春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「餃子パーティ」

2019-12-12 00:00:01 | エッセイ、コラム
20200214
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>再録・日本語教師日誌( )餃子パーティ

 春庭の日本語教師日誌再録を続けています。
~~~~~~~~~~~~

2008/01/06
春庭のニッポニアニッポン語教師日誌>クラス会(4)思い出のアルバム
 
 中国の男性は、もともと料理が得意な人が多いですが「日本に来て、ひとり暮らしですから、料理がじょうずになりました」と、皆言っています。
 生活費をおさえるために、皆、朝晩料理を作り、大学へもお弁当を持っていって、研究室の電子レンジでチンして食べているのだって。

 ほとんどの学生が結婚していて、「博士課程に進学して落ち着いたら、妻子を日本に呼び寄せたい」と、希望しているので、そのために出費は極力おさえて、家族を呼びよせる準備に貯金しているのです。

 みな、おなか空いてきたので、ぜんぶが仕上がらないうち「味見」と言いながら、ひとくちずつ頬張っています。
 私も、「海老とニラと卵の餃子」「豚肉と白菜と葱の餃子」「牛肉と椎茸と葱の餃子」など、ゆであがるたびにつまみながら、肉餡を皮につつむお手伝いをしました。

 私が包むと、肉餡をいれすぎてはみ出てしまい、失敗多数。失敗したものはふたつあわせてUFO型に作りなおせばOK。いつでも「失敗は次のステップのためにある!」と、クラスで言っていたことの料理実践編です。

 料理がひととおりできあがり、みなが席につきました。
 リンさんの挨拶から「餃子食べ放題」パーティ本番です。

 クラス代表だったリンさんは、英語のほうが日本語より流暢なので、いつも会話は英語と日本語のチャンポンで「クラス代表」として働いてくれました。専門は「国際関係」です。
 ふるさとに奥さんと生まれたばかりのお子さんを残してきています。

 乾杯音頭をとろうとして、リンさんが口を開こうとすると、すかさず、悪友たちは「レディス、アンド、ジェントルメン」と、冗談を言ってからかいました。英語で話し始めようとして、口ごもってから日本語を話すリンさんのくせを、皆は笑いながらもクラス代表として信頼してきました。

 料理を作っている間は、中国語のおしゃべりが飛び交っていましたが、食べながらひとりずつの挨拶は、日本語で上手にできました。
 うん、みんな日本語じょうずですよ。いろいろ間違いはあっても、ヘーキヘーキだいじょうぶ。

 修了式で私に渡したかったという「クラス卒業記念アルバム」の贈呈式がありました。
 「日本の南画、中国との影響関係」というテーマで美術史研究するシンさんが代表になって、上手に編集されているアルバムを渡してくれました。
 アルバムをひらくと、なかには、なつかしい顔がいっぱい。
 
 餃子忘年会に出席できなかった人たちの顔を思い浮かべました。学生同士はメール連絡取り合っているので、みなが元気良く留学生活をおくっているようすを確認できました。

 食べながらのひとりひとりの日本語挨拶。
 東大でメディア研究をする予定の上海出身のカツさんは、
「理系の人は、特に問題はなく博士課程に進学でき、研究生からほぼ自動的に博士課程の院生になれます。でも、文系の学生は、厳しく論文や日本語力を審査されるのでたいへんです。去年、東大情報学環博士課程に入学希望した中国人受験生13人のうち、進学できたのは一人だけだったそうです」
と、心配そう。

 だいじょうぶ、カツさんは、高校時代にも日本に留学したことがあり、とてもこなれた日本語を話せますし、研究もしっかりしているので、きっと博士課程の院生になれるでしょう。

 日本留学経験のあるカツさんや大学で日本語を学んでいたフーさんは、初級前半の授業は免除されていて、半年だけの2班クラスメートだったのですが、クラスによくとけ込んでいました。

2008/01/07
春庭のニッポニアニッポン語教師日誌>クラス会(5)「いかがお過ごしますか」メール

 名古屋から来た青春18切符のチョウさんは、中国でも女性にモテモテでしたが、名古屋でも
「女の留学生が、毎日かわるがわる私の部屋に来て料理を作ります。毎日違う女性なので、どの人が奥さんですか、と、友達が質問します。だれも私の妻ではありません。私の妻は、今、韓国に留学しています」
と、笑わせていました。

 留学直前に「駆け込み結婚」した、チョウさんとカツさん、短い新婚生活のあと、すぐ留学してしまって、さぞかし奥さんが恋しいことでしょう。

 チョウさんは、名古屋と岐阜の学生連名のサインがある「年末年始ごあいさつカード」を渡してくれました。

 学生たちにとって、2007年はほんとうに「忙しかったけれど充実した1年」だったと思います。
 2008年は、いよいよ博士課程進学。みな、充実した研究生活がおくれるよう、祈っています。

 クラス会に来ることができなかった遠方の学生からはメールが届きました。
 仙台に留学し、ナノテクノロジーを研究する予定のリエンさんからの年末ご挨拶メールをご紹介しましょう。

 原文のままですので、日本語表現間違えているところもありますが、今は日本語の復習より、押し迫った「博士課程入試」のことで頭がいっぱいなのでしょうから、私としては添削するより、ただただ「入試がんばって」と、応援するばかりです。

(リエンさんのメール)
 先生、お久しぶりですね。いかがお過ごしますか。
先生とクラスメート一緒に日本語を勉強しているうちに、美しい思い出になってきて、ほんとうにありがとうございます。遠いから、クラスのパーティーが参加できなくて、すごくおしいです。

 仙台に着いてからもう三ヶ月間ですね。生活もだんだん慣れました。来年(2008)の二月末入学試験がありますから、今は数学と力学を勉強しています。休みがあるのに、遊ぶことはまだダメだと思います。

 お正月までいくつの日か、前にお祝いを送りたいです。
Happy New Year and Best Wishes.
リエン

 リエンさん、メールありがとう。
 ものすごい努力家で、日本語の勉強も熱心だったリエンさん、「いかがお過ごしますか」は、私の「日本語ゆかいな誤用リスト」に登録です!

 大学院入試、理系の人たちは、ほとんどがストレートで博士課程進学にできるから心配ないそうですが、がんばりやのリエンさん、きっと睡眠時間を減らして勉強しているだろうと想像しています。体に気をつけてね。未来はあなたの前に輝いています


<つづく>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする