朝、レッドブルをぐびぐび飲んで、ラディウスをチェックアウト。
シパダンダイバーにはおなじみの、えむへいち・どうぁさとぅどうぁさとぅ=MH2121便の出発時間は、午前7時ちょうど。ラディウスと同じワリサンスクエアにある、インペリアルホテルのミールクーポンをもらったが、6時スタートでは間に合わないので朝食は放棄。人っ子一人いないセンターポイント前からタクシーで空港へむかう。深夜早朝とはいえ30リンギットかかった。KKで、タクシーで、わずか15分の距離で、1000円近くというのは、なんか高すぎだ。
そして、いつものMH2121便にチェックイン。ここで関西からやってきたシパダン仲間と合流。彼らは、シャングリラホテルで、朝食をとれたらしい。「食べなくていいの?」と聞かれ、チェックインエリアの奥のマックをさされたが、「ドリアン月餅があるから大丈夫♪」と言って、そのままセキュリティチェックをすませ、さっさと出発エリアへとすすんだ。朝7時発の便には、まだまだ時間があったので、たいして空腹感もなかったが、その間にきのう買ったドリアン月餅をいただくこととした。パックを切ると、マイルドなドリアンの香りがふわ~り。これをいいにおいだと思ってしまえる。そしてさすがドリアン。おいしい。
そして、MH2121便にボーディングする頃には、すっかり空も明るくなった。けさのKKの空は、薄曇り。KKからタワウのフライトでは、いつもキナバル山の眺めを楽しみにしているが、今朝は、キナバル山は、その大部分が雲の中だった。これじゃ下山はどろどろだぁ、と、キナバル山下山のトラウマが甦った。そして、もうひとつ楽しみにしているのが、タワウに着陸体制に入ると、目に飛び込んでくるボルネオグリーン。椰子の葉の緑は、本当にいきいきとしていてきれい。ヴィトン、エピのボルネオグリーンはなぜ廃版になったかとふと思う。
タワウに着くと、荷物もすぐにピックアップでき、セレベス・エクスプローラのドライバーの送迎で、センポルナへむかう。ドライバーの名前は、アリ・ババだ。こんなボルネオグリーンの中に、ぽつんとあるタワウ空港からセンポルナまで約1時間、いつもは爆睡の時間なのに、テンション高いわれわれは、しゃべりっぱなしだった。
センポルナに着くと、シーフェストホテルでトイレ休憩。ホテルの従業員は、トイレを借りるだけのわれわれにも、優しい微笑みでドアを開けてくれるので申しわけない。いちおう、ホテルで高い、それでも船よりは安いであろうミネラルウォーターを買った。
センポルナからシパダンの間、海はぺたぺたで快適。どこのリゾートのボートに乗っても、だいたい途中でエンジンの調子が悪くなったり、なんらか止まってしまうが、今回は順調。今日は、ほとんどミラクルな、ノンストップでいけるかな、と思ったらシパダンへあと10分というところでとまった。よくあるエンジントラブルではなく、単にオイルタンクのつけかえだけだった。惜しい。
セレベスに乗り込むと、まず、キャプテンからのブリーフィング。キャプテンというと立派そうだが、芸人系キャラで、名まえはダスリという。船の停止直前に、ぐるぐる操舵してるといったタイミングにだけ、ごくまれにキャプテン顔をしているときもある。ブリーフィングは、私たちだけだったので、「ニホンゴ!」と言われたダスリは、頑張って最後まで日本語でブリーフィングをしていた。用が足りてしまうのがすごい。「ダイブマスターハ、トムトジェリーデス」と言ったが、ジェリーはホリデー中であった。うーん。私たちの大切な眼が、今回はない。簡単なダイビングの免責フォーム兼ゲストガードに記入すると、約一時間で最初の一本。
1本目・バラクーダポイント一本めから、いきなりバラクーダポイント。もちろん全員、このポイントチョイスに異議ナシ。今回のガイドはSKおじさん。SKは名前のイニシャルで、いつももの静かで、読書をしている。仙人のようだ。今朝は、バラクーダポイントにバラクーダはいなかったということで、ふーん、いないのか、とあるがままに事実を受け止めて、ボートに乗り込んだ。
もともとバックロールエントリーが嫌いなところにもってきて、セレベスエクスプローラーのダイビングボートは小さくて、ボートのへりに座ったとき、フィンの先が、ベンチにひっかかるのがいやで、いつもジャイアントストライドでエントリーする。飛び込んでみたら、なんだか海が青くてきれいだ。沖縄の離島で見たことがある色だ。リーフの上に、ギンガメの大群がいたが、全員、わりとあっさり潜降開始。94年には、ドロップオフでのオリエンテーションダイブで見たギンガメアジにも大興奮のメンバーだったのに、もう慣れっこだから、新鮮な感動にかけるといえよう。水深5mくらいのところで、アオウミガメが、固く眼をとざして、眠っていた。だいたい、眠っているようでも、片目が開いていたり、半眼であったりのことが多い彼らだが、きょうは、ギューっ、と閉じてる感じだった。さて、水が青いのに加えで、水温もダイコン上は29℃。ハンマーヘッドを探す感じじゃない。そして、バラクーダは、聞いていた通り、けさはいなかった。流れもなかったし、インリーフは、海の色は青いが、ミルキーな感じだった。
バラクーダポイントから船に戻るとランチ。みんな朝が早かったので、船に乗ったときには、すでに空腹だった。ドリアン月餅は、食べた直後は、ずっしり来たが、消化はよいようだ。セレベス・エクスプローラーの食事はおいしいので、みんなついつい食べ過ぎてしまう。さらに、私が辛いのが好きというのを覚えてくれていたようで、コックが顔を見るなり、すぐに醤油の中にチリとカラマンシーを入れて、ホットなソースを作ってくれたので、それをごはん、魚、肉、なににかけてもおいしくて、より食がすすんでしまうのだ。
2本目・スタッグホーンクレストサウスポイントにむけて流すが、途中で流れがかわり、押し戻された。その流れは、はじめはゆるやかだったが、だんだん早くなり、最後はピューンと、ひたすら流された。流れがはやくなるとともに、水のクリアさもアップ。浅瀬はこわいほど抜けていて、肉眼では、もはや青みすら感じなかった。干潮だと水面に頭が出てしまう、奥の方のリーフの輪郭も、普段の紗がかかった感じではなく、こわいほどくっきりと見えるのだ。乾季のモルディブなみの流れと透明度に、美しいハードコーラル。ただただ流れに乗って、水中の景観がとんでゆくのを楽しんだ。透明度が落ちてきて、やっと流れがゆるくなったと思ったら、ハンギングガーデンだった。
3本目は、ナイトダイビングだというので、パス。おやつも、夕食も、タイガーも、おいしくいただき、こうして、あっという間に1日目の夜は更けていったが、もう何日も乗っているような気になっていた、われわれなのであった。