昆虫ではほとんど頂点に立ち、自分より小さい生き物なら何でも
食べてしまうし、以前見た資料では、カマキリどうし出会えば戦い、勝ったほうが
食べてしまうのだ。
おまけに交尾を終えたオスは、食べられてしまうこともあるというのだから
どういう呪いをうけたのだと思っていたのである。
そんなあいつが帰って来たのである。それから2日間わたしが会社から
帰ると、まるで迎えるかのように玄関ドア横のカベにジッとしていたのである。
カマキリに迎えられるというのはどうもゾッとしないが、小さい頃から見ていた
せいか、何だかおもはゆい感じだった。
しかし3日目になって、その姿は見えなくなった。それっきり約一週間近くなる
今まで現れていない。
カマキリの一生は一年なので、冬を迎えればどのカマキリにも死が待っているのだ。
あいつはきっと死を迎えるにあたって、生まれ育ったふるさと恋しさに
戻って来たに違いない。そうして死出の旅路にたったのであろう。
そう思うと何だか不憫な気もするのだが、こっちの勝手な思いでは、わたしに
別れを告げに会いに来てくれたようにも思え、ちょっぴり切ない。
すこやかな旅路になることを願いつつ、さらばカマキリなあいつヨ…。