択を、
  直前のピッチでの風車発電出力平均値と、直前のピッチ終了時点での充放電装置蓄電量とに基づ
  いて、フィードバック方式で行えば、風車発電出力と充放電装置蓄電量の時々刻々の変動に応じ
  た選択ができる。

(2)従来の揚水発電は、例えば夜間と昼間と言った長い時間スパンでの電力供給の平滑化を図るも
  のであったが、充放電装置から電力供給を受けた揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用
  した揚水発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、比較的短い所定
  時間ピッチで選択的に行うことにより、揚水発電を、出力が時々刻々変動する風車発電による電
  力供給の平滑化に利用できる。

(3)図2から分かるように、風車発電出力は1~2分のピッチで中程度の山谷が発生する場合が多
  いので、揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を利用した揚水発電機構による水力発電及び水
  力発電出力の充放電装置への送電とを、1~2分ピッチで選択的に行うのが合理的である。

ポンプ水車10と誘導発電電動機11とを、下図5に示す互いに周方向逆向きに回転する一組の羽根
車14、15がケーシング内に同軸に配設されたポンプ・水車部16と、内外二重回転子形電動機を
有するモータ・発電機部17とを有し、前記一組の羽根車14、15はそれぞれ前記モータ・発電機
部17の内外の各回転子18、19に結合されたポンプ水車機構Eによって構成しても良い。ポンプ
水車機構Eは、前後段羽根車14、15の相反回転トルクが同じ状態で、ひいては羽根車を流れる水
流の角運動量変化が前後段で同じ状態で、運転される特徴を有しており、ポンプ及び水車運転の両運
転状態で、ガイドベーン等の補助機械なしで軸方向流入流出を実現できる。この特徴は、ポンプ運転
(揚水作動)と水車運転(発電作動)とを瞬時に切り換える必要が生じた場合に、当該瞬時の切り換
えを確実に実現するのに有利である。



尚、ポンプ水車機構Eの詳細については、特許第424524号公報を参照されたい。


誘導発電電動機11に代えて、永久磁石式同期発電機を使用しても良い。この場合は、充放電装置4
から永久磁石式同期発電機へ向かう励磁電流は必要ない。
揚水発電機構による揚水と、揚水の落差を
利用した揚水発電機構による水力発電及び水力発電出力の充放電装置への送電とを、風車発電出力と
充放電装置の蓄電量の時々刻々の変動に応じて時々刻々に選択的に行う態様は上記実施例に限定され
ない。制御の時間ピッチ、制御開始時の上部貯水タンク6の貯水量や充放電装置4の蓄電量、揚水選
の判断基準となる充放電装置4の蓄電量等は適宜選択して良い。
 

● よりコンパクトに!どこでも!水況に依存せず!水圧さえあれば発電 

この方式の風力発電は、小形水力発電にも展開されていることをこのブログで――世界最強の落差1
メートル小水力発電――掲載している(「世界最強の小水力発電」2016.10.20、下図参照)。

 

【特許事例】特許5541760 没水式発電機 

 【要約】

没水式発電機であって、外側回転電機子と外側回転電機子に対峙し外側回転電機子とは逆方向に回転
する内側回転電機子とを有する内外二重回転電機子形発電機構と、軸心を一致させて配設され軸心の
延在方向に対する翼の捩れ方向が互いに逆方向の一組のプロペラとを備え、前記一組のプロペラの一
方は前記内外の回転電機子の一方に、前記一組のプロペラの他方は前記内外の回転電機子の他方に、
それぞれ連結されており、更に、内外二重回転電機子形発電機構を外部環境に対して密閉して収容す
るケーシングを備え、没水状態で水流中に置かれて稼働し、稼働時に没水式発電機に働く浮力Fは
没水式発電機に働く重力Wよりも大(係留索を用いて係留する場合にはF>W+係留索に働く重力-係
留索に働く浮力)である。

【符号の説明】

A  没水式発電機 B  没水式発電システム 1a  外軸 1b  内軸 2a  外側回転電機子 2b  内
側回転電機子 3  発電機構 4a  前段プロペラ 4b  後段プロペラ 5  ケーシング 
6、6’ アー
ム 7  スリップリング 8  係留索 9  アンカー 10  ストッパー 11  支柱 100  海底や河
底 200  フロート

ここで、一旦、金元敏明(元)九州工業大学大教授らの  「風況を選ばない高出力インテリジェント 風力発電機
の実用化研究」  から離れ、フライホイールに使われる磁気軸受技術(下図参照)、反撥型磁気軸につ
いて考えてみる。

 

【反撥型磁気軸受技術動向】

地球温暖化や燃料資源の不足の面から、様々な産業で省エネルギー商品の開発が活発に行われており,
省エネルギーを実現するための手段として小型・軽量化が求められ、かつ、高速化による高性能化
進んでいる。自動車においては、燃費を左右する軽量化は最も重要な課題の一つであり、自動車の
動化の流れが進み、アクチュエータアプリケーションは従来のエンジンや油圧システムから電気モー
タに置き換わろうとしている。航空機においても,飛行制御の高度化によりアクチュエータアプリケ
ーションは油圧システムから電動アクチュエータ方式へ移行しつつある。このように小型、高速なモ
ータを用いた回転機械は今後様々な産業分野において増加する。

反面、回転機械の小型・軽量化により剛性低下するため、高速化が進むと,固有振動数実用回転速
度領域の周波数近接し、振動が発生する。特に高速域では系の変位が大きくなり、ばね特性が線形
と見なせる領域を超え、非線形振動が発生しやすい。また、系の変位が比較的小さい範囲でも回転機
械を構成する要素が非線形ばね特性を持ち、非線形振動が発生する場合もある。ばね特性が非線形と
なる要因として、磁気軸受の磁気力、ロータとステータのクリアランス(補助軸受等)、玉軸受のクリ
アランス、静止部品間のクリアランス、回転軸の幾何学的非線形性、回転軸のクラック等がある。こ
れらのことから、振動解析、振動対策の重要性が以前にも増している(「反発型磁気軸受で支持され
る回転軸系の危険速度通過のための振動解析と制振」水貝智洋、2017.06.22)。

1-2-1 磁気軸受

磁気力により軸を非接触に支持できる磁気軸受は、摩擦・摩耗がなく高精度・超高速回転が可能で、
機械的損失が極めて少なく、メンテナンス不要。永久磁石の反発力を利用した反発型磁気軸受(RMB)
は、半径方向を永久磁石の反発力で受動支持する。1軸制御の反発型磁気軸受は、半径方向を反発型
磁気軸受で支持し、軸方向のみを電磁石で制御することで非接触浮上を得る簡易な支持方式である。
上図1-1に1軸制御の反発型磁気軸受の構成例を示す。摩擦・磨耗がない。メンテナンス不要など
の従来の吸引型磁気軸受(能動的の利点を有するとともに、制御設備等の簡素化によりコストの削
減が可能。装置全体の小型化が可能という利点がある。

真空中での使用が可能,環境を潤滑油等で汚染しないなど優れた特徴を持つことから、さまざまな産
業において実用化されつつある。ターボ分子ポンプ、ター
ボ冷凍機、工作機械用スピンドル、人工心臓、
エネルギー貯蔵用フライホイール、人工衛星などで利用,実用化への検討が進められている。最近で
は、自動車の電動化と燃費向上の要求に対応し、自動車用の運動エネルギー回生システムへの適用も
試みられている。磁気軸
受の方式には電磁石の吸引力を利用して軸を支持する吸引型と,永久磁石の
反発力を利用して軸を支持する反発型
がある。電磁石の吸引力を利用した能動型磁気軸受(AMB) は、
位置検出手段を用いた閉ループ制御により軸を定位置に保持するため、種々の制御手法を適用するこ
とによってある程度任意に軸受特性の設計可能だ。

これまで、能動型磁気軸受における制御技術に関する研究は盛んに行われており、回転中の振動制御
に関す
るものも多い。野波は、各モードごとに臨界減衰を実現するように制御力を決定し、少ないセ
ンサとアクチュエータで多くのモードを制御する準モード制御法を提案している。また、反発型と比
較して、剛性を高くするこ
とができ、主危険速度より低速側でも比較的高速域まで利用することがで
きる。
一般に軸受は、回転体の持つ自由度のうち回転を除く5自由度を拘束する必要があり、5軸
全てを電磁石で支持すると装置が大がかりになり非常にコストがか
かる。

装置の小型化を図るため、永久磁石内蔵型(ハイブリッド)磁気軸受を提案している。電磁石は電流
の2乗に
比例した吸引力を発生するため、従来の能動型磁気軸受はバイアス磁束を与える電流を常に
流す必要があ
るが、バイアス磁束を永久磁石で与えることによりコンパクト化に成功している。また、
磁気軸受とモータを含
めたドライブ装置全体の小型化を図るため、磁気軸受とモータの機能を一体化
した非接触浮上モータ(ベア
リングレスモータ) の研究開発も活発に行われている。


永久磁石の反発力を利用した反発型磁気軸受(RMB) は,半径方向を永久磁石の反発力で受動的に支持
する。1軸制御の反発型磁気軸受は、半径方向を反発型磁
気軸受で支持し、軸方向のみを電磁石で制
御する
ことで非接触浮上を得る簡易な支持方式である。図1-1に1軸制御の反発型磁気軸受の構成
例を示す。摩擦・磨耗がない,メンテナンスが不要などの従来の吸引型磁気軸受の利点を有するとと
に、制御設備等の簡素化によりコストの削減が可能,装置全体の小型化が可能という利点がある.し
かしながら、永久磁石対
によって受動安定となる軸の剛性は、能動型の剛性に比べて小さい.そのた
め,高負荷荷重が求められる装置や瞬時的
な外乱が加わる装置での利用には適していない。さらに、
反発型磁気軸受は永久
磁石の反発力を利用しているため強い非線形性を有する。は反発型磁気軸受の
復元力特性を理論的に解析し,それがハードスプリング様式(漸硬系)の非線形剛性を有することを
明らかにする。

また、着磁方向を周期的に変化させて並べ、その周期と剛性、非線形特性の関係を調べる。また、ラ
ジアル軸受、アキシアル軸受と磁気継ぎ手について、2つのリング状磁石を用いて様々な着磁方向、
配置パターンの磁石の場合の剛性を調べる。さらに、磁石を重ねることで剛性が向上することを明ら
かにし、着磁方向を回転させて重ねる剛性向上法を提案した。この方法により4倍の体積増加に対し
剛性を12倍高めることに成功する。さらにこの復元力特性は、磁石の大きさやギャップ(空隙)、
製作時や組立時の誤差
軸方向の変位により変化し、これにより振動特性も変化すると考えられる。
これらの点については、反発型磁気軸受のギャップを変化させた場合の半径方向剛性と軸方向剛性を
調べ、軸方向変位に対する復元力特性の変化を調べたが、これらは、線形特性の変化を明らかにする
とどまっており、非線形性の変化についてはほとんど調べてられていない。

以上、今夜もこの辺で切り上げ、この続きは次回に、そして、もう一度、「風況を選ばない高出力イ
ンテリジェント風力発電機の実用化研究」に戻り、「事業理念・開発ビジョン」に移る。


  ● 今夜の一品

エネルギーハーベストデバイスの1事例、「振動発電+スーパーキャパシタ-無性通信」(上写真ダ
ブクリ)。

 

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はじめてのオールウインドシステム

2017年01月13日 | 環境工学システム論

 

                 The "Unaffordable" Care Act will soon be history!

                 負担しきれない医療保険制度改革法」(オバマケア)は
           もうすぐお払い箱さ!
                         
                              ドナルド・トランプ 
                              Jan. 13, 2017 21:00       

                                                                                                                                                                    

    

 

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅷ】 

【「オール・ウインドシステム」の狙い】

 Looop ケニアで40メガワットのメガソーラー建設

1月12日、Looop 社が、ケニアに出力約40メガワットの大規模太陽光発電所を同国キツイ郡(
Kitui County)と共同プロジェクトの実施に関して合意し、覚書(MOU)に調印し、建設すると発表。
Looop社が事業計画を策定し、18年度中の着工を目指す。用地確保についてはキツイ郡が支援し、
同郡の所有する土地を活用する。現在、想定している用地で、40メガワット程度の発電設備の設置
と系統連系などに関し、すでにめどが立っている。総事業費は数十億円になる見込みで、同社の出資
額など、具体的な資本金、ファインナンススキームについては、今後詰めていく。国立ジョモ・ケニ
ヤッタ農工大学とソーラーシェアリングの共同実験を行った経緯がある。今回の共同プロジェクトは、
その実績が評価されたという。南アフリカを除くアフリカで、メガソーラー事業を実施するのは、日
本企業単独としては初めての試みとなる。株式会社Loopは、11年4月4日設立というニューカマー
だ、と言っても、シャープ、パナソニックなどの大手を除いて、ソフトバンク・エナジーを始めほと
んど、福島第一原発事故以降に続々と設立されてきた。



発電した電力はケニア電力電灯会社(KPLC)に固定価格買取制度を利用して売電する。同国の制度で
はメガソーラーの発電電力は12セント(約14円)/キロワットアワーで20年間、売電できる。
Looop 社が自社製の太陽光パネルを供給するほか、建設コストが日本より下げられるため、事業性を
確保できるとみているという話だが、売電価格の逓減ぶりは激しく、その分、イニシャルコストの相
対的な割高を相殺する資金調達力の小さな企業は太刀打ちできない出ないのではと老婆心ながら心配
するほどだ。それほどまでに「オールソーラーシステム」は予想を上回るほど順調に事業発展してい
るなか、ソーラーの課題は、①量子ドット太陽電池を代表する変換効率30%超のソーラ
、②蓄電シ
ステム価格の逓減の2つとなっている。
ゆえに、国内における風力発電システム事業拡大は相対的に
後退しているように見え、これを挽回すべく、新年から「オールウインドシステム」事業開発に傾注
することになる。

● よりコンパクトに!どこでも!風況に依存せず!風さえあれば発電

【特許事例】特許5773362 エネルギー貯蔵装置

● 特許請求範囲

  1. 一対あるいは複数対の永久磁石を、同極どうしを対向させるとともに軟磁性材からなる歯車形
    のスペーサ部材を永久磁石の端面間に介在させて、永久磁石とスペーサ部材とを一体形成した
    磁界発生モジュールと、コイル部材を有する電力回収モジュールとを備え、磁界発生モジュー
    ルは、軸線の回りに回転自在に支持され、貯蔵したいエネルギー源を用いて駆動部を介して回
    転させ、このコイル部材は、前記磁界発生モジュールから発生する交流磁界と鎖交する配置と
    して、
    スペーサ部材に近接する位置と、スペーサ部材から離隔した退避位置との間において移
    動可
    能に設けられていることを特徴とするエネルギー貯蔵装置。
  2. 前記電力回収モジュールは、前記コイル部材により回収された電気エネルギーを利用する負荷
    を備えることを特徴とする請求項1記載のエネルギー貯蔵装置。
  3. 前記電力回収モジュールは、前記磁界発生モジュールが発生する磁界の周波数に合わせて、こ
    のコイル部材のインピーダンスと前記負荷のインピーダンスとを整合する機能を備えることを
    特徴とする請求項2記載のエネルギー貯蔵装置。
  4. 前記磁界発生モジュールは、前記駆動部との連繋を遮断可能に設けられていることを特徴とす
    る請求項1~3のいずれか一項記載のエネルギー貯蔵装置。
  5. 前記磁界発生モジュールは全体として円柱状に形成されていることを特徴とする請求項1~4
    のいずれか一項記載のエネルギー貯蔵装置。

【符号の説明】

10 磁界発生モジュール 12 スペーサ部材  12a 歯部  12b 凹部  14、15 永久磁
石  20,21 支持部  22 永久磁石(第2の永久磁石)  23 永久磁石(第3の永久磁石)
30 駆動部  40 電力回収モジュール  42 空心コイル  44 負荷  50a、50b 回転
軸  52 支持部材

【技術背景】

IoTを実現するための重要な課題のひとつが、電源の確保である。あらゆるモノがインターネットに
接続するためには、それら全てのモノに電源が必要となる。しかし、電源配線、電池交換、充電操作
などが必ずしも容易ではない場所も多い。そのため、代替となる低コストで普遍的な電源技術の確立
が急務となっているのが、そのような代替電源技術のひとつとしてエネルギーハーベスティング技術。
エネルギーハーベスティングは、光、振動、熱(温度差)、電波など、周りの環境に様々な形態で存
在する希薄なエネルギーを「収穫」(ハーベスト)して、電力に変換する技術である。環境発電とも
呼ばれる。発電量はマイクロワット~数ワットのオーダーであり、量的にもコスト的にも再生可能エ
ネルギーとしての意味はないが、近年の低消費電力化技術の進歩で、利用用途が広がってきた。とく
に、IoTやサイバーフィジカルシステム、トリリオンセンサなどへの関心が高まってきたことで、無
線センサの自立電源駆動を実現するためのキーテクノロジとして、エネルギーハーベスティングへの
期待が高まる。現状のエネルギーハーベスティングの技術水準では、あらゆる場所で普遍的に使える
電源技術にはならないが、世界的な研究開発競争が起きており、技術進歩も著しい。



エネルギー・ハーベスティングのシステムの代表的な動作の流れは,①まず、エネルギー源を検出し
電力を発生させ、②収穫した電力を電源回路で変換しコンデンサや2次電池に蓄える。③たまった電
力を使って制御マイコンやセンサを起動して、④処理した情報を無線送受信によって外部に伝達する。
周辺部品の進化とは,発電した電力を高効率に利用するための電源回路や,信号の送受信に利用する
無線IC、制御マイコン、センサなどが大幅に低消費電力化したことを指す(図3)。これまでは、発
電デバイスがせっかく電力を収穫しても、こうした周辺部品の自己消費で使い切ってしまい、所望の
機能に利用するには至らなかったが、
高効率で低消費電力の回路を持つICが出そろったことで、ようやくエ
ネルギー・ハーベスティングが“使える”段階に入ってきた。

この技術は、利用可能な量に限りのある化石燃料と異なり、無尽蔵に存在する自然エネルギーを利用
可能なため、次世代のエネルギー源として近年注目されており、IDTechExによると、エナジーハーベ
スティング技術の市場
は、20年には$4.4b(10年では$605m)に急成長すると予測されている。

一方、エナジーハーベスティング技術では、太陽光などの自然エネルギーを用いるため、周囲の天候
等によって回収できるエネルギー量が大きく変動するという課題がある。このため、エナジーハーベ
スティング技術を用いて安定した電力を供給するためには、併せてエネルギー貯蔵技術についても議
論される必要がある。

【課題を解決するための手段】

本発明に係るエネルギー貯蔵装置は、

①一対あるいは複数対の永久磁石を、同極どうしを対向させるとともに軟磁性材からなる歯車形のス
ペーサ
部材を永久磁石の端面間に介在させて、永久磁石とスペーサ部材とを一体形成した磁界発生モ
ジュールと、
②コイル部材を有する電力回収モジュールとを備え、前記磁界発生モジュールは、軸線
の回りに回転自在に
支持され、貯蔵したいエネルギー源を用いて駆動部を介して回転させ、前記コイ
ル部材は、前記磁界発生モ
ジュールから発生する交流磁界と鎖交する配置として、前記スペーサ部材
に近接する位置と、前記スペーサ
部材から離隔した退避位置との間において移動可能に設けられてい
ることを特徴とする。

なお、複数対の永
久磁石とは、スペーサ部材を複数個備える場合で、スペーサ部材ごとに永久磁石が
対向配置されているとい
う意味である。また、磁界発生モジュールは、

①直接的に駆動部に連繋して設ける場合と、
②間接的に連繋して設
けられる場合がある。

本発明は、永久磁石を対向配置することにより、①中心軸に対して径方向に大きな磁界
を発生させる
ことが可能であること、②スペーサ部材の形状により周囲の径方向磁界の大きさに変動を持たせ
るこ
とが可能であること、③磁界発生モジュールを回転させることで回転中心軸に対して径方向に交流磁
界を
発生可能であること、④磁界空間中に回転中心軸から径方向から近づけたコイル部材を置くこと
により高い電
力密度で高効率にエネルギーを回収することが可能になるとの知見に基づく。

すなわち、自然エネルギーな
どを利用して、軸線の回りで回転する回転体として駆動される磁界発生
モジュールの回転エネルギーを、コ
イル部材を介して電気エネルギーとして回収して利用する。なお、
コイル部材としては適宜ターン数の空心コ
イルが好適に使用できる。

①第一のモジュールは磁界発生モジュールであり、軸線方向に着磁された永久磁石を対向配置し、そ
の間に歯車形状に加工した軟磁性材からなるスペーサ部材を挟みこむことで、径方向磁界の分布に強
弱を持たせた構造を有する。回転エネルギーを回収するという発想は、水力、風力発電に代表される
技術で古くから行われているが、通常、こうした技術は、発電した電力をすぐに系統へ送るか蓄電池
に貯めるという手法をとるため、水量、風量が小さい場合には極めて効率が悪いか回転エネルギーを
得ることができない。この点、本出願に係る第一のモジュールによれば、理論上空気抵抗軸受の損
のみで回転エネルギーとして蓄えておくことができ、必要な時に磁界発生モジュール対して非接触で
エネルギーを取り出すことが可能になる。

②第二のモジュールは電力回収モジュールであり、コイル部材を備える。このモジュールによれば、
渦電流による発熱や電力損失を受けにくい低周波磁界を利用することが可能である。この第二のモジ
ュールでは、電力の回収にコイル部材(空心コイル)を用いるため、磁界振幅の2乗に比例する電力
を回収することが可能になる。第一のモジュールを回転させることで周囲に変動磁界を発生し、第二
のモジュールにより非接触で磁界のエネルギーを回収することが可能になる。

電力回収モジュールとしてコイル部材に負荷を接続することにより、コイル部材により回収された電
気エネルギーを負荷に供給できる。磁界発生モジュールは、この磁界発生モジュールを軸線の回りに
回転駆動する駆動部に連繋する構成とする。駆動部のエネルギー源として風力や水力等の自然エネル
ギーを利用することにより、自然エネルギーを有効活用することができる。

前記一対の永久磁石に円柱磁石あるいは円筒磁石を使用し、磁界発生モジュール全体を円柱状とし、
中心に軸を設けて中心の回りに自由回転可能にすることにより効率的に回転エネルギーを保持するこ
とができる。永久磁石の大きさは限定されるものではなく、多角柱状、多角筒状とすることもできる。
回転体としての慣性を大きくするために錘をつけることも可能である。本出願に係るエネルギー貯蔵
装置は、磁石磁性材料コイルから構成されるため、安価であり、構成が容易である。また、磁界
発生モジュールは3600rpm以下といった低速回転で利用することを想定しており、渦電流損が小
さく
少ない電力ロスで使用することが可能である。また、コイル部材のインピーダンスと負荷のイ
ンピーダンスを整合することにより、共振現象を利用できれば、最大電力供給の定理より最適な電気
エネルギーの供給が可能である。

なお、低周波磁界を利用することで、生体への影響が懸念される(ICNIRP2010による生体への電磁界
ガイドライン値は200μT)が、磁界発生モジュールが発生する磁界は、距離が離れると2つのダイポ
ール磁気モーメントと仮定できるため、距離の3乗で反比例して減衰する。そのため適宜距離を離す
ことで、生体への磁界曝露の基準を解決できる。

【発明の効果】

本発明に係るエネルギー貯蔵装置によれば、低コストかつ電力ロスの少ない高効率なエネルギー貯蔵
回収を行うことが可能なエネルギー貯蔵装置を提供することが可能である。

これに対し、九州工業大学らの研究グループの「風況を選ばない高出力インテリジェント風力発
機の実用化研究」による(下表)カットイン風速は毎秒1メートル以上で、比較年間
電量や約30%アップを示す。それでは、「相逆転二段羽根車と内外二重回転子からなる発電

装置」に関する特許事例を見みることに。

【特許事例】特開平10-201197 相逆転二段羽根車と内外二重回転子からなる発電装置

ノズルや案内羽根を設けず、前後段の羽根車11、12を互いに逆方向に回転させて、両羽根車間を
通過する流体に角運動量変化を発生させることにより、軸方向流入流出を実現させる。このときの角
運動量変化からえられた回転動力それぞれを内外二重の回転子7、8に伝え、両回転子間の相対速度
を倍にすることにより、発電機の外径を従来のものに比べて半減させ、流体エネルギーを利用する発
電装置について、羽根車へ流入する流体に角運動量を与えるためのノズルや案内羽根を取り除くとと
もに、発電機の外径を半減させることにより、発電装置の簡素化を図る。


【符号の説明】

1 前段羽根車の羽根要素 2 後段羽根車の羽根要素 3 ケーシング 4 ハブ 5 スリップリン
グ 6 ステー羽根 7 外側回転子 8 内側回転子 9 前段羽根車の回転軸 10 後段羽根車の回
転軸 11 前段羽根車 12 後段羽根車 13 軸受 14 封水リング

この発明は、流体のもつ運動および位置エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換するため、回転
中心軸を共有し互いに逆方向に回転する二段の羽根車を設け、その両回転動力を内外二重の回転子に
伝えて電力を発生させる装置に関するものである。

従来、流体がもつエネルギーを羽根車で吸収する形式の発電装置では、羽根車へ流入する流体に角
運動量を与えるため、上流側にノズルあるいは案内羽根を設けるのが普通であった。このため、構造
は複雑となり摩擦損失の増加を招く欠点があった。

②また、羽根車の回転軸と発電機の回転子を連結し、回転子の外周側に設けた固定子との相対運動に
よって電力を発生させていた。このため、羽根車の回転は一方向に限定され、その回転数は羽根車性
能の要求から一義的に決まる。した
がって、水車などの低速回転羽根車の場合には、所望する電力、
すなわち、固定子との相対速度を速めるために、また交流発電では極数を多くするためにも回転子
外径を大きくとらなければならない欠点があった。

本発明は、互いに逆方向に回転する二段の羽根車と内外二重の回転子からなる発電機を設けることに
よって、従来から当然のこととして容認してきた上記の欠点を取り除いた発電装置に関するものであ
る。本発明装置に設ける羽根車の作用について、軸流羽根車の場合を例にとり図1によって説明する。
流体は左方から軸方向に絶対速度V1(=Vm:軸方向速度成分)で流入し、前段羽根車1を上流側
から見て周速度Uで右回転させる。そして、前段羽根車の出口では、回転方向とは逆方向の旋回速度
成分(V2×sinA2)を発生させる。この流れはそのまま後段羽根車2に対する流入条件(絶対
速度V3=V2)となり、後段羽根車を、前段羽根車とは逆方向に周速度Uで左回転させる。



そして、後段羽根車の出口では再度軸方向流れ(V4=Vm)となるようにする。このようにすると、
流体が前後段の羽根車それぞれを通過するときの角運動量変化は同じになるから、周速度(回転数)
を同じにすれば、流体からえられる回転動力も同じになる。このように互いに逆方向に回転する前後
段の羽根車の回転動力を内外二重の回転子にそれぞれ伝えることにより、両回転子間における相対速
度は倍になる。したがって、固定子と回転子からなる従来の発電機に比べて半分の外径で同一の電力
が発生し、交流発電の場合には極数は半分となる。

本発明装置の一具体例として、上記の軸流羽根車と回転子を設けた場合について図2によって説明す
る。流体は左方から軸方向に流入し、前段羽根車11と後段羽根車12を互いに逆方向に回転させた
後、軸方向に流出する。これらの羽根車からえられた回転動力は回転中心軸が一致しているそれぞれ
の回転軸9、10によって内外二重の回転子7、8に伝えられる。ここでえられた電力は外側回転子
7に設けたスリップリング5を介して外部に取り出される。これらの回転子はケーシング3とステー
羽根6で固定されたハブ4内に設けられている。本発明の発電装置は、従来の装置に比べて次のよう
な利点を有す

(1)前後段の羽根車を互いに逆方向に回転させることにより、軸方向流入流出が実現できるので、
  羽根車の上流側で流体に角運動量を与えるためのノズルや案内羽根が不要となり、構造の簡素化
  や摩擦損失の軽減を図ることができる。
(2)互いに逆方向に回転する内外二重の回転子にすることにより、従来の発電機に比べて外径を半
  減でき、交流発電では極数も半減できる。このことは、低速回転の場合にとくに有利となる。
(3)上記内容は発電装置全体のコンパクト化に連なり、簡易発電装置として有効であるばかりでな
  く、従来の業務用バルブ水車などの発電機部分の外径を半減させることができるので、装置自身
  に限らず、発電所建設における掘削経費節減や発電機輸送の容易さなどにも多大に貢献する。

時間が来たので、この続きは、明日のブログに掲載する。

                                                           この項つづく

 

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嚥下体操に白い花

2017年01月12日 | 医療健康術


              生まれいずる悩み   /  水雷屯(すいらいちゅう)

                                      

      ※ 屯とは、とどこおる、行き悩むこと。草木の芽が固い地所を突き破ることがで
        きない挽回を
示す。内に生命力を抱さながら、まだ十分に伸びることができな
        い。人間ならば悩み多い青年期、事業
ならぽ困難の山積する創業期にあたる。
        上卦(じょうか)の坎(かん)は、陥ること、下卦(かか)の震(しん)は動
        くことを示し、動こうとして
困難に陥る状態である。この卦は四大難卦(屯、
        習炊、蹇、困:ちゆん、ゆうかん、けん、こん)の一つであるが、悪い
ぱかり
                ではない。若々しい生命力で苦難に耐えてこそ、新しい発展が約束される。

                          電子易経


   

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】  

   Jun. 26, 2016  

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          
『日本で老いて死ぬということ』11

 

  [目次]

   はじめに

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復

  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  
  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る

  第3部 老いは地域社会で見守れるか

    第11章 地域で暮らす

  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに
  



    
飲み込み、どんな仕組み 

  そもそも口から食べ、のみ込む「摂食・嘩下」とは、どんな仕組みなのか。食事をうまくの
 込めず、肺に入ってしまう「誤嚥」はなぜ起こるのか。どんな食事だったら、のみ込みやす
いの
 か。専門家に解説してもらった。

  のみ込みの仕組みについて、摂食・喚下障害看護認定看護師で小田原市立病院に勤める小澤
 人さんに解説してもらった。

  まず、食べ物がロに入ると、歯でかみ砕き、舌や唾液などで、のみ込みが可能な大きさの「食
 塊」にまとめる。それがのどに送り込まれると、喉頭蓋というふたが倒れ気管をふさぎ、食
道の
 入りロが開く(下図)。同時に鼻とロの入りロも閉じ、食べ物がスムーズに食道に流れる
よう促
 す。「すべてO・6秒の間に起きる反射運動。途中でのみ込みをやめよう、と思ってもや
められ
 ない」と小潭さん。

  12ある脳神経のうち六つがいっぺんに働く、微妙なバランスの上に成り立つメカニズムだそ
 うだ。「どれか一つ欠けても、うまくのみ込めなくなり、食べ物が気管に入る誤嘸につながりま
 す」。脳卒中の後遺症でのみ込みが難しくなるのは、そのためだ。
  のみ込み障害は、脳卒中のほか神経性の難病や呼吸器疾患などで起きる。加齢自体でも、の
 込みの反射が鈍くなったり、むせる力が衰えたりする。

  ずっと寝たきりで、口を使わないこともリスクだという。認知症になると、食べ物を日mても
 その認識がなくなり、食べなくなることがある。「やはりロを使い続けることが大切です」
 食べ物や唾液とともに細菌が気管に入り肺炎を起こすのが「誤嘸性肺炎」だ。小滞さんによると、
 高齢者の肺炎のうち、6~7割は誤啄によるものだという。

  鶴見犬歯学部助教の飯田さんによると、眠っている間に唾液と一緒に細菌が入り、誤唇性肺
 を発症することもあるという。加齢や脳卒中などでのみ込み機能が低下している患者だ。「こ

 したことを防ぐには、日ごろからの口腔ケア、特に寝る前のケアが重要だ」という。

   介護食、工夫こらす

  通常の食事(常食)をとれない高齢者には、とろみをつけたり、ミキサーにかけたりして、
 どを通りやすくした「介護食」を提供する。施設によって呼び方が違うが、のみ込みやすい
もの
 から「ソフト食(ゼリー食、ムース食)」「ミキサー食」「きざみ食」「一口大食」などと呼

 れる。

  病院や介護施設は、患者ののみ込み機能の評価をして、その人に合った食形態を選び、可能
 あれば常食に近いものに上げていく。「栄養ネットワーク湘南」代表世話人でクローバーホス

 タル消化器科の望月弘彦医師は「安全に食べられるものだけ、食べさせていればいいわけで
はな
 い。うちの病院では、患者や家族とリスクについても話し合いながら、どのレベルの食事
まで食
 べさせるか決めている」と話す。

  介護食には、粘り気を出し、まとまりやすくする「とろみ剤」を混ぜることが多い。食道に
 達するまでの時間を長引かせ、のみ込みの準備をする時間を稼げるからだ。小田原一巾立病院

 護師の小海さんによると、多すぎても少なすぎてもだめだという。多いと、のどに張りつい
て残
 りやすくなり、少ないとすぐに流れてしまう。いずれも誤嘩のリスクが高まる。

  誤啄を防ぐためには、「三角食べ」など、日本の食習慣が理にかなっている、と小海さんは指
 摘する。ごはんやおかず、みそ汁やお茶(とろみをつけたお茶ゼリー)を交互に食べると、味
 食感の刺激で、のみ込み反射が起きやすくなるのだという。

                            ●ワンポイントコラム

 「口から食べる」ことは、人間の基本的な欲求の一つだ。「最期まで少しでも口から食べさせて
 あげたい」と、奔走する人たちの情熱には心打たれた。そんな中、先日お邪
魔した「三鷹の嘔下
 と栄養を考える会」の集まりは、ユニークだった。「KA-GOス
ナック」と銘打って、ダイニ
 ングバーを会場にして、「泡付きビールゼリー」や「やわ
らか寿司」などが振る舞われた。お酒
 が入りリラックスした雰囲気の中、参加者は 「食」について本音で語り合った。同会代表で歯科
 医師の亀井倫子さんらも「スナックママ」に扮した。「ゆるく楽しく活動し、じわじわと、いつ
 の間にか結果が出る。我々は、そんな形を目指しています」と亀井さんは話す。こうした支援に
 は、いわゆる「真面目さ」だけでなく、「ゆるさ」も大事だなあ、と感じた。


   第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

  約650万人いる「団塊の世代」がすべて75歳以上になる2025年には、介護のどんな現実
 が待ち受けているのだろうか。その「予兆」は至る所で表れている。
  第2部では、取材班の記者たちが、それぞれ数カ月から1年かけて密着取材した「介護の現場
 」をリアルに描いている。介護する側、される側の息づかいまでもが聞こえてくるように、詳細
 な 取材を重ねた。
  取材にあたって意識したことが、大きく2点ある。まず、「介護される側」や「患者・利用者」
 の視点よりも、あえて「介護する側」や「家族」の視点を中心に、取材・執筆するようにしたこ
 とだ。本書では、例えば「末期がんの親を介護する30代の娘」という立場に立ち、「娘が、どう
 感じ、どう悩み、どう行動したか」ということを中心に書いている。患者・利用者に寄り添い書
 くことも大事だが、それだけだと、高齢者以外の読者層にとっては、どうしても「他人事」にな
 りがちだ。親の介護の問題は、程度の差こそあれ、だれにでも訪れる。読者に「他人事」ではな
 く「自分事」として感じてもらうために、あえてそういう書き方にした。

  もう1点は、介護の大変さやつらさだけではなく、そこから見える「一筋の光明」にもふれる
  ようにしたことだ。現実は現実として目の前にある。しかし、認知症や末期がんになって、そこ
 から新たな家族関係が見えてくることもある。そういう視点を大切にした。
  また、在宅や施設で、自分の家族のように親身にケアする医療・介護スタッフの奮闘ぶりも取
 り上げた。取材した家族だちからは「スタッフさんの温かいケアのおかげで、本当に幸せな最後
 の時間を過ごせました」という声が多く聞かれた。

