ウェーの港、バロハンに降り立つと、男たちが、どこへ行くのか聞いてくる。
「ギャパンにまっすぐ行きたい!」と言うと、「ガパンね」と言われた。
ここではじめてGAPANはガパンと発音することを知った。考えてみれば、バハサではGAはギャではなくガだった。
このガパンに「ルンバルンバ・ダイビング&リビング」という、今回利用するダイビングサービスと宿泊施設があるのだ。港からガパンにゆくには、まずミニバスで15分離れたサバンという町へゆき(10,000ルピア)、サバンからミニバス(50,000ルピア)やタクシー(150,000~200,000ルピア)45分でガパンに行くというのが一般的らしい。ただ、ルンバルンバのホームページによれば、午後のフェリーで着いても、ミニバスのサービスはあまりないので、タクシーか、ミニバスをチャーターすることになるらしい。ややこしい。
男に何人いるかとたずねられ、「さとぅおらんさはじゃ(ひとりだけ)」と答えると、一瞬難色を示された。横には白人ですでにいっぱいになったミニバス。これに乗り込むのは確かに無理だ。しかしバスの天井に荷物を積んでいたドライバーが「のーぷろぶれむ。ゆーきゃんごー!」と手招き。行ってみると最後部右側に1つだけスペースが残っていた。「ガパンまでいくら?」と聞くと、50,000ルピアだった。あー、安くあがってよかった。
このプロウ・ウェーの港からガパンビーチへの移動が今回の旅の一番の難所ではないかと思ってたが、案ずるより生むが易し、ってやつだ。
港を出るとすぐに田舎の道になる。ミニバスの中には10人+かわいすぎるドイツ人の1乳幼児がいた。窓から流れる景色は、東南アジアのいなかのイメージそのもの。島の雰囲気はいっぺんで気に入ってしまった。水田、点在する民家、サッカーではなくバレーボールに興じる若者たち、ときどき見える海、牛、ヤギファミリー、にわとり。でもここの牛は、小走りになっていたし、ヤギファミリーもはや足、にわとりはかけまわりで、バリやアチェのやつらより活発だ。
起伏の多い、カーブ続きの道をミニバスはクラクション鳴らしっぱなしの猛スピードで走る。15分ほど走ったところでミニバスは止まった。まだ早いぞと思いつつ降りてみると、道の下にシャレーが何棟か見える。見上げれば椰子の木。
ここで8人+1乳幼児が降りた。ドライバーに「ルンバルンバはどこ?」と聞くと、「ルンバルンバはここから1時間!」といわれた。ミニバスの乗客は、感じのよいオージーの女性と私のふたりだけのガラガラになった。ミニバスが再び出発し10分ほど走ると、別のミニバスというか、キジャン・カー(トヨタがインドネシアむけに売っていた車)と合流した。キジャンにはガパンへむかうマレーシア人2人と白人のおやじ1人が乗っていたので、われわれミニバス組がキジャンへ移動することになった。
ウェーの道路はきちんと舗装されている部分が多くて概ね良好。地形も変化にとんでいて、落石注意みたいな場所もあった。大部分はココナッツやバナナの木が生い茂る道だが、標高が高くなるにつれ植物層がどんどんかわっていくのもおもしろい。高台を走ると、ところどころで眼下に広がる海がとても美しい。いちばん標高の高いところに到達すると、道路が補修中で、そこだけガタガタだった。砂利がひいてあるだけで、さらに急勾配なのでスピードも出ない場所が10分ほど続く。再び下りにはいると、道はまたよく舗装されており、あとは下り一辺倒。そして車は止まり、「ルンバルンバはこの下だよ」と言われて私だけが降りる。他の人々は、さらに先までゆくらしい。
さて、無事にガパンビーチに着いたものの、まず待っているのは石ころだらけの砂の斜面。そのあと海岸を50メートルほど歩くんだそーだ。ダイビング器材の入ったスーツケースを手に、気合いを入れて斜面を少し下りビーチに出ると、レストランやほかのダイビングサービスの人々が、「うぇるかむとぅーぷらううぇー」と声をかけてくれる。このビーチを自力で荷物運ぶ、これが今回の旅での最大の難所だなぁ、と思った。帰りのことを考えると、早くも憂鬱になる。
