<12月の鑑賞予定映画>
~私は、この子たちと生きて行く~
2012年 日本映画 (2012.07.21公開)
配給:東宝 上映時間:117分
監督:細田守
企画・制作:スタジオ地図
原作:細田守
脚本:細田守、奥寺佐渡子
キャラクター・デザイン:貞本義行
美術監督:大野広司
音楽:高木正勝
主題歌:「おかあさんの唄」 アン・サリー 高木正勝
プロダクション協力:マッドハウス
声の出演:宮崎あおい/大沢たかお/黒木華/西井幸人/大野百花/加部亜門
林原めぐみ/中村正/大木民夫/片岡富枝/平岡拓真/染谷将太
谷村美月/麻生久美子/菅原文太
<見どころ>
『時をかける少女』や『サマーウォーズ』など、新作を発表するごとに注目を集めてきた
細田守監督が手掛けたアニメーション。ヒロインがおおかみおとこと恋をして結婚し、出産、
子育てなどの日々を送る13年間を映し出す。細田監督と共に脚本を手掛けるのは、
『時をかける少女』『サマーウォーズ』でもタッグを組んだ奥寺佐渡子。
キャラクターデザインを『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの貞本義行が担当する。
おおかみこどもを育てる母と子の強いきずなに勇気をもらう。
<ストーリー>
19歳の大学生・花は、あるときおおかみおとこと運命的な恋に落ち、やがて雪と雨という
姉弟が誕生する。彼らは、人間とおおかみの両方の血を引くおおかみこどもとしてこの世に
生まれたのだが、そのことは誰にも知られてはならなかった。
人目を忍びながらも家族四人で仲良く都会の一角で暮らしていたが、ある日一家を不幸が襲い…。
<感想>
細田監督大ファンの私としては、待ちに待った作品。
前回の「サマーウォーズ」も素晴らしかったし・・・・というわけで公開早々行ってきました。
いやぁ・・・約2時間、最初から最後まで泣きっぱなしでした。
おかげで、アイメイク全て剥がれ落ち、上映終了後トイレに駆け込んじゃいましたが。
タイトルとは違い、この映画の主人公は、お母さんの“花”ですね。
花とおおかみおとこのラブストーリーを軸に、家族愛・親子愛・子供の自立が描かれています。
19歳で花は、オオカミ男と恋に落ち、子供を授かるも彼は急死してしまう。
生まれたこどもがオオカミと人間のハーフ、人に知られては困るので、出生の秘密を隠して
人里離れた山奥で母子3人での生活が始まる・・・というお話。
親子3人の生活は、ツッコミシーンもいっぱいあるが、そこはまぁおいといて・・・・・。
とにかく花の一生懸命な姿と、子供の元気さでなんか胸が熱くなります。
特に、幼少期の雪は、「となりのトトロ」のメイちゃんを彷彿させるような天真爛漫さ。
相変わらず、背景画のクオリティの高さには驚きます。
冒頭の花のアップシーンや、山の風景の細かさにはため息が出るほど。
そして今回も、入道雲が効果的に使われています。 なんかこれだけで満足。
予告編を観た段階では、お子様向けかな?と思いましたが、違いますね。
女性、特にお母さん向けの作品のように感じました。もしくは母性が強いかた向け?
小さいお子さんや男性の方には???かもしれません。
要は、花にどれだけ共感できるかで評価がかなり分断される印象を受けました。
子供はやがて自立する。自立するように親は導いていくのだけれど、いざ子供の自立を
目の当たりにすると、つい引き止めてしまうこの矛盾さ、あ~わかります。
そして、人と接触するのを避けてた3人は、秘密を抱えながらも結局は人と繋がっていきます。
姉の雪は、ある出来事で、狼人間と受け入れながらも人間として生きることを選択。
弟の雨は、ある出来事で、狼として生きることを選択します。
ここに至るまでの繊細な描写が良かったですね。 特に最後の雪が草平に秘密を告白する
シーンは涙ものでした。 あの二人のその後が気になっちゃいました。
細田監督の絵の手法は、背景は実写と見間違うほどのリアルさに相反して人物は影もない
平坦な描き方。 娘と話していましたが、このアンバランスさがいいのだと思います。
人物もリアルに描くと、逆にガチャガチャしすぎて観づらいように感じます。
今回も背景のリアルさ、かつ人物の躍動感、どれもよく出来ていました。
クオリティがとにかく高いので、これは映画館で観て欲しいですね。
「時をかける少女」「サマーウォーズ」が動な作品なら、こちらは静の印象。
でも、うちに秘めたエネルギーを持った作品だったと思います。
あれこれと理屈ではなく、心の奥深い所からジーンと来てしまう、そんな作品でした。
さすが細田監督。
ただ、お子様向けの作品ではないので、その辺は心して。
点数:10点 (満点)
<予告編>