  各章ごとのあらましは、次の通りである。
 ま ず、第4~7章は「在宅介護」の話である。第4章「3人介護」では、50代で若年性認知症
 を発症しか妻と両親の3人を、一度に介護した60歳の男性を取り上げた。自分自身が仕事を持ち
 つつ、心身の限界を超えながら、3人を介護する様子は想像を絶する。だが、そのプロセスで、
 新たな夫婦関係を見つけたり、家族会の仲間と支え合ったりしながら、希望を持って生きていく。
 そんな姿を追った。

  第5章「遠距離介護」は、岩手県に住む両親を介護する横浜市の女性の話などを描いた。モデ
 ルケースも示しながら、経済的、精神的に大変な遠距離介護の実態に迫った。
  第6章に出てくる「ダブルケア」という言葉は、子育てと親・祖父母の介護が同時期に訪れる
 介護形態のことを指す。これまでは、主に団塊世代の人たちが、親と
 孫のケアをする形態が多かったが、最近では晩婚化などで、団塊ジュニア世代が、親と小さな子
 どものケアを担うケースが増えている。この章では、介護と子育ての窓口が違うなど、役所の縦
 割りに苦労した女性の話が出てくる。同時に、そうした経験を分かち合う「ダブルケアの会」を
 つくるなど前向きな勤きにも焦点をあてた。

  第7章「虐待を防ぐ」では、介護施設職員や元会社員が、自身の実体験などから在宅介護での
 虐待防止のノウハウを編み出し、それを広く伝える姿にスポットをあてた。
  第8~9章では「在宅医療」の実態をつぶさに見ている。第8章「在宅でみる」は、自宅を定
 期的に訪問する在宅医に密着し、看取りのプロセスや患者・家族の逡巡する姿を見つめた。第9
 章「訪問看護師の力」は、自宅を訪問し心身のケアをする「訪看(ほうかん)さん」の日常を追
  った。「在宅医療・介護の要」として、医師とケアマネジヤーをつなぐ役割を果たし、家族間の
 関係にもスーッと入り込むその「人間力」に感嘆した。

  第10
章「特養で看取る」では、特別養護老人ホームでの介護の実態や、様々な先進的な試み
 を描いた。自宅で最期を迎えさせてあげたいけれど、家族にその余力がない。そんな人たちの受
 け皿にもなっている特養。そこでの看取りは、徐々に増えてきている。終末期に救急車で運ばれ
 「望まない最期」を迎えることがないようにするために重要な取り組みである。
  このように第2部は全体として、在宅と施設それぞれの介護の現実や対策を、違った角度から
 多くの具体的なケースを通じ、わかりやすく解説している。

ひとごとではない。長時間のデスクワークがつづくと猫背になり、背筋を通す鍛錬を怠り、早食いの
癖も直さず、ゆっくり咀嚼しな、あるいは、食道の過敏性という持病?などの悪癖から、ここ1週間、
食事中に咳き込むことが多くなるのが気がかりだ。そこで、現在続けている、室内トレーニング。メ
ニューに「嚥下体操」(下図)を加えることに。

                                      この項つづく
                                       

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発  

 

3.制御サーキットの最適化

3-1  プロジェクト全体における本研究開発部分の位置づけ

タンデム風車ロータと内外二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機の連携プレーを見守りつつ、風
速に応じて回転速度、出力を制御するための独立電源方式と系統連系方式に対する二次側周波数変調
サ ーキットを構築。この場合、二次側に用いる双方向に適用できるインバータがキーポイント。

3-2  研究成果

3-2-1  目的と目標

2次側の周波数と電圧によって二重回転電機子の挙動を制御する方法は初めての試みであり、独立電
源用と系統連系用の両者を対象として、

(a)発電機内に設けたセンサからの回転速度、回転方向、出力および風速の信号を受け,インバータに
る2次側周波数変調(二次励磁制御,電圧,周波数)法を最適化する。このとき,定格運転開始風速
以下では最高効率運転,定格運転開始風速以上では一定出力運転を実現させる必要がある。基盤課題
Aにおいてもこのことを十分考慮し、風車ロータのみで出力一定を極力目指しているが,発電機側す
なわち制御系の力を借りることをも考慮する。

(b)二重巻線形誘導発電機の特筆すべき利点は高風速域で 2次側からも出力が得られる点である。こ
の場合、2次側制御に用いるインバータは双方向が要求されるので,新たなインバータを開発する
ともに、系統連系方式制御サーキットを構築する。

とくにタンデム風車ロータと二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機の連携プレー能力を最大限
揮させるため、
次の目標を達成する。

1.定格運転開始風速以下では最高効率点運転、定格運転開始風速以上では一定出力が実現できる制
 御サ
ーキットの構築
2.独立電源方式,系統連系方式制御サーキットの構築
3.2次側双方向インバータの開発と系統連係方式制御サーキットの設計

3-2-2 風速回転速度信号による二次側周波数変調方式の構築

基盤課題B(発電機の最適化)、統合課題B(発電機と制御系の最適マッチング)おける二重回転電
機子方
式二重巻線形誘導発電機の特性試験結果を導入して、二次側周波数変調方式を構築した(下図
3-1)、風速す
なわち前後段風車ロータの回転速度NF、NR信号を受け、発電機からの出力である一次
側周波数f-1と電
圧V1を一定に保つ(f1=60Hz、V1=200V)ために必要な二次側入力周波数f2 と電
圧V2 の制御値を定め、それ
らを発電機にフィードバックする方法である。とくにタンデム風車ロータ
と二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機の連携プレー能力を最大限発揮させるため,次の目標を
達成する。

1.定格運転開始風速以下では最高効率点運転,定格運転開始風速以上では一定出力が実現できる制
 御サ
ーキットの構築
2.独立電源方式,系統連系方式制御サーキットの構築
3.
2次側双方向インバータの開発と系統連係方式制御サーキットの設計

3-2-2  風速回転速度信号による二次側周波数変調方式の構築

基盤課題B(発電機の最適化)、統合課題B(発電機と制御系の最適マッチング)おける二重回転電
機子方式二重巻線形誘導発電機の特性試験結果を導入して、二次側周波数変調方式を構築した(下図
3-1)、風速すなわち前後段風車ロータの回転速度
NFNR 信号を受け、発電機からの出力である一
次側周波数 f1 と電圧 V1 を一定に保つ(f1=60Hz、 V1=200V)ために必要な二次側入力周波数 f2
電圧 V2 の制御値を定め、それらを発電機にフィードバックする方法である。
 

3-2-3  独立電源方式の制御方法検討

本風力発電ユニットを独立電源に供するため、試作1号発電機(8極 3相、同期速度 900min-1、定
格出力 1.2kW)を搭載した装置(下図 3-2)を用いて、まず、 (1) 1次側、2次側の投入順序な
どの制御方 式の確定、(2) 2次側電圧/周波数調整用のインバータ交換、(3) 2次側電圧/周波数調整
用のスライダック
追加、(4)2次側データ収集用のパワーメータ追加(低周波数帯域での電圧、周波数
電流、電力の精度確保のため)、(5) すべり周波数の測定、(6) 将来を想定した系統連系用の制御回
路追加、(7) 風車方向制御用のモータ駆動回路追加などを行う。


以上の成果を踏まえて、外部負荷に応じた、1次側出力電圧(V1=200V)と周波数(f2=60Hz)を一定に
保つ独立電源に供するために必要な、2次側励磁周波数 f2 と電圧 V2 データの収集を実施した。

3-2-4  2次側双方向インバータの開発

3-2-4-1 開発概要

二重巻線形誘導発電機では,高速回 転域で2次側からも出力が取り出せる利点がある(下図 3-3)、
この場合、2次側 に接続するインバータは従来と異なる双方向が要求されるので、その開発に着手し
ているが、発電機と結合試験 はまだ実施していない。なお、現在の発電ユニットは回生抵抗方式に
よって2次側からの出力を吸収している。

3-2-4-2  構成

開発した双方向インバータの制御 ブロック(下図 3-4)は以下の通り。

(1)相対回転数演算部:前段後段ロータの回転速度より風車相対回転数を演算し、相当する周波数を
 計算する。
(2)出力パターン発生部:風車ロータの相対回転周波数より、その周波数における出力可能電力の最
 大値を内臓パターンより算出する。
(3)制御演算部:本装置の主演算部であり、(a)発電機の1次側巻線に商用電源が印加され回転磁界を
 発生し
ているという前提のもとに演算を実行する.(b)出力電力指令と風力発電周波数の情報から、
 VVVFインバータの 周波数と電圧を演算。(c)ある風車回転速度以下の加 減速を助勢し(駆動モード)
 出力可能な回転速度まで風車回転速度が上昇していれば発電を開始(発電モード)、(d)出力パタ
 ーン部より指示された発電量となるように VVVF インバータの周波数と電圧を制御する。(e) 制御
 方式は、すべり周波数一定制御,可変周波数,可変 電圧制御である。(f)発電を開始すると、負荷
 により風車回転速度は低下するが、制御演算部は風力発電周波数を情報として入力しているので、そ
 の周波数に合わせて出力を減じるから、出力周波数は自動的に安定する。



(4)VVVF インバータ制御部:指示された周波数と電圧となるようにPWM 信号を発生させる(キャリア
  周波数
は10.7kHz)。
(5)電力検出部:総合した発電電力を検出するが、発電量は風車が誘導発電機として発電する量と2
 次側から回
生される発電量を合計した電力量となる。
(6)電力演算部:出力パターン部の出力指示量と実質発電量を比較し、同等となるようにCVCFインバ
 ータの位
相をシフトして発電機の2次側から電力回生をする。
(7)CVCF インバータ制御部:CVCF インバータは商用電源に同期して運転するが、(a)商用電源とインバー
 タ間の位
相をシフトすることで電力を可逆的に移動させることができる、(b)CVCF インバータの周波
 数と電圧は商用電源を
常時追従する。(c)電力潮流は、直列に挿入されたインダクタンスを介して
 行い。このインダクタンスの両端電圧
を監視して制御情報とする。(d)回生電力量の指示に従い、
 インバータの位相をシフトし,電力演算部の出
力がゼロとなるように制御する。(e)CVCFインバータの
 直流入力電圧を監視して逆流を防止する。



                                      この項つづく

室内に入れたブラットオレンジの花が咲き出した。今年こそは果実が採れるか楽しみだ。新年に入っ
て、過労から体調(胃腸/鬱病)を崩している。ホームページ1、ブログ2つの更新、いつもの再エ
ネのR&Dをはじめ、外出が続くなか、PC、ノートンの不調が入ったまらない。胃痛と血便だ。内
向く気持ちなんとか前向きにし、ルーチンのトレーニングも強化させた。いけるところまで行くしか
ない。まさに水雷屯(すいらいちゅうだ。

 

 

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五坐踏破計画

2017年01月11日 | 国内外旅行


                 母なる大地   /  坤為地(こんいち)

  

                                          

       ※ 「坤」の卦(か)は大地の象徴である。大地は静止レているが、しかも豊かな力を蓄え
         てあらゆるものを生み育てる。全部陰爻(--)でできているこの卦(か)は「乾」
         (けん、三 三)の剛強。積極、男性的に対して、柔弱、消極、女性的を意味する。も
         ちろん柔弱であるということは、剛強よりも劣っていろことではない。天のエネルギー
         も地に受けとめられてこそ発現する。男吽の精気も女性を得てはじめて新しい生命を作
         る。陰陽は対立しながら統一されているものである。この卦、消極を守ることによっ
         積極をしのぐ、遅れることによって先に立ち、柔よく剛を制する道を示している。




【トレッキング情報:ファーストエイドキッドと医薬品】

● もしもに備える必需品

絆創膏や胃腸薬程度で済ませ、わざわざファーストエイドの一式を持ち歩く人は少ない。だか今まではそれ
で乗り切れたかもしれないが、あくまで結果論。次の山ではどうなるかわからない。そろえ方にもよるが、
本当に大事なものにとどめれば、200グラムほどだ。使わなければ無駄に持ち運ふことになるか、万か一
ヘの安心感にはかなわない。

キットの中身はドラッグストアで集められる。切り傷、擦り傷、出血に備えた包帯やテープ、消毒薬。捻挫
の炎症を抑える塗り薬、頭痛や腹痛の薬、下痢止めなど、すべて市販のものでOKだ。持病を抱えている人
は、病院で受け取った専用薬を予備に入れておく。期限切れには注意。忘れてはならないのが、ビンセット
やハサミ。清潔なものを用意していないと、応急処置がスムーズに行なえない。また刃先の消毒などに使え
ライターも大切。

これらをまとめて袋に入れる。荷物のなかでも最重要といえるものだから、厚手で破れず水も入らない、小
型で強靭なドライバッグが適している。バックパックの取り出しやすい場所に入れ、他の人もすぐに使える
ようにすべき。致命的な問題にはならないか、害虫や日焼け対策用具も万全に。気を抜くとかゆみや痛みで
トレッキングどころではない。サングラスとともに、夏場の山には必携。

 【五坐踏破計画】

昨年は、目標の20%しか達成できなかった。この原因はいろいろあるが、計画のなさにあると反省。目標
の五坐(6月:甲武信岳、7月:焼岳、8月:乗鞍岳、9月:霧ヶ峰、10月:仙丈ヶ岳)に絞る。

 

  

 



【世界のトップを走る加工食品】

● 大豆で作ったジャーキー登場

16年9月6日、カバヤ食品株式会社は、大豆でつくったまるで、ビーフジャーキーのような美味しさの
『ソイジャーキー ブラックペッパー味』全国販売していたことを年末に知ることになるのは、彼女が正月
用お菓子を買ってきたきたことによる。食間や味付けという点では未完商品だが、画期的だと感心する。
と、言っても、ドイツでは大豆ソーセイジやハム、ハンバーガーなど開発し先行している。それにしても、
どのように作っているのか気になるのでいつものようにネットサーフすることに。

May. 23, 2016

上図は、「特開2016-086662  新規焼き菓子およびその製造方法」穀粉を主成分とする構成成分の種類およ
び/または含有量の異なる2種類以上のベース生地を重ね、または重ねて折りたたみ、あるいは無作為に混
合、圧延し、規則的又はランダムな層状構造となった圧延物を焼成することで、重なり合った焼成圧延物の
層間ごとに空間層が形成された層状構造を備えることが特徴の新規焼き菓子により課題を解決し、生地中の
油脂部分が溶けて水蒸気により押し広げられ、何層もの空間層が形成されるというパイの製造原理とは全く
異なる方法により、特別な装置や特別な原材料を使用することなく、生地層と空間層から成る多層構造とク
リスピーな食感を有する新規焼き菓子および新規焼き菓子を容易に製造できる製造方法の提供である。

これは、あくまでも事例の1つでこの方法で「ソイ・ジャーキー」で作られているかどうかは不明。このよ
うに加工方法の延長線上で生産させているわけで、味の素株式会社、日清食品株式会社などの国内メーカの
技術・品質・信頼の実力は半端でないことは誰しも肯首するところ。話を大豆加工食品に戻し、①どのよう
な特性を持った材料を混ぜ合わせるのか。②そして、最終特性の要求はどのようなものか。③どのように材
料を混ぜ合わせるのかのを考える。

 

 



完全なソイ・ジャ-キーに仕上げるにどうすればよい?そこで頭に浮かんだのが、「干し芋」、つまり、あ
の厚みで粘りけ(剪断応力の大きさ)にするためにはどうすればよいか、大豆ペーストと繊維状に裁断した
乾瓢やイカやナモコに動物性タンパク質やつなぎの小麦粉を加え混ぜ、香辛料などを加え、最適な食感と物
性をもったものにすることを考えてみた。これを1日8~10グラム補助食品として持ち歩るく健康老人が
世界に溢れるという(取らぬ狸の?)算段である。

※ 参考特許

・特許5087659  横並び棒状食品およびその製造方法 カバヤ食品株式会社 2012年12月05日
・特開2008-306948  多重構造食品およびその製法 カバヤ食品株式会社 2008年12月25日
・特開2016-086662  新規焼き菓子およびその製造方法 カバヤ食品株式会社 2016年05月23日  


【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅵ】 

2.発電機の最適化 

2-1  プロジェクト全体における本研究開発部分の位置づけ 

風車ロータと的確に連携プレーをする二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電機を新たに開発し、その最適
化を図る.風力発電機用として、永久磁石同期発電機、直流励磁同期発電機、誘導発電機、巻線形誘導発電
機等が考えられる。昨今の大容量風力発電機については、永久磁石同期発電機の例があるが、コスト、性能
利便性の点で巻線形誘導発電機が採用される傾向にある。相反転方式永久磁石同期発電機については既に保
有しているので、ここでは、将来の大形化を想定し二重巻線形誘導発電機の二重回転電機子方式化を試みる。

2-2 試作1号機(1.2キロワット)

2-2-1  設計仕様

本発電機の試作は事業開始前から準備を進めていたが,事業遂行に際し使用するとともに、2号機開
発の礎になるのであえてここに記しておく。その設計仕様は、

である.初期計画ではフィールド実験の簡便性を考えて独立電源とし,2 次側(内側回転電機子)からすべ
り周波数の2
次励磁を行い、一次側は抵抗負荷で所定の負荷に合わせ60Hz で起電圧、起電流を得ることにし
た。次のステップでは,系統連系によって1次側を励磁し、2次側よりすべり周波数の2次
励磁を行い、回
転速度可変、負荷制御を行う予定である。なお、ここで試みる二重回転電機子方式二重
巻線形誘導発電機は、
独立電源用:2次励磁/定電圧/定周波数巻線形誘導発電機(SEIG, Secondary Excited 
Induction Generator)、
系統連系電源:二重給電巻線形誘導発電機(DFIG, Doubly Fed Induction Generator)
として応用でき,上述のよ
うに当面は前者,将来は後者となる。

2-2-2 発電機の電気設計

設計の基本は小形化の観点から4極クラスが望ましいが、本風車ロータの回転速度範囲から許容される限界、
すなわち同期回転速度のすべりで±0.3 (約300min-1)から8極とした。このときの同期回転速
度は、一般的
な発電機の設計法に則れば、両軸の相対経典速度は負荷によって決まるので、両軸間の相
対回転速度は同期
900 min-1 となる.設計に際しては,2次側電圧を低く抑え、通常の制御電源が使用
できることを考慮し、
多極では励磁電流が大きくなることによる力率低下をカバーするため、内外回転
電機子間のギャップを極力
小さくした

2-2-3 発電機の機械設計

二重回転電機子方式では1次、2次側への電力授受はスリップリングを介して行うことにした。しかし、比
較的容量の小さいスリップリングの市
販品が少なく、軸方向へのリング配置形が標準であるものの、寸法的
に全体の構造が難しくなる。
コンパクト化のためには平面形(半径方向リング配置)が望まれるが、最初で
もあり、ここでは、販品を流用することにした.以上を盛り込んだ二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電
機の試作1号機を図2-1に示す。

2-3 試作2号機(3kW)

本風力発電機の要の一つである二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機について,上記試作1号機をベー
スにして、カットイン風速1m/s
以下の実現に向けて、

①発電機特性の向上
②軸受けの摩擦損失トルクを低減させるための最適軸受種類,最適径の採用
③慣性モーメント低減のための回転径の極限寸法の追求
④スリップリングの摩擦損失トルクを低減させるため、取付け位置と方法、押しつけ圧力の最適化を行う。

2-3-1 設計仕様

系統連系を目指した実証試験が可能となるように、出力3kW(風車ロータ径4m 程度に相当)を試作するこ
とにした。その設計仕様は、

である。機構の概念を図2-2 に示すが,危険防止と容易な実証試験の遂行を考慮して、ブレーキ機構を内蔵
させている。また、制御系に回転速度の情報を伝えるため,回転方向と回転速度の検出器も内蔵させた.図
2-3 に試作2号機を示す。



2-3-2 発電機の特性

2次側を短絡させた場合の出力と電流の関係,電源の回生特性を調べ,所期の特性が得られていることを確
認した。また、長時間連続運転が要求されるので、熱試験も行った(表2-1)、全閉で1次側および2次側
巻線の温度上昇が 105 K 以下に定めた設計条件をクリアしており、冷却能力も申し分ない.