ルンバルンバの前に到達すると、中から白人女性が出て来た。ダイビングのリリースフォームとゲストカードに個人情報を記すと、COOLなイギリス人の女の子がリゾートのブリーフィングをしてくれた。ダイビング器材だけ取り出すと、さっそくローカルスタッフが器材をバスケットに回収して持っていってくれた。残る荷物はイングリッシュガールが手伝ってくれながら、部屋へ運ぶ。
もらったコテージ、No4はダイブステーションのすぐ裏。ダイビングサービスの裏口&トイレビュー。ダイビングに行くには便利な場所だ。他の部屋も、いずれにしても海やビーチがきれいに臨めるわけではなさそうで、ビューはいまいち。イングリッシュガールが、部屋の説明もこまごまとしてくれる。水が止まったら、インドネシアならではのマンディを使って、とか、停電したときのためにロウソクがここにあるわ、とか。ここなら部屋でワイヤレスもつながるわ、とそのあと、パスワードを持ってきてくれた。
そうこうするうちに日が暮れてきた。シャワーを浴び、ディナーにレストランを探そうと外へ出ると、真っ暗だ。今は新月に近いので、月明かりもない。ミニバスで着いたとき、ビーチで何件かレストランを見たので、きょう歩いてきた方向に行ってみようと暗闇を歩く。いちばんサービスから離れた位置にあるコテージのバルコニーでリラックスしていた白人カップルに、「ハ~イ!ビーチに出たいの?」と聞かれたので、「いぇ~す」と答えると、「そこは歩けないわよ、水が来てるから」、と言われた。「ご忠告ありがとう。」と、また自分のコテージのところまで戻る。ビーチと、ルンバルンバのコテージの間は、湿地帯のようになっていて、そこをつっきってビーチには出られなくなっていた。ダイビングサービスの建物を通ってビーチに出るか、斜面をあがっていちど車道に出てビーチに下りるかだ。夜は昔のシパダンみたく、水中ライト持っていないと、歩き回れない感じだ。しかし、シパダンのナイトダイビングの思い出を胸に、ナイトを封印した私には水中ライトがない。鳥目で万事休すなので、ルンバルンバのすぐ隣のレストランに行った。
ルンバルンバの部屋に備えつけられていた「Welcome to Lumba Lumba Diving」という、ダイブショップ、コテージ、ビーチについて案内したファイルによれば、この店は、「ダンダンナ」というのかな?薄暗い灯りがついている店の中に入ると、メニューはけっこう豊富にある。バリで毎日のようにナシ・チャンプルーかミーゴレンに偏っていたので、今日はチャプチャイとライスのセット25,000ルピアにしよう。アチェコーヒー5000ルピアとともに。
他にお客はいなかったが、ずいぶん長いこと食事は出てこなかった。別に急ぐこともないが、蚊との戦いがつらかった・・・。味はおいしくもまずくもなく。ライスはお米の精米がよくない。アチェコーヒーは、土っぽい感じで、苦味の中にかすかな甘みも感じられる、不思議な風味だった。メインランドであるバンダアチェから離れた島、しかもその島の中心からも離れたこのビーチでは、はるか町から物資を運んでくる関係だろうか、食べ物が高い。バリ値段がしみついていたので、なんでこの質素な食事にこんなに?と思ってしまった。
レストランを出ると、ますます真っ暗。瞳孔は最大限に開いた状態で、自分のコテージへと戻った。ベッドのリーディングライトをつけたまま出かけていたら、ランプの真下を中心に、ベッドにたくさん小さい虫が落ちている。いらっ。あー、自然豊かなだけに、虫が多い。部屋の壁にはゲッコがたくさん止まっている。ゲッコーは平気だけど、虫はいやだ。これから毎日虫かぁ、とテンションがさがりはじめてきた。
ワイヤレスはちゃんとつながるが、かなり遅い。そしてこうしてブログを書いていると、ラップトップの画面にも虫が飛んでくる。
明日は9時半にダイブステーションに行けばいいらしいから、ずいぶんゆっくりできる。おやすみなさい。
