20190801
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>再録感じる漢字(12)漢音・呉音・唐音と中国方言の発音
春庭コラムの中、漢字に関するものを再録しています。
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2006/06/28 水
ニッポニアニッポン語教師日誌>日本語ってどんな言語?まずは発音から(47)ふたたび漢音・呉音・唐音」
「和製漢字」ついて。
「椚」は、日本で作られた文字、「和製漢字(国字)」です。くぬぎ「櫟」には、ほかにも「椚」「橡」など、いくつかの文字があてられています。
国字の代表は「畑」「峠」です。そのほか、魚偏の文字、植物を表わす文字には、和製漢字が多いです。
日本で作られた文字なので、国字には訓読みだけ存在し、音読みがありません。しかし、例外的に「働」は「ドウ」という音読みがあります。
国字も調べてみると、おもしろいですよ。
日本が漢字を受容して、1500年くらいたちます。
自前で「日本製漢字=国字」を作るくらい、漢字は日本言語文化に浸透し、漢字由来の語彙と表記は、日本語に定着してきました。
日本語は中国語とまったく系統の異なる言語ですが、語彙の面では、中国語語彙をとりいれて、自国のことばを豊かにしてきました。
「ひ、ふ、み、よ、い、む、な、や、こ」「十(とお)、百(もも)、千(ち)、万(よろず)」という、古来の和語の数え方は、残したまま、「イチ、ニー、サン、シー、、、」という、漢字音での数字の読み方を定着させた、日本の言語文化を、私は大切にしていきたいと思っています。
(「万」は、10000という数を表わすというより「数え切れないくらいたくさん」の意)
2006/06/11ほか、何度か日本語になった漢字の発音について触れました。もう一度復習。
漢字が日本へ入ってきた時代によって、さまざま地方の発音が伝わりました。
奈良時代以前に日本に伝わった呉音は、中国の南方地方の発音。
遣唐使遣隋使が漢音を伝えてから、呉音で読む漢字は減りましたが、仏教用語を中心に、呉音の読み方も残ってきました。
奈良、平安初期に中国の中心長安から伝わった漢音。長安(西安)の発音です。日本の漢字音のほとんどは、漢音です。しかし、呉音と漢音を混ぜて読む漢字熟語もあり、漢音だけでは、日本の漢字熟語は読めない。
鎌倉室町時代に、主として禅僧たちが「唐の国(からのくに)の発音」として伝えた漢字の発音、唐音といいます。宋の発音が中心なので唐宋音とも呼ばれます。
すでに漢音が浸透したあとなので、唐音で読む漢語は数が少ないです。
ひとつの漢字の中国語発音(音読み)が、時代と地域の差によって、異なる発音で日本へ入ってきました。
二種類または三種類の発音を、そのまま残しているのが、日本の漢字音。
それに訓読みが数種類加わります。
「行」は、呉音では「ギョウ」。三行目 行者 修行
漢音では「コウ」。旅行 行楽 一行
唐音では「アン」。行燈 行脚 行宮(あんぐう)
訓読みその1 いく「行く」
訓読みその2 おこなう「行う」
中国では、原則ひとつの漢字に発音はひとつだけ。ただし、地方ごとに発音がことなります。
<つづく>
~~~~~~~~~~
20190801
諸般の都合により、8月も漢字コラム再録を続けます。
世間様はそろそろ夏休みお盆休みの算段いそがしいのでしょうが、春庭ひたすらいそがしく働いております。
みなさまにおかれましては、よき8月を。
<つづく>
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>再録感じる漢字(12)漢音・呉音・唐音と中国方言の発音
春庭コラムの中、漢字に関するものを再録しています。
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2006/06/28 水
ニッポニアニッポン語教師日誌>日本語ってどんな言語?まずは発音から(47)ふたたび漢音・呉音・唐音」
「和製漢字」ついて。
「椚」は、日本で作られた文字、「和製漢字(国字)」です。くぬぎ「櫟」には、ほかにも「椚」「橡」など、いくつかの文字があてられています。
国字の代表は「畑」「峠」です。そのほか、魚偏の文字、植物を表わす文字には、和製漢字が多いです。
日本で作られた文字なので、国字には訓読みだけ存在し、音読みがありません。しかし、例外的に「働」は「ドウ」という音読みがあります。
国字も調べてみると、おもしろいですよ。
日本が漢字を受容して、1500年くらいたちます。
自前で「日本製漢字=国字」を作るくらい、漢字は日本言語文化に浸透し、漢字由来の語彙と表記は、日本語に定着してきました。
日本語は中国語とまったく系統の異なる言語ですが、語彙の面では、中国語語彙をとりいれて、自国のことばを豊かにしてきました。
「ひ、ふ、み、よ、い、む、な、や、こ」「十(とお)、百(もも)、千(ち)、万(よろず)」という、古来の和語の数え方は、残したまま、「イチ、ニー、サン、シー、、、」という、漢字音での数字の読み方を定着させた、日本の言語文化を、私は大切にしていきたいと思っています。
(「万」は、10000という数を表わすというより「数え切れないくらいたくさん」の意)
2006/06/11ほか、何度か日本語になった漢字の発音について触れました。もう一度復習。
漢字が日本へ入ってきた時代によって、さまざま地方の発音が伝わりました。
奈良時代以前に日本に伝わった呉音は、中国の南方地方の発音。
遣唐使遣隋使が漢音を伝えてから、呉音で読む漢字は減りましたが、仏教用語を中心に、呉音の読み方も残ってきました。
奈良、平安初期に中国の中心長安から伝わった漢音。長安(西安)の発音です。日本の漢字音のほとんどは、漢音です。しかし、呉音と漢音を混ぜて読む漢字熟語もあり、漢音だけでは、日本の漢字熟語は読めない。
鎌倉室町時代に、主として禅僧たちが「唐の国(からのくに)の発音」として伝えた漢字の発音、唐音といいます。宋の発音が中心なので唐宋音とも呼ばれます。
すでに漢音が浸透したあとなので、唐音で読む漢語は数が少ないです。
ひとつの漢字の中国語発音(音読み)が、時代と地域の差によって、異なる発音で日本へ入ってきました。
二種類または三種類の発音を、そのまま残しているのが、日本の漢字音。
それに訓読みが数種類加わります。
「行」は、呉音では「ギョウ」。三行目 行者 修行
漢音では「コウ」。旅行 行楽 一行
唐音では「アン」。行燈 行脚 行宮(あんぐう)
訓読みその1 いく「行く」
訓読みその2 おこなう「行う」
中国では、原則ひとつの漢字に発音はひとつだけ。ただし、地方ごとに発音がことなります。
<つづく>
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20190801
諸般の都合により、8月も漢字コラム再録を続けます。
世間様はそろそろ夏休みお盆休みの算段いそがしいのでしょうが、春庭ひたすらいそがしく働いております。
みなさまにおかれましては、よき8月を。
<つづく>