 

2-3-3  摩擦損失トルクの軽減

軸受の摩擦損失トルクを完全に排除するため,磁気軸受の採用を検討したが,機構が複雑となり大型化が避
けられないばかりでなく、発電機の価格が倍程度になることが予想されるので採用は断念した。そこで、軸
受とスリップリングの摩擦損失軽減および回転体の慣性モーメント軽減を図ることにし、次に述べる試作2
号機に盛り込むことにした。そこで、前述した試作1号機に対してトルク比が 3.13 倍と なる低速大容量を目
指した(図 2-3、3相10極、定格出力 3kW、全閉形二重回転電機子方式巻線形誘導 発電機)。
 

2-3-4  評価

試作2号機は、

(1)出力 3kW で連続運転ができる。
(2)温度上昇から判断すると、3.4kW 出力でも連続運転できる。
(3)最大トルクに余裕があるので、外側開店電機子のみ変更して、ギャップを 0.5mm とすれば、4.0kW の
 連続運転も可能となる。言い換えれば,現状の33kW を望むなら、発電機径を小さくすることができ、外
 側回転電機子側のブレーキを工夫することにより、全体としてコンパクトな実用機を製作できる。

※ 以上は「風況を選ばない高出力インテリジェント 風力発電機の実用化研究」、財団法人福岡県産業・科
 
学技術振興財団 IST 産学官事業より抜粋。

                                                               この項つづく 

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横隔膜トレーニング

2017年01月10日 | 医療健康術

 


           盈(み)つるは欠(か)くる兆  /   乾為天(けんいてん)

 

                                           

 

   ※ 乾とは健、健強で疲れを知ら応こと。剛健、充実、能動である。すべて陽爻(三)は
     剛強で積
極的なものを象徴するが、とくに全部陽爻でできているこの卦(か)は、その
     純粋なものを意味する。自然
にあてはめれば天の働きがそれであり、人間では牡年期、
     事業ではフル創業である。もちろん、
盛運を示す卦であるが、それだけに責任は重く、
     緊張も絶えない。しかも、物盛んなれば必ず衰う。
頂点に達ずること衰落への一歩であ
     る。調子に乗りすぎのよう慎重を要する。乾は竜に象って説明される。

 

● 座ったままできる!胸・肩ほぐしエクササイズ

あさイチの面白い企画放送-「スゴ技Q ~肩凝り・だるさスッキリ呼吸法~横隔膜をサボらせない!」-
が飛び込んでくる。なかでも、フェンシングの世界選手権で日本人初の金メダルを獲得した太田雄貴の「座
ったままできる!太田さんオススメ 胸・肩ほぐしエクササイズ」は忙しい屋さんには面白いファスト・ト
レーニンフ。引退後デスクワークが多くなった彼が、座ったままできる、肩凝り、頭痛解消に役立てている
簡単・エクササイズ。それは、①イスのふちに手をかけて胸を突き出し、②肩甲骨をググッと寄せて、③呼
吸を止めずに10秒カウント。上半身の血行がよくなり、頭痛解消に役立っていると考えているというのだ。
これは即実行。
 

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅴ】

16年12月27日、富士経済は、陸上および洋上風力発電システムの世界市場の調査結果を発表した。16年の風
力発電システムの世界市場規模(新設)は、5兆9119億円と予測している。15年より13.5%の減少となるが、
その後17年以降は拡大していく見通し(下図)。また、同調査の予測は、30年の世界市場は9兆7200億円にま
で拡大すると予測する。

● 世界風力発電市場は30年に10兆円に迫る

中国

16年の市場減少の要因として、中国市場の陸上風力の動向。中国では15年に過去最高となる風力発電の導入
量を記録し、世界市場の5割を占めた。一方、⑯年はFIT価格の低下や、系統の弱い好風況エリアの新設を規
制したためマイナス成長が見込まれる。しかし今後は、低風況エリアに市場が形成されると考えられる他、
「第13次5カ年計画」においては風力発電の導入目標を20年に210GWに引き上げている。このことから、今後
年間20~25GWのペースで風力発電所の新設が進む見通し。

米国

米国は風力発電の発電量に応じて税金を還付するPTC(Production Tax Credit)制度が15年末に失効したことか
ら、16年はマイナス成長が見込む、その後19年まで延長が決まったこともあり、中期的にはプラスに転じる。
今後は低風況エリアでも採算がとれる大型風車による大規模システム開発を中心に、リパワリング市場も活
発になる。

欧州

欧州は、風力発電システム市場の黎明期より拡大を牽引してきたが、各国はFITから入札制度に変更しつつあ
り、イタリア、ルーマニアなど、財政事情の厳しい国から大規模な政策転換が始まっている。現在は政策支
援が残るドイツ、フランス、ポーランドなどで需要が期待できるが、17年以降ドイツはFITから競争入札への
移行が検討されている。

その他

現在需要が拡大しているのはブラジル、インド、カナダ、トルコ、メキシコなどで、特にブラジルの伸びが
大きい。また、30年になると中南米、インド、アフリカ、中東などが中国と肩を並べる需要規模になると予
想。洋上システムの世界市場は、これまでの導入拡大をけん引していたイギリスに加え、ドイツで稼働案件
が集中したことから15年に3GW超えとなった。16年は、14年の洋上FIT開始により中国市場が本格化してきた
ことに加え、米国でも初の開発案件の稼働が見込む。洋上風力発電は1サイトの開発に多くの時間を必要と
するため、本格的市場形成は20年代後半になると予想。欧州、中国以外のエリアは、洋上風力発電の導入を
後押しする政策を整備中であり、今後は日本、台湾、韓国、米国、インド、ブラジルなどで市場形成が期待
される。

 Dec. 27, 2016

 ● 国内市場は7倍に

風力発電システムの国内市場(新設)陸上システムの国内市場は、12年に始まったFITを追い風に、14年頃か
ら拡
大基調にある。今回の調査では16年の市場規模は321億円で、30年に2160億円まで拡大すると予測。こう
した市場拡大に向けて、課題となるのが出力制御の問題だ。15年は太陽光発電大量導入により系統容量が抑
えられたことから、2016年に風況のよい北海道では新規接続申請分から出力制御が無制限でかかる状況であ
り、東北電力と九州電力も無制限出力制御の時期が迫っている。現在環境アセスメント審査中の案件を含め
22年頃まで導入が進むとみられるが、さらなる導入には系統増強、間接オークションの導入、1000時間出力
制御、無制限出力制御時の政府補償など、何らかの制度が必要と分析(下図)。
 

 

20年以降は、00年以前に導入した小規模風力発電システムのリパワリング市場の形成も予想。洋上システム
の国内市場は、15年の洋上風力発電専用FITの設定、2016年の港湾法改定などで市場環境が整い、新規参入企
業が増加しているが、北海道、東北、九州といった風況のよい地域は、陸上・洋上ともに系統容量不足のた
め、無制限出力制御またはその対象となっており、開発が停滞傾向にあると指摘。また、洋上風力発電シス
テム市場の本格拡大には港湾外の一般海域の法整備が不可欠であり、系統問題を含めた法整備が必要とする。

 




 ● フライホイールおよびその製造方法並びに発電装置

富士経済グループの風力発電市場調査結果について、現在、関連装置・システムの調査開発作業虫のため、主体的
なのコメントを持ち合わせていない。なので、後日何らかのコメントを掲載したい。

さて、今回はフライホールとその製造方法とフライホール蓄電装置に関する特許事例「特許5966210 フライ
ホイールおよびその製造方法並びに発電装置 株式会社 Flayconver 他
」を考察する。 

フライホイールは、所定の慣性質量を有する独楽のような回転体を高速で回転させることで、大きな運動エ

ネルギを貯蔵できるように構成。このようなフライホイールを用いた発電装置は、フライホイールが余剰な
(または再生成された)電気エネルギを回転体の運動エネルギとして貯蔵し、発電器がこのフライホイール
の運動エネルギを電力エネルギに変換して、蓄電池を充電。蓄電池に蓄積された電力エネルギは、負荷の消
費電力として再利用され得る。従来のフライホイールでは、ロータ側には永久磁石が使用されているが、ス
テータ側には電磁石が使用されるので、この電磁石へ交流電流を供給する手段をフライホイールの回転軸な
どに取り付ける必要がある。このため、装置の構成が複雑になり、このことがフライホイールの小型化、汎
用化の障害となっている。

この課題を解決するために、この実施形態に従ったフライホイールは、①回転可能に設けられた回転軸と、
②回転軸に固定され回転軸とともに回転可能なロータと、③ロータに対向して置されて回転しないステータ
と、を含み。④このロータは、ステータに対向する第1面に設けられた複数の第1永久磁石を有し、⑤ステ
ータは、ロータに対向する第2面に、第1永久磁石にそれぞれ対応し設けられた、第1永久磁石と同一極性
の複数の第2永久磁石を有し、⑥第1永久磁石は、ステータに対向する第3面を除く表面の少なくとも一部
カーボンナノチューブで覆われ、⑦第2永久磁石は、ロータに対向する第4面を除く表面の少なくとも一
部がカーボンナノチューブで覆われることを特徴とする。

このる実施形態に従った発電装置は、①電力を供給する充電可能なバッテリと、②フライホイールと、バッ
テリから電力を
供給されて前記回転軸を回転させるモータと、③ロータの運動エネルギを電気エネルギに変
換し、バッテリを充電する発電器と、を含む。フ
ライホイールの第1実施形態による製造方法は、①カーボ
ンナノチューブの塗布、滴下、または吹きつけにより、②第1および第2永久磁石の表面のうち第1および
第2面を除く表面の少なくとも一部を、水系エポキシ樹脂に含まれた状態のカーボンナノチューブで覆う工
程と、③第1および第2永久磁石上の前記カーボンナノチューブを熱圧着する工程と、を含み、
さらに、フ
ライホイールの第2実施形態による製造方法は、 ①複数の第1および第2磁気性金属チップに着磁を実行し
第1および第2永久磁石を形成する工程と、②カーボンナノチューブの塗布、滴下、または吹きつけにより、
第1および第2磁気性金属チップの表面のうち、第2および第1磁気性チップの対向面となる第1および第
2面を除く表面の少なくとも一部を、水系エポキシ樹脂に含まれた状態のカーボンナノチューブで覆う工程
と、③第1および第2磁気性金属チップ上の前記カーボンナノチューブを熱圧着する工程と、⑤第1磁気性
金属チップの前記第1面が露出するように前記第1磁気性金属チップをロータの表面に回転対称に配設する
工程と、⑥前記第2磁気性金属チップの前記第2面が露出するように、第2磁気性金属チップをステータの
表面上で第1磁気性金属チップに対応する位置に配設する工程と、を含み、この着磁は、第1磁気性金属チ
ップのロータへの配設および第2磁気性金属チップのステータへの配設後に実行されることを特徴とする。

以下、この事例の要約は次の通り(下図)。

【要約】

フライホイール70は、回転可能に設けられた回転軸60と、回転軸60に固定されて回転軸60とともに
回転可能
なロータ72と、ロータ72に対向配置されて回転しないステータ74と、を含む。ロータ72は、
ステータ74に
対向する面TS72に設けられた複数の永久磁石73を有し、ステータ74は、ロータ72
に対向する面TS74に、
永久磁石73にそれぞれ対応して設けられ、永久磁石73と同一極性の複数の永
久磁石75を有する。永久磁石73
は、ステータ74に対向する面TS73を除く表面の少なくとも一部が
カーボンナノチューブCNTで覆われ、永久
磁石75は、ロータ72に対向する面TS75を除く表面の少
なくとも一部がカーボンナノチューブCNTで覆われ
ている。簡易な構成で大きな運動エネルギを貯蔵でき
るフライホイールを提供する。

Aug. 10,2016

 

【符号の説明】

10…バッテリ、30…モータ、60…回転軸、70…フライホイール、72…ロータ、73…(第1)永
久磁石、74…ステータ、75…(第2)永久磁石、82…エンコーダ、84…負荷電流計、86…ステッ
ピングモータ、88…カップリング、90,93…発電器、92…タイミングベルト、96…ボールねじ、
98…ガイド、100…コントローラ、173…(第1)磁気性金属チップ、175…(第2)磁気性金属
チップ、300…着磁装置、CNT…カーボンナノチューブ、OP…開口、TS72…対向面(第1面)、
TS74…対向面(第2面)。

【図1】本発明に係る第1実施形態に従った発電装置の構成の一例を示すブロック図の一例
【図2】第1実施形態に従ったフライホイールの構成例の一例を示す平面図の一例
【図3】第1実施形態に従ったフライホイールの構成例の一例を示す正面図の一例
【図4】図2および図3に示すロータの裏面図の一例
【図5】図2の切断線に沿ったロータおよびステータの部分断面図の一例を示す図
【図6】ロータおよびステータの永久磁石相互間の磁力線による引力および斥力の作用を説明するための図

                                                               この項つづく 



 

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風車の上に寒昴

2017年01月09日 | 環境工学システム論

 


                    石油のため,一国の運命を賭して戦争をする馬鹿がどこにあるか。

                                                    横山臣平 『秘録 石原莞爾』

                                                                        
                                                                    Jan.18,1889 - Aug. 15,1949
 

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                         瑕疵多き 我が庵にも 寒昴

 

 

● 水と暮らしの繋がりに命を懸けて

昨日は彦根市民の飲み水を守る会の新年会の資料づくりのため、小雨降り続く中、住民運動史
の編纂のため長老格の谷口三平さんと機械工学士の佐々木浩さんのご自宅を訪問し、「びわ湖
と下水道」講演会(講師:中西準子東大教授、故鈴木紀雄滋賀大教授、会場:彦根市民会館、
開催日:1980.09.07)の開催期日の確認など行う。谷口さんのご自宅では当時の写真アルバム
をお借りし、ホームページやブログ掲載写真とする(写真上/下)。当時は中国プラントの仕
事で風土病の換券から微熱が収まらず辛い記憶を思い出すとともに、やはり、当然、あの時僕
たちは若かったと当時を懐かしく回顧。佐々木さんのご自宅では当時の貴重な資料を閲覧し、
改めて画期的な住民運動が展開できたことを感謝するも彼は謙遜する。具体的な活動ができて
いないものの、本会を維持することで「水」と「暮らし」上の課題との繋がり(災害、放射能
汚染、地球温暖化など)ができるので細くても続けていきと伝え帰ってくる。新年会には、現
在、個人的に行っている「ナショナルトレッキング」も紹介する。
 なんなら、高齢者の仕事(事
業)作りについても話し合っても良い。

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅳ】

今夜は、「風況を選ばない高出力インテリジェント風力発電機の実用化研究」の成果報告をは
なれ、水平型プロペラ型風力発電システムの特許事例(特開2016-014331 風力発電システムお
よび風力発電方法)
を俯瞰してみることに(下図ダブクリ参照)。 

再生可能エネルギーのうち、風力や太陽光などの自然エネルギーを利用した発電は、運転期間
中安定した出力が得られないことが想定され、その変動は数秒から数十秒周期と不規則であり、
出力自体も大きく変動すると考えられている。このような出力特性を持った電源は、単独ある
いは既存の電力系統と連係して運用する場合のいずれにおいても、電圧変動や周波数変動を引
き起こすなどの悪影響を与えると考えられ、積極的に導入していくには、この変動を吸収し出
力を安定化させることが重要だ。

風力発電の出力を安定させる技術の一つに、例えばフライホイール装置を用いてエネルギーを
貯蔵することで出力変動を吸収する技術がある。この技術におけるフライホイール装置は、1
つのモータに回転する円盤が直結した構造であり、電気エネルギーを回転エネルギーとして蓄
積する装置である。フライホイール装置の慣性モーメントについては特に規定がない
このよ
うな回転体を用いてエネルギー貯蔵を行う場合、回転体に付与する回転トルクが回転慣性モー
メントを超える場合、回転体が回転を開始し、その回転運動エネルギーとしてエネルギーが貯
蔵され、この運動エネルギーを回転トルクとして駆動軸等で取り出すことにより、貯蔵された
エネルギーを消費すると考えられる。

この場合、フライホイール装置の慣性モーメント力が一定であると、風力が小さく、フライホ
ール装置に付与できる駆動力(回転トルク)が小さい場合には、ホイール自体の回転抵抗に対
し駆動力が小さくなり、フライホイール装置が駆動しないためエネルギー貯蔵ができなくなる。

 また回転トルクが十分に大きい場合には、フライホイール装置の慣性モーメントが相対的に
小さくなり
、さらに回転エネルギーを貯蔵しようとしてもその上限が限定されてしまうことが
想定される。


上述のように慣性モーメントが一定のフライホイール装置を備えた風力発電システムにおいて
は、風力の変化(強弱)に対応した効率的な運用ができないという課題があった
風力の変化
に対し、効率的な運用が行え、安定した出力を得ることができる風力発電システムおよび風力
発電方法を提供するものである。
実施形態の風力発電システムは、発電機、回転軸、質量移動
装置を備える。発電機は風力で回転する風車部を支持し風車部の回転により発電する。回転軸
には風車部の回転力が伝達される。質量移動装置は回転軸に軸支された円環部を有し、回転軸
の回転に応じて円環部と回転軸との間の径方向の質量を変化させる。


  
Jan. 28, 2016

【符号の説明】

1…風力発電システム、3…タワー部、4…発電機本体部、5…ナセル、6…風車部、7…ブ
レード 
8…ハブ、9…可変ピッチ機構部、10…倍速機、11…ブレーキ装置、12…発電
機、13,14…回転軸 
23,24…液体室、25,26…通路、27…剛体、28,29,
52,53,62,63…ばね、41…金属懸濁
液(機械油)、50…フライホイール装置、
51,61…錘(おもり)、54…ダッシュポット、64…スロープ

【要約】

風力発電システムは、発電機、回転軸、質量移動装置を備える。発電機は風力で回転する風車
部を支持し風車部の回転により発電する。回転軸には風車部の回転力が伝達される。質量移動
装置は回転軸に軸支された円環部を有し、回転軸の回転に応じて円環部と回転軸との間の径方
向の質量を変化させることで、風力の変化に対して効率的な運用が行え、安定した出力を得る
ことができる風力発電システムおよび風力発電方法を提供する。

【特許請求範囲】

  1. 風力で回転する風車部を支持し前記風車部の回転により発電する発電機と、前記風車部
    の回転力が伝達される回転軸と、前記回転軸に軸支された円環部を有し、前記回転軸の
    回転状況に応じて前記円環部と前記回転軸との間の径方向の質量を変化させる質量移動
    装置とを具備する風力発電システム
  2. 前記質量移動装置が、前記円環部と回転軸との間に径方向に並べて設けられ、流動体が
    充填された第1および第2の液体室と、前記第1および第2の液体室間を前記流動体が
    流通可能な通路と、前記円環部と前記回転軸との間に、前記第1および第2の液体室を
    径方向に弾性を持って支持する弾性支持部材と、前記第1および第2の液体室との間に
    固定して設けられ、前記第1および第2の液体室の互いに対向する壁面を摺動自在に
    構成する壁面を有する剛体とを具備する請求項1記載の風力発電システム
  3. 前記流動体が、機械油である請求項2記載の風力発電システム
  4. 前記流動体が、機械油に金属粉を懸濁させた金属懸濁液である請求項2または請求項3
    いずれかに記載の風力発電システム。
  5. 前記質量移動装置が、前記回転軸と前記円環部とに弾性支持部材を介して支持されたお
    もりと、前記回転軸および前記円環部との間に前記弾性支持部材と並行して配置され、
    前記おもりの移動速度を緩和する緩和装置とを備える請求項1記載の風力発電システム
  6. 前記質量移動装置が、前記円環部の内周面の側から前記回転軸の外周側へ向かって高さ
    が低下するように設けられた傾斜部と、前記傾斜部の傾斜に沿って摺動自在に、前記回
    転軸と前記円環部との間に弾性支持部材を介して配置されたおもりとを具備する請求項
    1記載の風力発電システム
  7. 風力で回転する風車部を支持し前記風車部の回転により発電する発電機と、前記風車部
    の回転力が伝達される回転軸とを有する風力発電システムにおける風力発電方法におい
    て、前記回転軸に軸支された円環部と前記回転軸との間の径方向の質量を、前記回転軸
    の回転状況に応じて変化させる風力発電方法

【実施形態】

まず、図1および図2を参照して第1実施形態を説明する。図1に示すように、第1実施形態
の風力発電システム1は、基礎2に固設されたタワー部3と、このタワー部3の上端に設けら
れた発電機本体部4と、風車部6と、変電部30とを備える。風車部6はハブ8と、このハブ
8にほぼ等間隔に支持された3つのブレード7と、可変ピッチ機構部9とを備える。可変ピッ
チ機構部9はブレード7の角度(迎角、ピッチ角およびヨー角など)を可変(調整)してブレ
ード7の回転を制御する機構である。

発電機本体部4は、ナセル5の内部に、回転軸13(第1回転軸)を有する発電機12と、ブ
レーキ装置11と、倍速機10とを収容してなる。回転軸13には風車部6が支持されており、
風車部6の回転に応じて回転軸13が回転する。倍速機10は回転軸13と回転軸14とを機
械的に接続し回転軸13の回転速度に対して回転軸14の回転速度を数倍に高める増速機器(
例えば2倍ギアなど)である。ブレーキ装置11は回転軸13に対してブレーキ(回転抑制)
をかけるための機器である。発電機12は風力で回転する風車部6を支持し風車部6の回転に
より発電する。

タワー部3は、内部がくりぬかれた柱状のタワー15と、このタワー15内に設けられた回転
軸14(第2回転軸)と、この回転軸14の端部に支持された質量移動装置またはエネルギー
貯蔵装置としてのフライホイール装置50と、発電機本体部4側の発電機12に通電ケーブル
17を介して接続された変圧器としてのトランス16とを備える。回転軸14は発電機本体部
4の回転軸13に機械的に連結されており、回転軸13の回転に伴い回転する。つまり回転軸
14は風車部6の回転力が伝達される回転軸である。トランス16は発電機12で発電された
電圧を所定の電圧へ変圧(昇圧)し変電部30へ送る。

このように風力によって回転力を得て発電する風力発電システム1では、発電機本体部4の回
転軸13はその回転トルクを発電機12に伝達するとともに、フライホイール装置50を支持
する回転軸14にも回転トルクを伝達する。風力の低下によって回転軸13の角速度が低下す
る場合、回転軸14はその慣性力に起因した回転トルクを回転軸13に付与する。変電部30
は系統連係保護装置31と電力系統32などを備える。系統連係保護装置31は発電機本体4
側と電力系統32の側との間で送配電関連の連携を行う上での系統保護を行う装置である。電
力系統32は例えば送電線や配電設備などである。

風力発電において、より効率のよいエネルギーの貯蔵には、フライホイール装置50の回転速
度に応じて、慣性モーメントが可変であり、特に回転速度が小さい場合には慣性モーメントが
小さく、回転速度が高い場合には、慣性モーメントが大きく設定されることがよく、より多く
の回転エネルギーを効率的に貯蔵できるフライホイール構造が適している。そこで、第1の実
施形態では、図2に示すように、フライホイール装置50は、このフライホイール装置の外壁
を構成する筒状の筐体(円環部)であるガイド20と、このガイド20内に回転軸14を介し
て対向(軸対称に)配置された液体室23(第1の液体室)と、液体室23よりも遠心側に設
けられた液体室24(第2の液体室)と、液体室23と液体室24との間を流動体が流通可能
な通路25、26と、液体室23と液体室24の間に固定して設けられた剛体27と、弾性支
持部材としてのばね28、29を備える。ガイド20は回転軸14に軸支されている。液体室
23、24はガイド20と回転軸14との間に径方向に並べて設けられている。液体室23、
24には、流動体(質量があり、流動する性質をもつ、または流動しやすいもの)、例えば金
属懸濁液41などの機械油が充填されている。

金属懸濁液41は機械油に金属粉を懸濁させた液体であり、比重が大きく、遠心力が作用する
径方向(以下「遠心方向」という)の移動で、より慣性力を高めることができる。液体室24
のガイド20の内周面側の面と回転軸14とは、ばね28を介して接続されている。液体室23
の回転軸14側の面と回転軸14とはばね29を介して接続されている。ばね28とばね29
は互いに釣り合いがとれる程度の付勢力を持っている。剛体27は液体室23、24の互いに
対向する壁面を摺動自在に構成する壁面を有している。剛体27の壁面は液体室23、24の
対向する面を摺動自在に塞いでおり、剛体27の位置は固定されている。このため液体室23、
24が遠心力で移動すると剛体27の壁面の位置との関係で液体室23、24の容積(内容量)
が変化する。

液体室23、24、ばね28、29および剛体27などにより遠心方向および求心方向の質量
移動装置が構成されている。遠心方向および求心方向などを包含して径方向という。すなわち
このフライホイール装置50は、回転軸14に軸支されたガイド20を有し、回転軸14の回
転状況に応じてガイド20と回転軸14との間の径方向の質量(重量)を変化させる質量移動
装置である。フライホイール装置50は、回転軸14の回転速度が増加すると、径方向の質量
(重量)を大きくし、回転軸14の回転速度が低下すると、径方向の質量(重量)を小さくす
る。続いて、この風力発電システムの動作を説明する。 この風力発電システムの場合、風力
によって回転トルクを得た回転軸13はその回転トルクを発電機12に伝達するとともに、回
転軸14を介してフライホイール装置50にも回転トルクを伝達し、フライホイール装置50
が回転する。




フライホイール装置50の回転により、液体室23、24全体が得る遠心力が、ばね28、29
の収縮力(付勢力)を上回ると、図3に示すように、液体室23、24全体がガイド20の側、
つまりホイール外周方向(矢印Pの方向)に移動し、液体室23、24の内容量が剛体27の
壁面によって変化する。このとき内容量が小さくなった液体室23の液体が通路25、26を
通じて内容量が大きくなった液体室24に送られる。これにより、回転軸14(重心)から離
れた位置の質量が大きくなり、慣性モーメントが大きくなり、フライホイール装置50に、よ
り多くの回転エネルギーを蓄積できる。

一方、フライホイール装置50の回転の角速度が低下すると、液体室23、24に作用する遠
心力が低下し液体室23、24全体が回転軸14へ向かう求心方向(または遠心方向と逆の方
向)に移動する。このとき液体室24の側面が棒状の剛体27の壁面によって圧迫されて液体
室24の液体が液体室23に送り込まれる。このようにこの第1実施形態によれば、風力が低
下し液体室23、24全体が得る遠心力がばね28、29の収縮力を下回ると、液体室23、
24全体が回転軸14の側、つまり回転中心の方向に移動し、液体室23、24内の液体が剛
体27の壁面によって圧迫されて回転軸14に近い液体室23に液体が移動し、慣性モーメン
トは小さくなり、低い回転トルクにおいてもフライホイール装置50を駆動することができる。

一方、風力が高まった場合には、液体室23の容積が小さくなり液体室24の容積が増えるこ
とで、回転軸14から遠い液体室24に液体が移動するので、慣性モーメントが大きくなり、
より多くの回転エネルギーを蓄積できる、という効果を得ることができる。また筒状のガイド
20内の液体室23、24内に充填する液体として機械油を用いることで、遠心力の変化に対
応して油が速やかに液体室23、液体室24間を移動し速やかに慣性力が変化するフライホイ
ール装置50を実現できる。特に実施形態のような金属懸濁液41を用いて流体の比重を大き
くすることで、慣性モーメントの最大値を大きくし、より多くの回転エネルギーを蓄積できる
効果が得られる。すなわち、風力が低下したときにも、回転エネルギーが蓄積されたフライホ
イール装置50からの回転トルクを受けることで発電機12の回転軸13は比較的安定した角
速度を得ることができ、発電出力の安定化を図ることができる。

このように、フライホイールを「フライホイール蓄電装置」と呼ばれ、さらに、フライホール
の用いられる「軸受」なかでも「磁気軸受」が技術焦点となっているいる。この特許事例につ
いては後日触れてみる。

                                    この項つづく


 

  Debbie Reynolds

映画「スター・ウォーズ」でレイア姫を演じた米女優キャリー・フィッシャーさんが死去し、
一夜明けた12月28日、母親で女優のデビー・レイノルズがロサンゼルスの病院で死去。こ
の娘の後を追うような急死に、驚きと悲しみが広がる。母のレイノルズは、娘キャリーの葬儀
の話し合いのために息子宅にいて、脳卒中を起こす。息子は、キャリーが亡くなったショック
が「大きすぎた」と話す。今年になって、何度か脳卒中を起こし、娘の死に、ひどく取り乱し
ていたという。倒れる前は「キャリーと一緒にいたい」と話しこれが最後の言葉になる。息子
は「母は今キャリーと一緒にいるが、私たちは全員、心を痛めている」と話す。レイノルズは

テキサス州出身、1948年に女優としてデビュー。ジーン・ケリーと共演したミュージカル
映画「雨に唄えば」(52年)での歌やダンスが高く評価されたほか、57年には主演映画の
主題歌「タミー」を歌い、大ヒットした。

 ● 今夜の一曲

I hear the cottonwoods whisperin' above,
"Tammy ... Tammy ...
Tammy's in love"

The ole hooty-owl
hooty-hoos to the dove,
"Tammy ... Tammy ...
Tammy's in love".

Does my lover feel
What I feel
When he comes near?
My heart beats so joyfully,
You'd think that he could hear.

Wish I knew if he knew
What I'm dreamin' of
Tammy ... Tammy ... Tammy's in love. 

デビー・レイノルズ 32年4月1日、米テキサス州エルパソ生まれ。57年に映画「タミー
と独身者」の中
で歌った「タミー」はアカデミー音楽賞にノミネート。タイタニック号の生存
者を演じた「不沈のモリー・ブラウン」(64年)でアカデミー主演女優賞にノミネートされ
るなど、長く人気女優として活躍した。キャリーは、最初の結婚相手エディ・フィッシャーと
の娘。3度結婚している。

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再エネ百%社会へ突入

2017年01月07日 | 環境工学システム論


                             運は動より生ず    / 『易経』(えききょう)



      ※ 易経の「易」という字は、トカゲを側面から見た象形文字で、
        上部の「日」はトカゲの頭部、下部「勿」は足と尾であると
        いう(『説文解く字』)。ある種のトカゲは十二時虫とも呼
        ばれ、体色を一日に12回も変えることから、易という字は
        「変化する」という意味を持つようになった。

                                                                

  

【RE100倶楽部:太陽光利用革新的イチゴ栽培】

● 山口県で実証、暖房費80%削減:先ずは太陽光型植物工場で

昨年12月14~16日都内で開かれた展示会・アグリビジネス創出フェア2016(農林水
産省主催)で、山口県農林総合技術センターは、「太陽光エネルギーを蓄熱利用するイチゴ省
ネ栽培システム」の実証成果を報告。同システムは、日中のハウス内の余剰熱を蓄熱槽に蓄え
ておき、温度低下時の加温に活用する。隣接する未利用ハウスの屋根に1
.62キロワットの
フィルム型太陽電池を設置し、蓄電池(450アンペアアワー)と組み合わせ独立電源とし、
送風ファンなどを稼働させるもの。イチゴ栽培は、腰ほどの高さの台上で育成する高設型を採
用した。台の下にグリ石(岩石を割った小石)による蓄熱槽を配置し、イチゴ苗を下から加温
する仕組み。ハウス内の温度が、グリ石の温度より高くなった場合、送風ファンを稼働して蓄
熱する。

ハウス表面には布団状保温資材を装着し、日中は巻き上げて、太陽光を取り入れた。布団資材
と太陽光蓄熱利用システムの相乗効果により、栽培期間中、ハウス内の温度を4℃以上に維持
が可能とし、15年12月から16年3月まで実証、暖房用の燃料使用量ゼロを実現。化石燃
料を使用せず、暖房費を80%削減し、基準単収4トン/10アールを確保できた。このシス
テムの特徴は次の通り。

  1. 山口型移動式高設栽培システム「スライドらくラック」による高位生産と省エネ技術:
    ラック(栽培
    槽)を左右に移動させることにより、同じ面積のハウス内により多くの株
    を植栽できるようにする。
  2. 2重アーチ構造によるパイプハウスのリノベーション技術:既存のパイプハウスを利用
    し、より強度や採光性に優れるように作り変える。
  3. 高保温性内張り資材(布団資材)による保温と暑熱対策:布団資材とは、布の間にポリ
    エステル
    綿を挟んだ布団のような資材を使うことにより、従来のフィルム資材より断熱
    性を高めたもの。この布団資材をハウスの内張りに使用して、ハウス内の気温を植物の
    生育適温に保つ。
  4. 局所加温用テープヒータシステムによる省エネ技術::スポット加温が可能なテープを、
    イチゴの株元に沿わせて設置し、株元部分のみを加温することで、暖房コストを削減す
    る。 
  5. 太陽光エネルギーの蓄熱利用省エネシステム:日中ハウス内暖気を栽培槽下の蓄熱槽(
    ぐり石)に蓄えておき、夜間放熱して栽培槽を暖めることで暖房コストを削減する。
     

 

  滋賀県産章姫

 

 Wikipedia

 Jan. 4, 2017

● テスラ「ギガファクトリー」でリチウムイオン蓄電池量産開始

【電気自動車と家庭用太陽電池で先行】

1月4日、テスラは、米ネバダ州リノ(Reno)の東方約35kmに建設していた工場「ギガファク
トリー(Gigafactory)」で、パナソニックと共同でリチウムイオン蓄電池の量産を開始したと
発表。年間35ギガワットアワーの生産を見込む。 2170セル」(21mm×70mm)と呼ぶ円筒形
のセル(単電池)を量産する。同社がこれまで採用していた汎用品のセル「18650」(18mm×
65mm
)より一回り大きい寸法となる。テスラとパナソニックが共同開発したもので、電気自
動車(EV)や定置型蓄電池など向け製品で、最高の性能を最低の製造コストで量産することを
目指す。

昨年12月、2170セルの品質検査のための製造を開始していた。当面、ギガファクトリーでは、
定置型蓄電池である「パワーウォール2(Powerwall 2)」と「パワーパック2(Powerpack 2)」
向けの2170セルを量産する計画。定置型蓄電池は、住宅用の太陽光発電システムや産業用のメ
ガソーラー(大規模太陽光発電所)、マイクログリッドなどでの利用が見込まれている。
また、
EV「モデル3(Model 3)」向けの2170セルの量産は、17年第2四半期に開始予定とする。18
年までに同工場では年間35ギガワットアワーの蓄電池を量産を見込む。この量産規模は、
界中で現在、生産されているリチウムイオン蓄電池をすべて合計した量匹敵する。

 Jan. 5, 2017

テスラは、いくつかのフェーズに分けてギガファクトリーの建設を進める。フェーズごとに運
用で、
完成した部分から同社とパナソニック、他のパートナー企業が迅速に量産フェーズに入
り、そ
の後も漸次、生産規模を拡張できる。フェーズごとの運用により、工場建設や運用スキ
ルの継続的な
改善や、セルの製造コスト低下といったメリットも得られるとする

テスラによると、現在利用している施設内の建築面積は190万平方フィート(約17万65
00平方メートル)で、複数階にまたがる延べ床面積は490平方フィート(約45万520
0平方メートル)である。これは、まだギガファクトリー総面積の30%未満に過ぎないとい。
完成時に同工場は世界最大の建築物になると同社は見込む。
ギガファクトリーの稼働で量産が
進めば、セルの製造コストは大幅に下がると見込む。これは単に規模の経済だけでなく、自動
化率の向上、歩留まりを改善するプロセス設計、製造原単位(ワットアワー)当たりの設備投
資の削減、製造プロセスの集約・最適化など、いくつかの要因が効果を上げると目論む。

テスラは、米国内でリチウムイオン蓄電池を量産で数千人単位で雇用を創出し、同社とパナソ
ニックは、17年だけで数千人を地元から雇用すると見込む。生産量のピーク時では、ギガフ
ァクトリーは直接雇用で6500人、間接的に2万人から3万人の雇用創出を計画している。

  Dec. 21, 2016


● 浮体式洋上風力の発電コストを20円/キロワットアワーに低減

昨年12月21日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、浮体式洋上風力発電シ
ステムの発電コストを20円/キロワットアワーに低減する要素技術の開発に着手することを

発表。風車・浮体・タワーを一体化した方式による軽量化、台風時の風荷重の低減などを実現
するシステムの概念設計、小型のモデル装置を使った水槽試験やシステムの安全性・信頼性・
事業性の評価などに取り組む。

洋上風力発電で先行している欧州などと比べて、日本の海には、遠浅の沿岸域が少なく、かつ、
海底も急峻な地形が多い。このため、欧州などで使われている風力発電システムをそのまま持
ち込むことが難しい。
これらは、着床式の洋上風力発電だけでなく、より深い海域に対応でき
る浮体式の洋上風力発電システムについても言え、それぞれの方式で日本の海に対応できるシ
ステムを開発することで、導入できる海域を広げる狙いがある。

また、浮体式洋上風力発電では、出力2~5メガワット規模の実証研究が国内外で始まってい
る。この中で、技術の検証に加え、コストを低減できるような取り組みが盛り込まれる。
今回
は、1点係留技術による風車ヨーシステム(風車の回転面を風向きの変動に追尾させる制御シ
ステム)の省略、2枚ブレード風車の採用による台風時の風荷重の低減、一体化した風車・浮
体・タワー方式による軽量化などを実現する発電システムの概念設計、部品の試作、水槽試験
などに取り組む方針という。

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅲ】

1.風車ロータの最適化

1-2-7  風車ロータ周りの流れ

 Fig.1-13 に示す測定断面 M0M3 上の流れを自作の5孔ピトー管を用いて定常的に測定した。
単段風車ロータ(Front blade G)、Tandem Wind Rotors GE, GG の 各最高効率点における流れ
Fig.1-14,1-15,1-16 に示される。ここに,R は風車ロータ半径で除した無次元半径(=2
r / dF)、①αは流れの測定結果から算出した迎え角、②VMtm,VRtm,VΘtmは、M0 断面での
風速で除した、軸方向、半径方向(半径外向きを正)、および旋回(前段風車ロータの回転方
向を正)速度成分である。単段風車ロータの場合(Fig. 1-14)、風車ブレードを出た後の流れ
M2断面)はロータの全域で旋回方向速度成分が発生し、
特にハブ付近で顕著に現れている。
方向速度成分は、ティップに近づくにつれ減速が著しくなる。また、風車ロータに流入する
直前(M1 断面)から既に半径外向きの速度成分を持ち、前述の軸間距離が出力に対する影響
を持つものと考えられる。

次に、Tandem Wind Rotors GEとした場合(Fig. 1-15)、最適なブレード取付け角度が βF=10deg、
βR
16
deg. (図略)であり、βF は単段として最適な値よりも大きな値を示しているため、
段風車ロータの後流 (M2 断面)での軸方向速度成分の減速、旋回速度成分の発生が抑制さ
れている反面、後段風車ロータへの流入状態が改善されていることがわかる。しかし、Tandem
Wind Rotors GE
では後段風車ブレードに二次元対称翼を使用しているため、ハブ側からティッ
プ側にかけて迎え角が減少、R=0.6 を超えた付近 で迎え角は負の値を示す。このため、後段
風車ロータは効果的な風車運転ができず、後段風車ロータの存在による一種の流れの閉塞によ
って前段風車ロータへの流入状態も悪化し、性能は期待できない。

そこで、後段風車ロータに Rear blade G を使用している(Tandem Wind Rotors GG,Fig. 1-16)。
Tandem Wind Rotors GEと比較すると、前段風車ロータに流入する 流れ(M1 断面)での軸方
向速度成分の減速は免れな いものの幾分は改善され、半径方向速度の増速が抑 えられている.
また、後段風車ロータを出た流れにおいて旋回方向速度成分の増速が顕著に現れていることを
確認。これは,後段風車ロータが十分 に仕事をしていることを物語る。前後段風車ロータは
設計よりも幾分大きい迎え角で、運転されている(設計点:前段α=8deg、 後段α=11deg.)。
 MEL002 翼型の揚抗比が最大となるのがα=10 deg. 付近、失速点がα= 21deg.付近である。
Tandem Wind Rotors GG, GE 双方とも、前段風車ロータは失速点付近で運転されており、所望
の性能を得られなかった可能性がある。これは,風車ロータ設計時に前後段 風車ロータの互
いの干渉を考慮していなかったためであり、前段風車ロータの設計段階において、後段 風車
ロータの存在を考慮する必要ある。

1-2-8 空力騒音

このインテリジェント風力発電ユニットは基本的に、増速機構回転速度制御機構等の削除を
前提としているため、ナセル内部の機械音による騒音は考えなくてよいが、前後二段の風車ロ
ータを持つため、風車ロータ間の干渉による干渉騒音の発生、前後段風車ロータから放出され
る渦、前段風車ロータで発生した乱流成分が主流とともに後段風車ロータに流入する際の主流
乱れに起因する乱流騒音の発生が考えられる。

以上のことを踏まえ、タンデム風車ロータの空力騒音を把握し、前後段風車ロータ形状の違い
による騒音への影響について調べるとともに、ブレード周りの流れを計測し、騒音と流動状態
との関係を調べ、次のようなことを明らかにした。ここでの実験条件は、反回転時(NF=1800
rpm,NR=‐1800rpm
)、周方向から測った前後段ブレード取付け角は βF=βR=11.3deg.、風速
V=10.7m/s、前後段風車ロータ径比 は DRF=0.53、0.70、1.13、前後段風車ロータ間の軸間距
離は L=0.15,0.23,0.30 である。風車ロータ間距離の影響:等価騒音レベルは風車ロータ間距
離が狭いほど高くなる.これは風車ロー タ間距離を広くすることにより前段風車ロータで発生
した乱れが拡散され、後段風車ロータに流入する主流の乱れの影響が弱められたためと考える。

性能は風車ロータ間距離狭いほど高出力となり、性能と騒音で妥協点を見つける必要性があ
る。後段風車ロータ径の影響:等価騒音レベルは前後段風車ロータ径比が大きくなるほど高く
なる。これは、後段風車ロータ径が大きくなれば、前段風車ロータで発生した渦や乱れの影響
を受けやすくなるためと考えられる.この風力発電ユニットは、前段に大径風車ロータと後段
に小径風車ロータをもち、前後段風車ロータ径比は DRF=0.84 と決定されているので、騒音レ
ベルが高い、後段に大径風車ロータを持つ場合については議しなくてよい。 
 

1-2-9  結言

大小二段の風車ロータと固定子を持たない新たな発電機によって構成される、タンデムロータ
型インテリジェント風力発電ユニットの実用化を目指し、前後段風車ロータの好適化を対する
指針を得た。

1-2-10 参考文献

(1)芽 陽一,新エネルギー辞典,(2002),P.365 (2)大屋裕二ほか,高出力つば付きディフューザ風車の
開発,日本風工学研究会誌 No.99, pp. 121-122 (3)前川博,揚力線理論に基づく水平軸風車の最適設
計,機論,52-474,B(1986),pp. 602-608

(4)奥林豊保ほか,ダリウス風車の変動トルクに関する研究,日本機械学会九州支部論文集,(2000),
pp. 103-104

(5)竹内一喜ほか,クロスフロー風車の高性能化に関する研究,日本機械学会 2003 年度年次大会,
(2003),pp. 67-68 (6)Kanemoto, T. et al, Almighty high output intelligent wind turbine generator with
tandem wind rotors, (2007), 
Proceedings of the 5th ASME/JSME Joint Fluid Engineering Conference,
CD-ROM FEDSM 2007-37541 (7)Kubo,  K.  et  al,  Development  of  Intelligent  Wind  Turbine  Unit 
with  Tandem  Wind  Rotors  and   Double 
Rotational Armatures (2nd Report, Characteristics of Tandem
Wind Rotors), (2008), Journal of Fluid Science and Technology, Vol.3, No.3, Special Issue on Utilization
of Renewable Fluid Energy, pp.370-378

(8)Kubo, K. et al, Intelligent Wind Turbine Generator with Tandem Wind Rotors Applicable to Offshore
Wind  Farm (Profiles and Performances as Tandem Wind Rotors), (2008), Proceedings of the 18th Intern-
ational Offshore and Polar Engineering Conference, pp.441-446
(9)金元ほか,機論,66-644, B(2000), p.
1140

(10)http://riodb.ibase.aist.go.jp/db060/index.html
 (11)牛山 泉,風力エネルギーの基礎,(2005)

(12)牛山 泉,風車工学入門 ~基礎理論から風力発電技術まで~ ,(2002)
(13)西山哲夫,翼型学,(1992)

(14)Erich Hau,Wind Turbines (Fundamentals, Technologies, Application, Economics),(2006)

1-3 今後の課題と取組

定格風速以下の風速域における最高効率運転を目指して風車ロータの開発を進めてきたが、こ
の風力発電ユニットでは定格風速以上の風速における後段風車ロータの回転挙動が重要となる。
今後、風速の増加とともに後段風車ロータが停止を経て前段風車ロータと同方向に回転するた
めの形状を探究する。

以上、コメントなしで掲載。
                                    この項つづく

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黒鳥解体新書

2017年01月05日 | 政策論

 

          トランプは口を開けば嘘をつくのです。/ トニー・シュウォルツ

                   "Lying is second nature to him"    Tony Schwartz


                                    
                                                         born 1952 -

  
        ※ 嘘つきは泥棒の始まりと言いますが。        

 


【常在戦場2017:超マクロ編】

● 米国に吸い寄せられるマネー:ブラックスワン警戒

国の招商銀行が、12月中旬に売り出したドル建て年利2・37%の理財商品は60秒で完売
――。米大統領選後のドル高・人民元安を受けて、中国で人民元からの資本逃避が加速してい
る。リアルな金融商品ばかりではない。仮想通貨のビットコインにまで殺到している。11月
の欧米のビットコイン取引高は過去最高を更新した。それに貢献したのが、中国マネーだった。
中国にはビットコインの大手取引所が3つあり、世界取引量の9割以上を占める。11月の取
引高は、1億7471万ビットコイン(約16兆円)に達し、これまでの過去最高だった3月
の1億4856万ビットコイン(約11兆円)を上回りた。人民元相場は12月に入って1ド
ル=6・9元台後半と、8年7ヵ月ぷりの安値をつけた。元安を加速させたのは、11月の米
大統領選でのトランプ氏の勝利だ。同氏が公約に掲げた大型減税や巨額インフラ投資に期待が
集まり、米国経済が活性化するとの思惑から、中国もきめた既界中のマネーが、米国株式市場
に流れ込む。

 

出典:週刊エコノミスト

三井住友アセットマネジメントの渡辺英茂調査部長は「トランブ氏の勝利後、世界の資金フロ
ーは大きく変化した」と話す。上図は、トランプ政権誕生が決定した直後の2016年11月
10日~12月11日の政界各国・地域の株式・債券ファンドの資金流出入額だ。米国の金融
商品調査会杜「EPFRグローバル」のデータを基に渡辺氏が分析した。米国の株式市場には、
1ヵ月余りで600億ドル(約7兆円)もの資金が流人
渡辺は「積極的な財政政策が取られ
るという期待が高まり、トランプの掲げる『強いアメリカ』に資金が吸い寄せられているよう
に見える」と指摘する。

金利上昇(債券価格下落)、インフレの高まり予測から、米国内で債券から株式への大資金移
動が起きる一方で、ドル金利上昇(ドル高・自国通貨安)を見越し欧界中からマネーが米国に
向かっているのである。投資家はこれまでの低成長・超低金利持続を前提とした運用スタンス
の見直を迫られた。日本でもファンド経由では流出となっているものの、東京市場では外国人
投資家が、米国大統領選の結果が出た11月週2週日以降、5週連続(累計3兆円超)の大幅
な買い越しに転じた。また、ファンド経由でもでは流入超になりている。

● ビジョンを失った欧州の政治家

一方で中国のほか、マレーシアやインドネシアなどマネーが吸い取られた新興国は通貨安にあ
えぐ、急激な資金流出は通過安、インフレを招き、実体経済をむしばむ。通貨安が止まらず、
それが連鎖するような事態になれば、1990年代後半のアジア通貨危機の危機の再来となり
かねず、「ブラックスワン(めったに起こらないが、発生すると大きな悪影響が出る事象)」
を警戒する声もある。英国の欧州連合(EU)離脱や、ドイツ・フランスで相次ぐテロとい
った政治・社会問題を抱える欧州からは債券資金が大映に流出した。欧州巾‐吸銀行(ECB}
による金融緩和は継続しているが、景気は上向かず手詰まり感が漂う。シリアなどからの移民
難民問題も影を落とす。これらの問題に既存政党が解決策を示せず、大衆の不満が尚まる中、
17年の「選挙イヤー」を迎える。

仏大統領選(4~5月)で極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が有力候補と
なるなど、移民排斥や反グローバリズムを掲げる勢力が台頭する。菅野泰夫大和総研ロンドン
リサーチセンター長は、政治家はもはや理念や理想を語る余裕はない。移民問題や経済政諏へ
の不満を不満をぶちまけないと、支持を集められないからだと逼迫した現地の様子を伝える。
16年は外国のEU離脱や米大統領選で、エスタブリッシュメント{既成勢力}を、否定し、
大衆の不満と不安を取り込むボピュリズムが台頭。17年は各国で国民の分断と反逆の動きが
さらに加速し、反グローバリズムが先鋭化し分岐点にあると結んでいる(世界経済総予測20
17「米国に吸い寄せられるマネー "
警戒されるブラックスワン"」、週刊エコノミスト 2017.
01.03/10合併号)。

【トランプの経済政策予測】

● 楽観論:ポール・シェアードS&Pグローバルチーフエコノミスト

不確実性はあるものの、前例にとらわれない大胆な政策実行で閉塞感を突破しれない。その1
つが、金融政策に過度に依存しすぎた反省から、金融と財政の一体運営(リバランス:再均衡
)へのシフト――政府主導による大規模な財政出動やインフラ投資の促進が求められているが、
これはEUの緊縮財政からの転換を意味する。

● 悲観論:スティーブン・ローチエール大学シニアフェロー

トランプノミクスは一晩で米国経済を強靱にできる魔法ではない。今年の早い時期に税制改革
を着手するがこれが直ちに経済浮揚させることができるかは別問題で、財政出動より官民パー
トナルシップの税制控除で投資を活性化させるだろうが4%の経済成長目標を達成できるかと
いうと難しい。従って、企業は技術・人材双方への投資を必要とするが、消費マインドが先行
する中での法人税の引き下げは効果がないだろう。17年の世界経済リスクは①貿易通商の急
減速を伴う脱グローバル化、②保護主義の台頭、③米中関係の急激な悪化が懸念される。

● 資本主義の終焉:水野和夫法政大教授

水野和夫は、英米で起きている現象は近代資本主義国家が作り上げた秩序が崩壊しようとして
いる表れであるが、安く仕入れて、高く売る成立条件崩壊後の新しい秩序がどのようになるの
かが明らかになるには時間を要する。経済学者ケインズはゼロ金利は「利子生活者の安楽死」
をもたら、革命を経ずに大きな社会改革が可能と指摘しているが、現代の日本とドイツがまさ
にそうした状態にあるとし社会のすみずみに資本がいきわたりゼロ金利の状態で、分配による
社会改革が可聡な状態にあるものの、旧来の価値観から離れなければ新時代の秩序は見えてこ
ない。

