先日、作品展示中の「奈邪」からの帰り、ふと、
違う道を行ってみたくなり、帰り道を変えてみた。
いつもは、豊川稲荷駅への最短距離であろう
稲荷神社の左側に沿って帰っていた。それを逆の
右側に沿って帰ってみようと思ったのだ。
豊川へは何度も来ているのに、左の
道しか通っていなかったのである。
豊川稲荷はけっこう大きい神社なので、
大きく回らなければならないのだ。
右へ回っていくと、今まで気付かなかった
公園があるではないか。そう大きくはないが、
咲き始めの桜の木も結構多く、花見は
十分できそうである。それに、何とアートな
噴水まである。
その公園を見つつ稲荷を右にまわると、高ーい杉の木に
囲まれた細い道がまっすぐに続いていて、なかなかの風情だ。
左側の道とまったく違っていて、まるで別の世界に
入り込んだような錯覚を起こしてしまう。
右手には戦没者を祭る大きな墓碑が建っていて、
その隣には大木の桜がもう満開になっていた。
道を突き抜けると駅へと出る大きな通りへ出た。
そこを駅へ向かって歩いて行くと、何と
常滑焼を売ってる店が、あるではないか。
常々、一度常滑に行って、呑みグッズを
買いたいと思っていたので、しっかりオチョコを
購入し、再び歩き始めた。
すると、すぐ隣が煎餅など売っている菓子屋
さんで、妙齢の素敵な売り子さんがお客さんと
話をしていた。「ン…」どっかで見たような…
と思いつつ、お菓子をお土産に買っていこうかと
眺めていると、“キツネのみみくそ”なるものが
目に入った。ビー玉ほどのまん丸い大きさの
菓子が入っている。手に取ってみると、この店
限定販売と書いてあるではないか。
わたしは、そのネーミングに魅かれ、購入
しようとして、売り子さんを見て思い出した。
その妙齢さんは、「奈邪」に長く勤めていた
Tちゃんだったのだ。結婚が決まって店を
辞めたのだと聞いていたので、思わず声を掛けると、
「ああ、いま展示やってるんですか」と目を輝かせたので、
昔話に花を咲かせた。聞けば、そこは嫁いだ
先ではなく、パートに来てるとのことだった。
Tちゃんに別れを告げ、帰りの電車の中で
つらつら思ったのは、たまには道を変えてみる
ものだということだった。
道を変えたお蔭で、新たな公園を見つけ、
常滑焼のオチョコを買い、旧知のTちゃんに
会ったのである。
このまま、いつものようにいつもの道で帰っていたら、
あり得なかったことがあったのだ。
たった一筋、道を変えてだけで、大げさに言えば、
別の世界に入り込んだのである。
どうです、たまにはいつもと違う道を歩いてみては…。
良かったですね。
山道も素敵、でもまだ桜が残っているなんてちょっと不思議です。
常滑焼きのオチョコで飲んだお酒は美味しかったでしょうね。
私は同じ道を通れないタイプなんですよ。
通勤も気分で変えているし、散歩はなるべく一筆書きのように、
同じ道を通らない工夫をしています。
見ているわけですね。
わたしなど、生来のめんどくさがりなので、
最短と思われる道を探し出すと、
そこばかり…。
たまに違う道に入った時は、迷い込んだとき
という情けない有様なのです。
今度からは、ちょっと意識して違う世界へ…。