平和のよろこび

このところ最悪のリズムになっている。
私は胃カメラで生検をされ、首を洗っての判決待ち。家では母が
腰痛から激痛が走り歩けなくなってしまった。

救急車で運んだ病院では、検査の結果今まで以上の異変は
見つからないということで、結局痛みが取れるまで安静にするしかない
と、追い返されてしまった。

しかし依然として母は歩けず、トイレにも行けないので、
文字どうり寝たきりの状態になってしまったのだ。
そしてついには紙オムツを着用するようになってしまった。

私はただおろおろするだけだったが、カミさんはすぐに行動に移し、
下の世話から、体拭き、食後の歯磨きにいたるまで、かいがいしく、しかも
テキパキと行うのだった。

元々ヘルパーの免許を持っていて、介護の仕事をしばらくしたこともあるのだが、もう１０年近くもその仕事から遠ざかっていたのである。

金魚のウンチ状態だった私はこのときほどカミさんを心強く
思ったことはなかった。

一息ついてお茶を飲んでいるとき、外からスズメのさえずりが
聞こえてきた。チュンチュンチュン…スズメはいつものように
鳴いていた。

いつものように普通に過ごしている日々のなんと平和なことか…
こんなとき、つくづく思い知らされるのだった。