「ギャパンにまっすぐ行きたい!」と言うと、「ガパンね」と言われた。
ここではじめてGAPANはガパンと発音することを知った。考えてみれば、バハサではGAはギャではなくガだった。
このガパンに「ルンバルンバ・ダイビング&リビング」という、今回利用するダイビングサービスと宿泊施設があるのだ。港からガパンにゆくには、まずミニバスで15分離れたサバンという町へゆき(10,000ルピア)、サバンからミニバス(50,000ルピア)やタクシー(150,000~200,000ルピア)45分でガパンに行くというのが一般的らしい。ただ、ルンバルンバのホームページによれば、午後のフェリーで着いても、ミニバスのサービスはあまりないので、タクシーか、ミニバスをチャーターすることになるらしい。ややこしい。
男に何人いるかとたずねられ、「さとぅおらんさはじゃ(ひとりだけ)」と答えると、一瞬難色を示された。横には白人ですでにいっぱいになったミニバス。これに乗り込むのは確かに無理だ。しかしバスの天井に荷物を積んでいたドライバーが「のーぷろぶれむ。ゆーきゃんごー!」と手招き。行ってみると最後部右側に1つだけスペースが残っていた。「ガパンまでいくら?」と聞くと、50,000ルピアだった。あー、安くあがってよかった。
このプロウ・ウェーの港からガパンビーチへの移動が今回の旅の一番の難所ではないかと思ってたが、案ずるより生むが易し、ってやつだ。
港を出るとすぐに田舎の道になる。ミニバスの中には10人+かわいすぎるドイツ人の1乳幼児がいた。窓から流れる景色は、東南アジアのいなかのイメージそのもの。島の雰囲気はいっぺんで気に入ってしまった。水田、点在する民家、サッカーではなくバレーボールに興じる若者たち、ときどき見える海、牛、ヤギファミリー、にわとり。でもここの牛は、小走りになっていたし、ヤギファミリーもはや足、にわとりはかけまわりで、バリやアチェのやつらより活発だ。
起伏の多い、カーブ続きの道をミニバスはクラクション鳴らしっぱなしの猛スピードで走る。15分ほど走ったところでミニバスは止まった。まだ早いぞと思いつつ降りてみると、道の下にシャレーが何棟か見える。見上げれば椰子の木。
ここで8人+1乳幼児が降りた。ドライバーに「ルンバルンバはどこ?」と聞くと、「ルンバルンバはここから1時間!」といわれた。ミニバスの乗客は、感じのよいオージーの女性と私のふたりだけのガラガラになった。ミニバスが再び出発し10分ほど走ると、別のミニバスというか、キジャン・カー(トヨタがインドネシアむけに売っていた車)と合流した。キジャンにはガパンへむかうマレーシア人2人と白人のおやじ1人が乗っていたので、われわれミニバス組がキジャンへ移動することになった。
ウェーの道路はきちんと舗装されている部分が多くて概ね良好。地形も変化にとんでいて、落石注意みたいな場所もあった。大部分はココナッツやバナナの木が生い茂る道だが、標高が高くなるにつれ植物層がどんどんかわっていくのもおもしろい。高台を走ると、ところどころで眼下に広がる海がとても美しい。いちばん標高の高いところに到達すると、道路が補修中で、そこだけガタガタだった。砂利がひいてあるだけで、さらに急勾配なのでスピードも出ない場所が10分ほど続く。再び下りにはいると、道はまたよく舗装されており、あとは下り一辺倒。そして車は止まり、「ルンバルンバはこの下だよ」と言われて私だけが降りる。他の人々は、さらに先までゆくらしい。
さて、無事にガパンビーチに着いたものの、まず待っているのは石ころだらけの砂の斜面。そのあと海岸を50メートルほど歩くんだそーだ。ダイビング器材の入ったスーツケースを手に、気合いを入れて斜面を少し下りビーチに出ると、レストランやほかのダイビングサービスの人々が、「うぇるかむとぅーぷらううぇー」と声をかけてくれる。このビーチを自力で荷物運ぶ、これが今回の旅での最大の難所だなぁ、と思った。帰りのことを考えると、早くも憂鬱になる。