● 被害者意識に彩られたナショナリズムへの回帰:小野塚知二東大教授

比較劣位業種を生む国際分業は、地域の衰退や失業という苦難を与え、輸出産業も過当競争に
陥る。国際分業の深化にともなって発生するさまざまな苦難への配慮と対処を怠るなら、苦難
か生み出す被害者意識と政治との相互作用の結果、戦争によって国際分業そのものが壊されて
しまう危険性があることを第一次大戦は示している。「民主政治の本質は大衆迎合」との言説
は、19世紀末から20世紀初めにかけて、欧州諸国で史上初めて民衆が政治の決定権を握る
時、ナショナリズムは大衆に迎合すると見せながら、実は、捏造した「敵」への敵意に大衆を
扇動する。問題が国内であるのなら直視して、まずは国内で内需拡大、雇用創出、所得の再分
配などの地道な方法で解かなければならない。経済政策に失敗して外向きに逃避する結果が、
第一次大戦のような未曽有の災厄だとするなら、そのツケはあまりに大きい。

【常在戦場2017:マネー編】

● トランプショックは陰陽双方のゲームチェンジャー:長谷川克之みずほ総合研究所  

トランブ大統領誕生は世界経済の大きな節日、ゲームチェンジャーになる可能性かある。世界
的に財政・金融政策のポリシーミックス(政策の伜組み)の軸足が金融政策から財
政政漿にシ
フトしつつある。トランプショックは、ポジティブでのゲームチェンジャーとなる可能性だけ
でなく、ネガティブなのゲームチェンジャーとなるリスクもある。17年は米国でサブブライ
ム問題が顕在化した07年から10年目、97年のアジア通貨危機から20年目、87年のブ
ラックマンデー(株価暴落)から30年目の節目の年にあたる。背景はさまぎまだが、国際協
調の瓦解、米ドル高リスク、規律の弛緩などがあった。トランブ・ショックが新たな危機の芽
となることがないか、注視する必要がある。

● 新興刻通貨安を促し、トルコ・リラ・人民元は要注意:山田雪乃大和証券

 

トルコは昨年7月のクーデター未遂事件後、エルドアン大統領が権限を強めており、与党・公
正発展党
は12月10日に憲法改雨案を国会に提出した。実現すれば、トルコは大統領が大き
な権限を持つ体制へ移行し、中央銀行の機能.不全がさらに進むとの懸念が高まるだろう。メ
キシコと中国は、トランプが掲げる「保護主義的な貿易政策」の繁影響が最も懸念される。同
氏は「為替操作が製造業の不振を招いている」ため、メキシコ製品には35%、中国製品には

45%の関税をかけることを選挙公約とした。しかし、高関税の実現は難しく、比較的低税率
の関視導入にとどまるだろう。メキシコの経常赤字や成長率見通しは良好であり、足元ではメ
キシコ・ペソは売られ過ぎと考えられる。産油国のメキシコにとって、原油価格の上昇は追い
風である。一方、中国人民元は、米国との金利差拡大観測か今後も中国からの資金流出の動
につながりやすい。


貿易政敵では、仮に中国から米国へ
の輸出関税が男灯の平均4・2%から10%程度への引き
上げにとどまっ
たとしても、中国の経済規模を考えれば輸出停滞や世界貨易量の減少などの悪
影響は懸念される。中国の米国向け輸出品では、機械や医療、靴、玩具、家電、廉価な電子機
器など幅広い製品が.悪影響を受けやすい。中国の貿易黒字の縮小に加え、高関税が同様に適
用される多国籍企業による直接投資の減少も懸念され、人民元安がさらに進むリスクもあろう。
その場合、人民元安か他のアジア国通貨売りへと広がるリスクを警戒すべきだろう。人民几安
は中国の輸出競争刀を強める方で、対人民元で通貨高となるアジア諸国の輸出競争力を低下さ
せる。人民元の下落が他のアジア通貨の下落につながるとの懸念か高まり、リスク回避的なセ
ンチメント(心理)も高まりやすい。ただ、輸出依存度か低いインドの通貨は、相対的に底堅
くなりそうだ。

【常在戦場2017:米国編】

● 新興国の債務不履行リスク増/米不動産価格割高:堀井政孝SBIボンドI・M社長


● 大幅減税・1兆ドルインフラ投資・共和党:秋山勇伊藤忠経済研究所

 トランプノミクスの大きな柱である 「大幅減優 ・ インフラ投資 ・ 規制改革」 を概観すると、国内経済
優先政策」は目に見える分かりやすさが特徴(下表)。税制改革の主な中身は、連邦法人税
の大幅減税(35%から15%へ)、企業の海外留保利益還流時の税率軽減(―回限りで10
%に)、個人所得税の簡素化(税区分を7から4へ)と減税、相続税や贈与税の軽減など。米
シンクタンクのタックス・ポリシー・センタは、トランブ氏の公約かすべて実現すると、17
年に国内総生産(GDP)の1・8%に相当する約3400億ドル(約10兆円)の減税効果
かあると試算。通常、大幅な税制改正は膨大で複雑な法案修正か必要で、準備から法案可決ま
で、
年単位に及ぶ時間がかかることもある上、上院での法案採決の前に立ちはだかる野党の壁
(議事妨害)を打ち破るには上院議員100人中60人の賛成が必要だが、共和党は52議席
と安定多数に届かない。

事態打開には「財政調整法」と呼ばれる議会における予算関連法案の審議スピードを速める手
続き,このプロセスを採用すると、時限立法になるものの、上院の過半数数の賛成で減税法案
が決議できる。共和党主流派を説得し、この切り札を使って減税法案を速やかに決めてしまう
手がある。
 

インフラ関連では、老朽化した鉄道、高速道路、橋梁、空港など交通インフラの補修・刷新や
水・電力など杜会インフラの拡張・整備を推進するために、10年で1兆ドルの投資が見込ま
れる。この政策は、国民の便益を高め、雇用も刺激する効果があるので、まさにトランブが目
指す「国内重視」と「目に見える分かりやすさ」に合致する。問題の財源は、共和党の教科書
に従えば、財源目当ての赤字国債発行は控えたいので、そこでトランブか主張するのは官民バ
ートナーシップ――公共的な施設の整備・運営や公共サービスの提供に当たって、民間事業者
の資金やノウハウを幅広く活用する手法:Public Private Partnership。PPPは、政府業務において市
場機能を活用して、行政サービスの供給を最適化すべきという考え方(New Public Management)に基
づき推進され、その特徴は、専門家による行政組織の実践的な経営を目指すこと、業績の評価基準を
明示すること、権限の委譲を図ること、競争を強化することなど
――に
よる民間資金の活用や、税額
控除メリット。既に「インフラ債}を発行して、インフラビジネスに興味がある内外の投資
家の資金を呼び込むアイデアも聞こえる。「お得感」を分かりやすく見せてディール(取引)
を迫る。

大胆な規制緩和も公約に掲げている。金融規制改革法(ドッド・フランク法)撤廃など、金融
規制の見直しも含まれる。ビジネス・フレンドリーな環境作りに向けた規制見直しをすること
は確かだろうが、トランプは自前の資金で選挙を戦い切っており、良くも悪くもウォール街と
貸し借りがない。どこまで金融界寄りの緩和となるのか現段階では判断がつかない。政権発足
初期はトランプと共和党が.一枚岩となってオバマ時代の失地回復に向けた協調体制を取ると
しても、根底で理念を共有しない両者の対峙は避けられない。財政規律に対する思想の違いも
明らかなため、2月の大統領予算教書より始まる17年度予算策定を巡る両者の駆け引きが最
初の試金石になるとなる。

● トランプ外交 「ディール(取引)」は安保に通用せず:手嶋龍一外交評論家

「日本もアメリカを防衛する義務を負うべきだ,我々がこう求めたなら、日本の人々はきっと
断ってくるに違いない。それじゃ交渉は決裂だと訪えばいい。日本は必ずや米国を防衛すると
我々の要求を受け入れるはずだ」(大統領選挙で隠れた激戦州となったウィスコンシン州ミル
ウォーキーでの選挙演説)。トランプが安全保障について、どのような考えを抱いているか、
この演説にくっきりと表れている。
         I
トランプ流のビジネスのディールは、大国がしのぎを削る安全保障の世界では通用しない。た
とえ日本に譲歩させても、日本国内の反米ナショナリズムをあおってしまえば、新興の軍事大
国、中国に付け入る隙を与えてしまう。米国はTPPから公約の通り時に離脱するのだろう。
そうなれば東アジア第2の大国日本、中国か主導する「東アジア地域包括的経済連携」に大き
く傾かざるを得ないだろう。南シナ海に、そして東シナ海にとせり出しつつある海洋強国・中
国は、軍事、貿易の両面で優位に茫つことになる。これでは太平洋
に巨大な戦略的空白を生じて
しまい、トランプ次期大統領が目指す「強い米国」など到底望めない。

オバマ大統領が自ら推敲を収ねて
練り上げた「ヒロシマ・スピーチ」は、日米両国の政治の底
流に蓄積きさ
れつつある「歪んだナショナリズム」に警告を発するもので同盟関係を単に軍事
的な盟
約にとどめることなく、自由や民主主義といった共通の理念を分かち合う揺るぎない礎
の上に築き上げて
いくべきだと説いている。「米国と日本は単なる安全保障同盟だけでなく、
私たち市民に戦争を通
じて得られるよりもはるかに多くのものをもたらす友情を築いてきた」
とのオバマスビーチは15年4月19日、安倍首相が米議公で行った演説への答えに他ならな
い。この
安倍演説では、ワシントンのフリーダム・ウォールの壁面に刻まれた第2次世界大戦
の犠牲者を追悼
る4000の星々に触れている。「その星ひとつひとつが先の戦陣に斃れた
士7百人の命を表すと聞いたと
き、私を戦慄が襲いました。金色の星は、自由を守った代償と
して、誇
りのシンボルに違いありません」安倍首相はこのスビーチを通じ、日米同盟もまた自
由と民主主義
を共に分かち合う「理念の同盟」としなければと訴え、議会人の共感を勝ち得る。
そして4年間に
及んだ安倍・オバマ時代の棹尾を飾る会談を真珠湾で行うことで「理念の同盟」
をさらに揺るぎないものに
したいと訴えている。

● 金融政策 FRBは無謀な政策に「警告」:鈴木敏之三菱東京UFJ銀行




● メディア戦略 オルタナ右翼に既存メディア機能不全:前嶋和弘上智大教授



16年の大統領選では、CSI テレビや新聞など既存の大手メディアの影響力低下が浮き彫りに
なった一方、ネッ卜上で支持者を拡大する過程で白人至上主義や移民排斥など極端に差別的な
傾向を持つ二ュースサイトが注目を集め、白人至上主義や移民排斥、反ユダヤなど人種差別的
な運動は「オルト・ライト(オルタナティブ・ライト、オータナ右翼)ごと呼ばれる。この運
動を牽引してきた代表的なメディアがオンラインニュース「ブライトバート・ニュース」。

現在でも新聞や地上波のニュースは「客観性」が行動原理。24時間ニュース専門局やインタ
ーネットの台頭で、情報源としての地位は相対的に下がりつつある。ネット上の情報を「差別
的」「虚偽の内容」と切り捨てるだけではかえって批判の矛先が自分たちに向くことになりか
ねず、既存メディアは有効な対抗策が見えない状態にある。トランブ当選の背景には、このよ
うな既存メディアを取り巻く機能不全があることを忘れてはならない.政権の情報概略の全容
はいまだ明らかではないが、新興ネットメディアに通じたスティーブン・バノンを政権中枢に
迎えたトランプ陣営か、世論の動きを分析しながらネットを積極的に活用していくのは間遠い
ない。例えば自分が支持する政策に対して議会が異を唱えた時、オルト・ライト支持者を一気
に動員して世論の圧力をかけてくる可能性もある。オルト・ライトが跋扈するネットの情報空
間は、大統領就任後もトランブを援護射撃していくだろう。

Steve Bannon Nov. 27, 1953 -

以上、「2017常在戦場」に関する情報をまとめてみた。わたし(たち)の視座(=いかに
して社会主義社会に移行するか)からどのように評価・是正すべきかという問題解決のイメ
ージはすでにブログで掲載しているので変わらないが、個別局面では今後の展開如何で緊張を
強いられるだろう。年頭で頭を整頓するために「週刊エコノミスト」を参考にさせてもらった。

 

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SWTⅡと勝鳥神社

2017年01月03日 | 滋賀のパワースポット

 


         金利がゼロに近い状況で金融緩和は効かず、マイナス金利の深掘りも
        金融機関のバランスシートを損ねるが、財政出動も併せて行えば効果はある。

                              クリストファー・シムズ
                               

                                 
                                 Christopher Albert Sims 
                                                               Oct. 21, 1942 ー                                 

                             
     

 

   

彦根市三津町に、17年の干支(えと)の酉(とり)にちなんだ名前の神社があることを知り、
その名も「勝鳥(かつとり)神社」。管理する三津町自治会によると、縁起のいい名前にあや
かろうと、一月だけで観光バス三百台が訪れる。自治会などは、もてなしの準備に大わらわと
なっているといことで、物見遊山も兼ね初詣にでかける。神社は1878(明治11)年、現
在の名
前になった。つがいのニワトリの石碑や鳥をかたどった屋根瓦など「トリ」にまつわる
物が境内の至る所にある。氏子は約60軒。神主は常駐せず、普段は地元の人
たちが掃除など
の世話を行っている。正月三が日、3500人が参拝との情報(2017.01.04 中日新聞)。

それによりと、一日からの三日間に約3500人、観光バス八80台弱が訪れた。12年前に
記録した一年間の参拝者数5千人は、一月上旬にも突破する勢い。2月までバスツアーの連絡
が入っており、小さな集落にしては、今年は2万人の参拝者を見込んでいるから半端じゃなく
なっている。面白い。

  

●  勝鳥神社の由緒

勝鳥神社は天雅彦命を主神とし、事代主命・大山昨命をまつるす。天雅彦命が出雲国から東方
へ征伐に出陣されたとき、事代主命らとともに、三津に立寄り、美濃国での戦死した天雅彦命
のなきがらを、高照姐命の兄が三津に葬り、勝鳥石を立てたと語り伝えられている。その後天
雅彦命を崇敬する近郷の領主や人々が多数所願し、明治11年に神籤神社を勝鳥神社と改めて
今日に至る。主祭神天雅彦今は古えよリ武勇の神として尊崇されている神であり、また事代主
命は大国主命の御子で、一般に恵比須さんと呼び親しまれている福の神、商売繁昌の神であり
ます。今年はトリ年であり、また「勝」という元気、勝負に勝つという縁起がかつがれ、前向
きな気が頂ける神様として、一気に注目され観光バスでの参拝が絶えず、今、人気のスポット
である。



参拝を終えランチは家で縁起を担ぎ「かっちんうどん」と日登実ワイナリーの「La Shi Sa」で
寒さをしのぐ。ところで、稲霊信仰による神祭や通過儀礼の食品であり、餅を食べることで神
の霊力を体内に迎え、生命力の再生と補強を兼ねた「かっちいうどんた」は、江戸時代には諸
国の街道筋では食べると力がつくと売り出された「力もち」なる名物餅も売り出され始め、
諸国を旅する旅人が餅が入ったうどんは力がつく(腹もちの良い)うどんということで全国で
に普及。「力うどん」と呼ばれることになる、カロリーと滋養補強(ネギ・蒲鉾。卵黄)を簡
単にいただける彼女の愛溢れるファーストフードである。

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅱ】

1.風車ロータの最適化

フィールド実験結果(統合課題A)を随時導入し、風洞実験と数値シミュレーションを併用し所
望する回転挙動を示し、かつ高効率 (45%以上を目標)の前後段風車ロータ形状を提案する。
このとき、 汎用設計法と低騒音化も視野に入れる.

