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ミンガラ春庭「ミャンマー語修行中」

2015-09-01 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150901
ミンガラ春庭ミャンマー通信>ヤンゴン9月日記(1)ミャンマー語修行中

 赴任前、「エクスプレスビルマ語」「はじめてのミャンマー語」「ミャンマー語こんな時こういう」「旅のミャンマー語」という本を眺めたのですが、結局何も覚えられず、私が唯一口にできるミャンマー語は「こんにちは」にあたる「ミンガラバー」だけです。
 ありがとう、も言えませんでした。「チェズーティンパーデェ」というのですが、ミャンマー語には声調があります。中国語の四声、ベトナム語の六声に比べるとミャンマー語は三声ですから、「むずかしくありません」と、ミャンマー人は言いますが、チェズーのズーを高く言い、あとは低声になる、声の高低がうまくできないのです。

 日本語学習者に、「日本語には高低アクセントがあります。「橋が」は、低い高い低い、「箸が」は高い低い低い、「端が」は、低い高い高い、ですよ」と、教えているのだけれど、どうも声調は苦手です。中国語をあきらめたのも、まーまーまーまーの声の高い低いで、「お母さんが馬を叱る」という意味のなるという高低の違いがさっぱり聞き取れなかったからです。

 その声調さえマスターすれば、ミャンマー語で難しい発音は「鼻子音」という音だけ。日本語の「マ行」と「ナ行」は、口から音が出ず、鼻に抜ける音です。鼻音といいます。ミャンマー語では、「L」に、鼻音があり、Lの前に鼻音の印としてHがついています。Hledanという大学近くの地名。最初のHは、Lの音を口から出さずに鼻から出すという印です。私はLを鼻から出すなんて高等発音はできないので、「フレーダン」と言っていたのですが、ミャンマー言語学の先生に、それでは通じない、と教わりました。「フレーダン」では通じず、「レーダン」のほうが、まだしも「地方の山岳民族かどこかのなまりみたいだけれど、通じないことはない」という発音になるのだそうです。

 大学外国人教員宿舎のあるHlaingも、同じように鼻音の「ライン」です。
 でも、「ヤンゴン大学ラインキャンパス、外国人教員宿舎」と言っても、だれも知らないので、宿舎の西側にある「MICTパーク」と言った方が、タクシーにもサイカーにもわかってもらえます。MICTパークで働く外国企業の外国人社員たちは、高い給料をもらっていて、どこに行くにも自家用車かタクシー利用ですから、タクシーの運転手も「MICTパーク」といえば、知っている。

 ただし、私が迷子になりそうだったときのサイカー運転手になると、「In」「Out」の区別も読めないので、出口で下ろされてしまったのでした。
 ミャンマーはお寺での識字教育が行き渡ってきた社会で、ミャンマー文字はほとんどの人が読めます。でも、英語はやはり高等教育を受けた人でないと理解できない。

 日頃、日本にくる欧米人が英語だけで日本観光をしようとして、日本語を理解しようという気がないことに「英語優位の帝国主義思想だ」なんて憤ってきたのに、自分自身はミャンマー語のひとことも理解しないうちに赴任してしまいました。
 欧米人にとって、日本語のひらがなカタカナ漢字がネックとなってしまうように、まず、ミャンマー文字が関門です。

 ビルマ語専攻がある派遣元大学では、1年生は1年かけて、ビルマ文字学習と基本的な文法を学びます。夏休みにはヤンゴンにショートステイするのが恒例。2年生はと基礎文型習得、会話初歩。夏休みにはミャンマーへの自由旅行が推奨される。3年生は会話上達学習。3年生の途中から1年間のミャンマー留学が推奨される。ミャンマーで取得した単位は、3年生の単位として互換されることになっているようだ。(他学科ことだから、よくは知らないけど)4年生で卒論をまとめる。修士課程学生も1年間のミャンマー留学、という具合で、かなり上達します。

 私は、文字だけならハングルは読める、タイ文字とアラビア文字も習ったことはある。でも、まるっこいミャンマー文字、まだまだ読めるには至っていません。
何度かいっしょに食事した、日本から来ているビルマ語専攻留学生たちが、「これとこれは日本人の舌にあう」と、教えてくれたのですが、そのメニューの文字が読めないので、聞いてもすぐに忘れてしまう。

 大学東側のインヤー湖のそばにあるハッピーカフェ&ヌードルというレストラン。大学内から歩いて行けるので、これまでに3度行きました。他のレストランに比べると割高ですが、「 Chicken noodles」とか「Fried black rice」とか、メニュー説明が英語で書いてあります。英語表記と写真付きのメニューと説明で、どんな食べ物が出てくるか、想像がつきます。

 大学内の食堂や、宿舎近くのタンラン商店街の飯屋では、今のところ、もっぱら「指さし注文」で、「あの人と同じもの、ください」と言って食べています。
 赤っぽいのは、唐辛子だろうかと敬遠して、赤くないのを指さししたのに、タイのグリーンカレーの劇辛版並の辛いのが来て、食べられなかったり、失敗も学習のうち。

 グローバル化とは、すなわち英語が「世界共通言語」のようになってしまったことだと、日頃は嘆いているのですが、丸っこくってかわいらしいミャンマー文字、読めないストレスの中、アルファベットでわかる単語が書かれているとほっとしてしまう自分がいます。
 語学に弱いから日本語オンリーでいこうと思ったのに。外国語学習、悩みはつきません。

 でも、新しい外国語を習うのもボケ防止のひとつ。ボケボケ人生なので、ちょっとは老化防止に役立つよう、ミャンマー語習得、がんばります。

<つづく>
コメント (2)
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