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ぽかぽか春庭「桜咲かそうー大学院入試への挑戦」

2020-08-04 00:00:01 | エッセイ、コラム
20200804
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>留学生たちの挑戦(1)桜さかそうー大学院入試への挑戦

 春庭担当の現在の学生たちは、夏に行われる大学院入試に向かって受験勉強の真っ最中です。頑張っている学生たちですが、日本人学生と同じ試験を受けるのは、きつい。小論文を日本語で書くにあたって、論題は当日知らされるのですから、準備万端とはいきません。

 たとえば、ある時の論題「あなたは、海外からの留学生のチューターに選ばれ、博士前期博士後期5年間の研究を手伝うことになった。まず、ひとりの担当留学生の選考過程をしるし、なぜ、この学生を担当したいのか述べなさい。次に5年間の研究計画を、年次ごとに書きなさい」
 
 このような課題に対して2000~3000字で論述すること、おそらく日本人学生にも高度な論述能力が必要です。それを、学び始めて1、2年の日本語学習の力では、とても不利です。合格できるよう祈っていますが、ダメでもともとでの受験です。

 これまで担当した日本語学習者のうち、中国に赴任して担当した学生は、中国の大学で修士課程を修了し、日本の大学院の博士課程への留学を目指していました。ほとんどの学生は進学先指導教官との連絡が済み、博士課程進学を確実にしてからの留学でしたから、医学工学系の学生で、大学院試験に落ちた学生はほとんどいませんでしたが、文科系の学生のうち、教育や歴史学など、着実な日本語力が必要な科目を専攻する学生のうち、「日本語力不足」として不合格になった者もいました。

 春庭の日本語教師日誌の再録です。2007年に中国で担当した留学生の、日本留学後のようす、2008年に受信したメール、発信者の許可を得ての引用です。
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2008/05/10
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>来年も桜さかそう(1)留学生から合格メール

 桜前線、北海道最北端までのぼり、全国の花見シーズンがおわりました。
 来年もまた花見が楽しめますように。

 桜さくのを待っているころ、仙台で学ぶリーエンさんから、うれしい「桜咲くメール」が届きました。
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(リーエン より)
合格しました  Date: Fri, 21 Mar 2008 04:52:45 +0000

先生、お久しぶりですね。お元気ですか?
もうすぐ春が来ますね。東京の桜が咲いてくるそうですね。私達は四月13日に大河原で花見の計画があります。初めてなんですから、期待しています。

私やっと試験が終わって、四月から入学になります。来週は入学試験のためにスーツを買うに行くつもりです。
これから英語の論文や実験のことも山のようにきます。もっとがんばらなければなりません。

ご健康を祈るように。
リーエン
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 昨2007年に、中国で受け持った教え子たち。中国全土の大学若手教師から選抜され、日本で博士号を取得すべく留学してきた留学生です。
 昨年10月に来日し、半年間、日本語の上達と研究準備、大学院博士課程入試準備に没頭してきました。ほとんどの人が、2月を中心に博士後期課程の試験を受け、4月入学を決めています。

 上記のリーエンさん、東北地方の大学でナノテクノロジーの研究をしています。
 まさに今、桜爛漫と咲いたようなメールをくれました。はじめての花見を楽しみにしているというメールでしたが、きっと楽しい春満開のお花見を堪能したことでしょう。
 博士課程に入学した教え子たち、よい研究が実るように祈っています。

 今年はダメでした、来年もう一度受験します、というメールも届いています。
 国立大学の博士後期課程の入学試験は、とても難しい。
 特に、文系の場合、大学内のポストが少なくて、オーバードクター(博士号を得ても就職先がない、フリーター状態の博士たち)がどんどん増えていることなどもあって、試験はいっそう厳しくなっています。

 全中国から選ばれて国費留学生となった教え子たち、それぞれの研究で博士号をとるため、博士後期課程の入試を受けても、全員が合格できるという保証はありませんでした。
 専門の研究と英語力が重視される理系に比べ、文系は日本語力が重視されます。日本語で博士論文を書く場合が多いからです。


<つづく>
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