1.2.1 タンデム風車ロータの位置付け

風況が良好な欧米に適した従来技術の延長線上にある現状の①水平軸プロペラ風車は、日本に
代表されるような風速の変動が大きく、風向も一定せず、水平軸プロペラ風車にとって、良好
な風況が得にくい地域において、必ずしも適しているとはいえない。これに対応するため、②
新たな風レンズ風車が提案されるとともに、③従来からのプロペラ風車、④ダリウス風車、⑤
クロスフロー風車などの性能向上が盛んに試みられている。

「風況を選ばない高出力インテリジェント風力発電機の実用化研究」では、タンデム風
車ロータが固定子を持たない独特な発電機の内外回転電機子をそれぞれ独立して駆動す
る全く新しい風力発電ユニットを考案し、
その実用化を目指し、ここではタンデム風車ロー
の独特な回転挙動に着目しながら、その形状と特性の関係を把握しながら好適なブレード形
状の設計指針を求めている。
 
1-2-2  タンデム風車ロータの所望回転挙動

この風力発電ユニットの特徴は、内外回転電機子に働く相反回転トルクが一致する点で運転さ
れるが、その回転方向と速度は任意であることを利用する風車ロータの回転挙動にある。風力
発電ユニットの姿を上図1-1に示し、所望する運転挙動を下図1-2に示す。カットイン風
速を過ぎると、両風車ロータは互いに逆回転を始め、後段風車ロータの最高回転速度付近で、
定格運転に達する。それ以上の風速になると、小径の後段風車ロータは風車運転として発生す
る回転トルクには限界があるため、大径の前段風車ロータと回転トルクと一致するように、回
転速度を減速し、停止状態を経て前段風車ロータと同方向に回転を始める。系統連系では別途
開発を進めている二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電機との的確な連携プレーにより、

生する電気の質を容易に保つことが可能となる。 


1-2-3 風洞実験装置と試供風車ロータ

風車ロータの特性を把握に、風洞出口(出口ノズル径 800 mm)端から測って280 mmの位置が
前段風車ロータとなるように下図1-3に示す実験装置を設けている。この風力発電ユニット
の姿は、大小二段の風車ロータと、二重回転電機子方式発電機によって構成されるが、ここで
は前後段風車ロータの発生動力を、それぞれインバータで回生制動のできる電動機に吸収させ
た。このとき二重軸構造となるが、後段風車ロータ軸(外軸)は、タイミングベルトを介し別
軸に連結され、各風車ロータ軸と電動機の間にはトルクと回転数の検出器が設けている。

前後段風車ロータのブレード枚数はZZ=3,ZR=5とし、下図1-5に示すブレードを準備。
ブレードEは、翼型からなる二次元ブレード(翼弦長 32 mm、市販の模型ヘリコプター 用な
ので翼型不明)である.ブレードGは MEL002 翼型からなり、周速比(=ティップ位置での
周速度/風速)λ=6のとき、半径位置によらず迎え角α=7
degとなるようにひねりが与え
られ、ハブからティップにかけて、翼弦長が一定の割合で減少されている(35~26 mm)。

尚、後段風車ロータのブレード高さは、前後段風車ロータの好適直径比を調べたブレードE
ついては 97.5~180 mm のものを使用 し、ブレードG は 180 mm である.以降,前後段風車
ロータ順にこれらのブレード識別E、Gを用いて、たとえば Tandem Wind Rotor GE(前段風車
ロータにブレードG、後段風車ロータにブレードEを用いた場合)と呼ぶ。さらに、前後段風
車ロータのハブ径は 50 mmで、両者のブレードの取り付け角度βF,βR(上図1-4)は自由
に設定することができる。実験は前述した本風力発電ユニットの運転条件を考慮し、前後段風
車ロータが発生した回転トルクが一致する点(方向は逆)で行った。このとき,予め調べた軸
受やプーリ機構などの機械トルクを加算した正味回転トルクで評価、風洞出口の流れはノズル
径範囲(直径 800 mm)で半径方向にほぼ一様かつ軸対称となることを確認。この流れは後方
になるにつれて、風車ロータ(直径 500mm)により排除される分、半径方向外向きに編流する。
その量は十分に広い一様流の場合と異なることが懸念されるが、風車ロータ外端より半径が大
きい位置で軸方向速度が入口基準断面の軸方向速度 VM0 とほ ぼ一致するため支障はないと判
断。 風車ロータのティップ位置における翼弦と相対速度から求ま る最高出力点での実験レイ
ノルズ数は、Re=5.8×104~1.4×105 程 度であり、実用機設計への資料として幾分問題は残る
が、基本 特性を把握する本研究の主目的に支障はないであろう。尚、この研究の実験範囲内
において相似則が成立することを確認しされている。



1-2-4 前後段風車ロータの好適な直径比と軸間距離

 Tandem Wind Rotors EE,GE を用いて後段風車ロータ(ブレード E)の直径を変化させて出力
と回転トルク特性を調べ、上図1-6 に示す。ここに DRF は前後段風車ロータの直径比[=
dR / dF]、CPmax は各 DRFにおける出力係数 CPmax[=P / (rAV 3)、 r:空気密度、P: 出力、A
タンデム風車ロータの流れに垂直な投象面積] の最高値、V は風速、L は無次元軸間距離
[l /dF、l:軸間距離],NFopt, NRopt,NTopt はその時の前後段風車ロータの回転速度(前段
風車ロ ータの回転方向を正)および両者の相対回転速度である。後段 風車ロータ径が大きく
なる(DRF 大)につれ、前段風車ロータに対する後段風車ロータの影響が強く現れるため、最
高出力を与える前後段風車ロータの回転速度 NTopt はブレード形状によらず遅くなる。これに
対し、直径比 DRF に対する後段風車ロータの回 転速度 NRopt の傾向はブレード形状によって
変化する.すなわち、前段風車ロータにひねりのあるブレードGを使用すると(Tandem Wind
Rotors GE
)、後段風車ロータに比較的良好な流れを与えるため、段風車ロータの回転速度は、
 DRF  が小さい 領域で速いが、後段風車ロータのブレード E はひねりを持たないため、径の
増加に伴って、粗悪なブレード作用(径の大きい所では圧力面側で剥離、径の小さい所では負
圧面側で剥離)の影響が強く現れ、前段風車ロータのブレード形状によらずNToptはほぼ同じ
となる。

前段風車ロータを通過する流れは,半径外向きに偏る傾向を持つ(後述)が、後段風車ロータ
径が大きくなると、その流れのエネルギーをも受け取るため後段風車ロータの出力CPRmax
増大するから,タンデム風車ロータとしての出力 CPmax は DRF =1付近で極大値をとるが、
上図.1-7 [NF,NR 前後段風車ロータの回転速度(前段風車ロータの回転方向を正)NT:相対
回転速度]に示す前後段風車ロータの回転は、 DRF=0.84付近まで、相対回転速度が遅い領域
において後段風 車ロータが前段風車ロータと同方向に回転するのに対し、DRF =0.84 より
も大きくなると、前段風車ロータが後段風車ロータと同方向に回転する。これは、後段風車ロ
ータ径(受風、面積)が大きくなる分、後段風車ロータの回転トルクも大きくなるため、前段
風車ロータはその回転トルクに一致するように後段風車ロータと同方向に回転(一種の送風運
転)すると考えられる。このような、前後段風車ロータの回転挙動は、前述の本風力発電機の
着想から大きく逸脱するものである。したがって,着想に添い、かつ高出力の得られる最適な
前後段風車ロータ径比は、DRF =0.84
である。上図1-6, 1-7には二種類のタンデム風車ロータの
場合を示しているが、上述した前後段ロータ径比に対する出力および風車ロータ回転挙動の傾
向は前段風車ブレードの形状に依存しない。 前項で得た好適風車ロータ径比 DRF=0.84 の場合
について、タンデム風車ロータの特性に及ぼす前後段風車ロータの軸間距離 L [=l / dF,図1-5
参照] の影響を下図1-8 に示す。前後段風車ロータの軸間距離 Lが短いほど半径方向
の流れ
の偏りの影響が少なくなるので、出力CPmax
は増加する。実用上は、風による風車ロータのたわみ
や振動を考慮して、前後段風車ロータを可能な限り近付けることになる



1-2-5 ブレード取付け角度と特性の関係

タンデム風車ロータとしての特徴把握の準備として、Front Blade G 単段の場合について、各ブ
レード 取付け角βF(上図1-4)に対する最高出力係数 CPmax およびそれを与える周速比 lopt
下図1-9に示す。設計の際に所望した通り、βF =0 deg. CPmax は最高値をとる。次に前章で得
られた好適なタンデム風車ロータの姿において、CPmaxを与えるブレード取付け角の影響を調べ
た(下図1-10)。ここに、lFopt,lRopt,lTopt は最高出力を与える周速比を示す。上述のように
Front blade G
を単段とした場合の最適な取付け角度はβF0 degであるのに対し、後段風車ロー
タを設けた Tandem Wind Rotors GE では、βF10 deg. βR16 deg.CPmax が最大となり、
相対周速比lToptは前段ブレー ド取付け角に影響され,後段風車ブレード取付け角が大きくなる
につれて遅くなる。前段風車ロータの 周速比 lFoptはブレード取付け角が大きくなるにつれ遅
くなるが、後段ブレード取付け角度には影響されず、ほぼ一定の値をとる。後段風車ロータの
周速比 
lRopt は前段風車ロータのブレード取付け角が単段として最適な値である 0 deg.で極端
に減速しているが、前段風車ロータのブレード取付け角が大きくなるにつれその影響は見られ
なくなる。これは,前段風車ロータの取付け角度を最適にすると、後段に流入する流れのエネ
ルギーが減少してタンデム風車ロータ全体としてみると良好な出力が得られなくなることが考
えられる.従って、
前段風車ロータの設計に際しては、後段に流入する流れを考慮する必要が
あろう。


1-2-6 周速比と特性の関係

前項で最高出力が得られた単段の風車ロータ(Front blade G,bF=0 deg.)と、Tandem Wind
Rotors GE(βF=10 deg.
βR=16 deg.)の速度特性を図 1-11に示す。タンデム風車ロータにすると最
高出力を与える相対周速比は速くなる。しかし、最高出力を与えるときの前段風車ロータの周
速比 lFopt は、後段風車ロータの影響を受けて単段風車ロータの場合よりも遅くなる。
また、Tandem Wind Rotors GEでは、かえって出力は低下する。これは、後段風車ブレードが二
次元対称翼であるため、後段風車ロータが十分な仕事をせず、それが前段風車ロータに流入す
る流れも減少させていることが主因である。そこで,後段風車ロータに,後述する前段風車ロ
ータ出口の流れに対して半径によらず好適な迎え角α=11deg.が得られるブレード(Rear bladeG
を採用すると、最高出力は向上する下図 1-12)。このときのタンデム風車ロータとして好適な
取付け 角はβF =5 deg. βR =15 deg(図略)となり、後段風車ロータは前段風車ロータの好適
化に影響する。このことからも、高効率を示す単段風車ロータを単に組み合わせるのではなく、
タンデム風車ロータとして独自の設 計法を求める必要があることがわかる。



ここまで、水平プロペラ型風力発電の設計を要件を知るために俯瞰したが、当面、詳細に実験
成果を少し細かく考察していく。わたし(たち)が考えている新風力発電システムは、この延
長にない。いずれその概要を呈示するまではもう少し先になる。

                                   この項つづく

● シムズ論文:金融緩和を続けながら財政出動は有効※

昨年末の週刊エコノミスト2016年12月27日号(毎日新聞)「インタビュー 浜田宏一内閣官房
参与・米エール大学名誉教授」の記事が気になっていたので掲載しておこう。「アベノミクス
で日銀が掲げた「物価上昇率2%」の目標は達成されていない」「ではどうすればいいのか」
「これまでは財政出動を主張していなかった」「財政出動というが、国と地方を合わせた債務
残高は国内総生産(GDP)に対して200%を超え、日銀の国債買い入れの限界も指摘され
ている」「金融緩和のためには、日本国債でなく、米国債など外債を購入するという選択肢も
あるのでは」「11月15日付『日本経済新聞』朝刊のインタビュー記事で「かつて『デフレはマ
ネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わ
ったことは認めなければならないと発言したことが、一部で、
リフレ政策や量的緩和を否定す
る発言”
と解釈されて話題になっている」「トランプ氏は中国と日本を"為替操作国"と主張し
ていた」「トランプ氏はTPPにも反対している」「米国経済の見通しは」「17年の日本経
済に楽観的か、悲観的か」などの質問に応えている(詳細は下図ダブクリ参照)。

計量経済学者である浜田の受け答えは至って冷静である。初期のアベノミクスで効果が出たの
は、人
々により新しいインフレ的なレジーム(政策)を期待させたこともあるが、一義的には
量的緩和が円レー
トの下落と結びついていたが、米大統領選でのトランプ氏当選までは円投機
の影響
なのか、金融緩和
円安に結びつかなかった。この1年間、量的緩和の効果が頭打ちに
なる。
一番よいのは、金融緩和を続けながら政府が財政支出、あるいは減税をすることで、公債発行
増大に伴う利子率上昇が民間投資阻害が相殺され金利上昇を抑えられ、強いては金融緩和で財政政
策効果を補強できる。ここで、眼を惹いたのはつぎの箇所。


 2016年8月に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた会合でクリストファー・
 シムズ米プリン
ストン大学教授が発表した論文を知り、考えが変わった。シムズ教授は日
 本の現状について「金利
がゼロに近い状況で金融緩和は効かず、マイナス金利の深掘りも
 金融機関のバランスシートを損
ねるが、財政出動も併せて行えば効果はある」という指摘
 をしている。それは政府、日銀を除く国民
のバランスシートを考えると自然な発想で、財
 政政策も重要だ。

※ FISCAL POLICY, MONETARY POLICY AND CENTRAL BANK INDEPENDENCE, CHRIST-
       OPHER A. SIMS,
Embargoed until presentation time of 1:00 p.m. Mountain Daylight Time, August
       26, 2016


※ Sims highlights fiscal dominance at Jackson Hole, Gavyn Davies, Author alerts, Aug 29 2016 10:42

そして、浜田は、次のように結ぶ。米国が財政出動をすれば景気もよくなり、日本経済にも波及するの
で、目先は楽観的。だが、トランプ政権は矛盾だらけの政策を追求しそうなので、予想外の波乱もある
だろうと。 同感である。


 

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近江神宮初詣

2017年01月02日 | 滋賀のパワースポット

 

    

       窮困凍餧(きゅこんとうい)すといえども、必ず邪道をもって貧(たん)をなさず。

    ※ 儒者はいったん登用されれば、見当に職務をとりしきるし、登用されなければ
      されないで、民間人として誠実な暮らしをする。けっして秩序を乱したりはし
      ない。どんなに貧乏しようとも、悪事をはたらいて金もうけなどしない。たと
      え錐の光ほどの土地ももたなくても、国家経綸の大刀剣をたくわえている。た
      とえ自分の主張を聴いてくれるものがだれひとりいなくても、生産向上と人民
      生活の安定のために何をなすべきかをよく心えている(儒者の姿勢)。 


    聞かざるは聞くにしかず、聞くは見るにしかず、見るは知るにしかず、知るは行う
    にしかず。学は行なうに至りて止む。

    ※ 聞くだけ聞いても、見なければ、どんなに物知りでも、まちがうにきまってい
      る。見るだけ見ても、わかろうとしなければ、どんなに物覚えがよくても、見
      当ちがいするにきまっている。わかるだけわかっても、実践しなければ、どん
      なに考えが深くても、ゆきづまるにきまっている。聞きもせず見もしなくても、
      まぐれ当たりをすることがあるだろうが、それはまともなやり方ではない。ま
      ぐれ当たりに頼っていては、する事なす事失敗するにきまっている(すぐれた
      儒者とは)。

                                                   荀子「儒効」 

                                                                                                                      B.C. 313 ーB.C..238   

 


      秋の田の 仮庵(かりほ)の庵(いほ)の苫(とま)をあらみ 

                わが衣手(ころもで)は 露にぬれつつ



      ※ 秋の田圃のほとりにある仮小屋の、屋根を葺いた苫の編み目が
        粗いので、私の衣の袖は露に濡れていくばかりだ。

 



                千早(ちはや)ぶる神代(かみよ)もきかず龍田川(たつたがわ)
       
                     
からくれなゐに 水くくるとは

         
         ※ さまざまな不思議なことが起こっていたという神代の昔でさえも、
        こんなことは聞いたことがない。龍田川が(一面に紅葉が浮
いて)
        真っ赤な紅色に、水をしぼり染めにしているとは。  
                                                                                                            

 

  内拝殿前の献花

※ 草月流の平石丹珠朋・織田丹珠由らにより献花される。写真右は酉年にちなんだ尾長鶏、左は
  今回で第30回となるので3重の輪をイメージして創作


【滋賀のパワースポット:近江神宮で初詣】

上天気がつづく、暖冬の正月休み。元旦は近くの北野神社、白山神社へ、二日は近江神宮に初詣に
出か
ける。近江神宮近くには日吉大社があるがここは立ち寄らず通過のみ。アクセスは湖岸道路→
琵琶湖大橋(守山/堅田)→近江神宮。所要時間は2時間半(社内駐車料金は5百円)。参拝客も
大勢で混雑していた(初詣参拝者数は15万人/多賀大社46万人/明治神宮319万人、但し、
09年警察庁調べというネット記事よりの引用
)。この神社は、皇紀2600年を記念して同年に相当
する40年――天智天皇(667年)に同天皇が当地に近江大津宮を営み、飛鳥から遷都した由緒
に因み、同天皇を祭神とし――創祀された新し神社である。

終戦直後に神道指令が発令された45年12月15日のまさにその当日に、戦後復興を祭神(天智
天皇)に祈願した昭和天皇の勅旨により、同神宮は勅祭社に治定され、例祭は大津宮に遷都された
記念日の4月20日に勅使が参向して行われている。このほか主な祭典として、6月10日時の記
念日の漏刻祭、7月7日の燃水祭、11月7日の御鎮座記念祭、12月1日の初穂講大祭、1月前
半の日曜日のかるた祭(かるた開きの儀)などが行われる。また、日本古式弓馬術協会による武田
流鎌倉派流鏑馬神事が11月3日に行われていたが、2015年から6月第1日曜日に変更される。

  漏刻 Jan. 2, 2017

※ 天智天皇が日本で初めて水時計(漏刻)を設置した歴史から境内には各地の時計業者が寄進し
  た日時計や漏刻などが設けてあり、時計館宝物館と近江時計眼鏡宝飾専門学校が境内に併設さ
  れている。

  内院回廊

  楼門 Jan. 2, 2017

  内拝殿

小倉百人一首 第1首目を詠んだのが天智天皇にちなみ、競技かるたのチャンピオンを決める名人
位・クイーン位決定戦が毎年1月に行われ、高松宮記念杯歌かるた大会・高校選手権大会・大学選
手権大会なども 開催されるなど、百人一首・競技かるたとのかかわりが深い。競技かるたに取材し
た漫画・アニメ『ちはやふる』の舞台ともなっている。

天智天皇の百人一首の歌の歌碑も設置され、柿本人麻呂・高市黒人の万葉歌碑、弘文天皇(大友皇
子)の御製漢詩碑、芭蕉句碑、保田與重郎の歌碑など多くの歌碑・句碑が作られている。

 Wikipedia

  ● 今夜の一曲

16年3月19日(土)公開の『ちはやふる』主題歌「FLASH」(Perfume)はの主題歌。“競技かる
た=百人一首”を題材とした大人気コミックスを実写映画化した作品、
「ちはやふる –上の句・下
の句-」と二部作連続での公開されている。
二部作ともに主題歌として抜擢。和歌に込められている
煌びやかで、鮮やかな世界観や、登場人物達のキラキラした青春群像を表現したいという北島直明
プロデューサーの思いとPerfumeのメンバーが「ちはやふる」のファンであり、原作者の末次由紀が
Perfumeのファンだということでこのコラボが実現する。作詞/作曲は中田ヤスタカ。

 

彼女が、月と金星(宵の明星)が大接近していると興奮している。表に飛び出しデジカメで撮る。
肉眼でもハッキリと見て取れるほどの明るさだ。少し興奮する。

  

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