春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「あぢさゐ紫陽花アジサイ」

2012-06-27 00:00:01 | エッセイ、コラム
都市農業公園2011


2012/06/26
ぽかぽか春庭十二単日記>つゆに咲く花(8)あぢさゐ紫陽花アジサイ

 今年もあちこちのあじさいを見て歩きました。去年撮影した写真といっしょにUPします。

水元公園2011


 今年、感慨深く見つめたのは、飛鳥山公園の下、JR線路際の「アジサイの小径」を通ったときのこと。
 
 さくら新道は、王子駅前の線路と飛鳥山公園の間にある、飲食店街。戦後すぐに闇市から発展したバラック建ての飲み屋街でした。多くの「闇市」がこぎれいに改装してしまう中、このさくら新道飲食店街は、土地の貸借権利関係が複雑だったらしく、駅前という立地にもかかわらず、再開発されないまま60年間変わらぬ姿で残されてきました。今では貴重な「戦後のにおい」を残してきたのです。私は一度もこの中の店に足を踏み入れたことがなかったのですが、飛鳥山にくるたびに、この「闇市」の風情が好きで、このさくら新道を往復したものでした。

 2011年3月の大震災でもなんとか建物は持ちこたえたのに、今年1月、火の不始末から、あっという間に、ほとんどの店が炎上。木造の簡単な作りなので、火のまわりも早かったみたいです。未明からの火事で、脇の線路を走るJRの路線は5時間もストップしました。半年たった今も、黒こげのトタン壁や瓦礫が残されています。

 火事の火の粉を被った株もあったかもしれないけれど、アジサイは、いつも通りに色とりどりに咲いていました。
 さくら新道から入って、飛鳥山のアジサイの小径をたどる人は、今年も大勢来ていました。私も、露の晴れ間の6月17日に、焼けた店とアジサイを交互に見ながら小径を歩きました。

さくら新道・アジサイの小径2012


 テレビなどで東京大空襲後の、焼け野原になった東京、これよりもっとすごかったのだろうなあと思いながら、さくら新道の焼け跡の光景を眺めました。
 戦後60年、ここで商売を続けてきた人にとっては、今年の雨は無情の雨に思えることでしょう。店の権利も、又貸しの又貸しというような、複雑な関係になっている上、新道の飲食店長屋のうち、三分の一は焼け残ったので、一気に取り壊して瓦礫を片付けてしまうこともできずに、このままになっているのかもしれません。

 戦後の焼け跡から出発し、去年2011年の暮れまで、人々のにぎやかな笑い声や歌が響き、煮物の匂い、揚げ物の匂いが道を通り抜けていた新道なのに、これから再開発されるのかどうか、話は聞こえてきません。
 にぎわいがいつか復活するまで、アジサイの花たちは静かに見守っているのでしょう。

<つづく>
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする