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ぽかぽか春庭「文学座:ガリレイの生涯」

2013-08-20 00:00:01 | エッセイ、コラム
201308/20
ぽかぽか春庭感激観劇日記>芝居は地球を回っている(3)文学座「ガリレイの生涯」

 「視覚障がい者の演劇鑑賞」をすすめる活動をしているアコさん、この夏、住まいの大阪から所用で上京して、「いっしょに文学座を見にいきましょう」と誘ってくれました。アコさんは劇団昴のファンで、いままで昴の芝居は何度もいっしょに見たのですが、文学座をいっしょに見るのははじめてです。

 池袋のアウルスポットで上演された『ガリレイの生涯』
 6月15日土曜日の回。
 最初日曜日に約束をしたのですが、チケットがとれず、土曜日ならまだ席がとれるというのでアコさんがとってくれたのですが、確認を怠ったために大失敗がありました。久しぶりに会ったので、ゆっくりランチをとっていて、1:30開場2:00開演と思って「ぎりぎり開演に間に合ったね」と劇場に入ったら、それは日曜日の開演時間で、土曜日は1:30開演。30分も遅刻してしまいました。
 
 地動説をとなえたために裁判にかけられ、軟禁状態におかれているガリレオ・ガリレイ。
 「真理はいつか必ず人類の前にあきらかになる」と信じ、教会からの迫害に耐えて『新科学対話(ディスコルシ)』を書き上げます。

 ブレヒトとその演劇理論「異化作用」については、「コーカサスの白墨の輪」を紹介した時に述べました。
http://blog.goo.ne.jp/hal-niwa/e/426b5859cef8dc0f502173bacaa5617e
 文学座にとって、はじめてのブレヒト劇だというのが意外でした。

・作:ベルトルト・ブレヒト
・訳:岩淵達治
・演出:高瀬久男
・出演:石田圭祐、三木敏彦、大滝寛、中村彰男、清水明彦、高橋克明、沢田冬樹、鈴木弘秋、木津誠之、植田真介、亀田佳明、釆澤靖起、南拓哉、山本道子、鈴木亜希子 、牧野紗也子、永川友里、金松彩夏、増岡裕子

 舞台には大きな直角三角形オブジェがひとつ。それが壁になったりドアになったりする。ガリレオの望遠鏡と書き物机など、わずかな家具。
 科学者の発見発明するものが、人類にとってどういう意味を持つのか、科学者の役割と良心、葛藤。ブレヒトは、この劇を書きあげたあと、ヒロシマナガサキへの原爆投下をしり、劇内容に大きな変更を加えたのだという。
 311のフクシマ原発爆発後の今はいっそう「科学者の良心と、科学によってもたらされた成果」の問題は大きくなるでしょう。
 深く大きなテーマを含んだ劇でした。

 主役のガリレオは、石田圭祐が演じ、他の役者は、場面ごとにさまざまな役を演じ分けています。演じ分けているとはいっても、一般の観客はそのちがいを衣装などによって見分けているので、声によって役者のちがいを感じるアコさんにとっては、わかりにくい部分があったかもしれません。アコさんが「昴」のファンなのは、視覚障碍者のための音声ガイドが充実していたり、点字パンフレットによって劇の概要を知ることができるからです。
 今回の文学座は、役者の声の差によって劇内容を把握するアコさんにとって、ストーリーが追いにくかったのではないかと思います。

 劇が終わった後、お茶する時間があったらアコさんの質問に答えたりできると思ったのですが、劇の終了後はアコさんの希望で、車いす生活のお友達ケイコさんを訪問することになり、劇の話をする時間がとれませんでした。
 文学座の良質な演劇、よい劇だったのだと思いますが、私とアコさんには、ちょっと消化不良の部分が残りました。ブレヒトの原作戯曲を読んでからアコさんに解説したいと思います。



<つづく>
コメント
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