ルンバルンバの前に到達すると、中から白人女性が出て来た。ダイビングのリリースフォームとゲストカードに個人情報を記すと、COOLなイギリス人の女の子がリゾートのブリーフィングをしてくれた。ダイビング器材だけ取り出すと、さっそくローカルスタッフが器材をバスケットに回収して持っていってくれた。残る荷物はイングリッシュガールが手伝ってくれながら、部屋へ運ぶ。
もらったコテージ、No4はダイブステーションのすぐ裏。ダイビングサービスの裏口&トイレビュー。ダイビングに行くには便利な場所だ。他の部屋も、いずれにしても海やビーチがきれいに臨めるわけではなさそうで、ビューはいまいち。イングリッシュガールが、部屋の説明もこまごまとしてくれる。水が止まったら、インドネシアならではのマンディを使って、とか、停電したときのためにロウソクがここにあるわ、とか。ここなら部屋でワイヤレスもつながるわ、とそのあと、パスワードを持ってきてくれた。
そうこうするうちに日が暮れてきた。シャワーを浴び、ディナーにレストランを探そうと外へ出ると、真っ暗だ。今は新月に近いので、月明かりもない。ミニバスで着いたとき、ビーチで何件かレストランを見たので、きょう歩いてきた方向に行ってみようと暗闇を歩く。いちばんサービスから離れた位置にあるコテージのバルコニーでリラックスしていた白人カップルに、「ハ~イ!ビーチに出たいの?」と聞かれたので、「いぇ~す」と答えると、「そこは歩けないわよ、水が来てるから」、と言われた。「ご忠告ありがとう。」と、また自分のコテージのところまで戻る。ビーチと、ルンバルンバのコテージの間は、湿地帯のようになっていて、そこをつっきってビーチには出られなくなっていた。ダイビングサービスの建物を通ってビーチに出るか、斜面をあがっていちど車道に出てビーチに下りるかだ。夜は昔のシパダンみたく、水中ライト持っていないと、歩き回れない感じだ。しかし、シパダンのナイトダイビングの思い出を胸に、ナイトを封印した私には水中ライトがない。鳥目で万事休すなので、ルンバルンバのすぐ隣のレストランに行った。
ルンバルンバの部屋に備えつけられていた「Welcome to Lumba Lumba Diving」という、ダイブショップ、コテージ、ビーチについて案内したファイルによれば、この店は、「ダンダンナ」というのかな?薄暗い灯りがついている店の中に入ると、メニューはけっこう豊富にある。バリで毎日のようにナシ・チャンプルーかミーゴレンに偏っていたので、今日はチャプチャイとライスのセット25,000ルピアにしよう。アチェコーヒー5000ルピアとともに。
他にお客はいなかったが、ずいぶん長いこと食事は出てこなかった。別に急ぐこともないが、蚊との戦いがつらかった・・・。味はおいしくもまずくもなく。ライスはお米の精米がよくない。アチェコーヒーは、土っぽい感じで、苦味の中にかすかな甘みも感じられる、不思議な風味だった。メインランドであるバンダアチェから離れた島、しかもその島の中心からも離れたこのビーチでは、はるか町から物資を運んでくる関係だろうか、食べ物が高い。バリ値段がしみついていたので、なんでこの質素な食事にこんなに?と思ってしまった。
レストランを出ると、ますます真っ暗。瞳孔は最大限に開いた状態で、自分のコテージへと戻った。ベッドのリーディングライトをつけたまま出かけていたら、ランプの真下を中心に、ベッドにたくさん小さい虫が落ちている。いらっ。あー、自然豊かなだけに、虫が多い。部屋の壁にはゲッコがたくさん止まっている。ゲッコーは平気だけど、虫はいやだ。これから毎日虫かぁ、とテンションがさがりはじめてきた。
ワイヤレスはちゃんとつながるが、かなり遅い。そしてこうしてブログを書いていると、ラップトップの画面にも虫が飛んでくる。
明日は9時半にダイブステーションに行けばいいらしいから、ずいぶんゆっくりできる。おやすみなさい。