<2月の鑑賞予定映画>
~空っぽの世界に、光はあるか~
2021年 日本映画 PG12指定 (2021.09.23公開)
配給:KADOKAWA/スターサンズ
監督:吉田圭輔
脚本:吉田圭輔
音楽:世武裕子
衣装:篠塚奈美
題字:赤松陽構造
出演:古田新太/松坂桃李/田畑智子/藤原季節/趣里/伊東蒼
片岡礼子/寺島しのぶ
<見どころ>
古田新太と松坂桃李が共演を果たしたヒューマンドラマ。万引きを目撃され
逃走中に車と衝突した女子中学生の死をめぐり錯綜する、被害者の父親と事故に
関わる人々の姿を描写する。『新聞記者』『宮本から君へ』などを手がけてきた
プロデューサーの河村光庸が企画し、河村が携った『愛しのアイリーン』などの
吉田恵輔が監督と脚本を担当する。関係者全員が被害者にも加害者にもなり得る
物語が映し出される。
<感想>
いったい、誰が悪かったのか?という思いが鑑賞後に沸き起こります。
序盤の交通事故シーンが、リアルすぎて衝撃。
交通事故は、被害者&加害者以外にさまざまな人を傷つけてしまうのだと
いうのがよくわかります。
父親を演じた古田新太さんのモンスターぶりは見事というしかなく
店長を演じた松阪桃李くんのおどおどした演技は、「孤狼の血」と
真逆でどんだけ幅があるんだ、と驚嘆。
一番怖かったのが寺島しのぶさんのお節介モンスター。
彼女を見てると「善」ってなんだろう?と考えてしまいます。
モンスター父親はあることを境に緩和されていくが、スーパーの店長は
だんだん重苦しくなっていくんですよね。実のところ一番闇が深いのは
彼だったのかも。
ラスト、父親と店長にほんの少しだけ救いになるシーンがあります。
それまでの数々の悲しい&不条理な出来事に比べれば、慰め程度の事ですが
そのほんの少しが心に沁みます。
事務所の中でどういう経緯があったのか、その数分間の「空白」の
謎が私には残りましたが、個人的に今年度の邦画でベスト5以内確定の作品。
重苦しいですが考えさせられる映画です。
点数:9点/10