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ぽかぽか春庭「ワンスアポンアタイム イン ハリウッド、その1ブルースカトーのことなど」

2020-09-10 00:00:01 | エッセイ、コラム


20200920
ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2020コロナにめげずの映画(1)ワンスアポンアタイム イン ハリウッド、その1ブルースカトーのことなど

 私が映画館で見るというと、第1に飯田橋ギンレイ。でも娘は「ギンレイの椅子は一人分が狭くて肘置きで隣の人とぶっつくし、硬くて、1時間座っているとおしりが痛くなって2時間の映画は見ていられない。2500円出しても指定席のいい椅子で見たい」という。私も娘の好みの「いい椅子」のシネコンにといっしょに行くこともたまにありますが、もっぱらただに惹かれてギンレイ。でも、コロナで緊急事態出て以来、いってませんでした。

 ギンレイ再開後に行ってみた夫の報告によると、椅子は一つおきにしているので、となりの人の肘とぶっつかないし、荷物も置けてゆったりだ、というので、今回は娘を誘っていきました。

 「ワンスアポンアタイムインハリウッド」
 レオ様ブラピ共演でタランティーノ監督。この組み合わせとなりゃ、どんな駄作だとしても見に行くミーハー鑑賞の私ですが、今作のタラ様は評判がいい。
 第92回アカデミー賞では、作品賞や監督賞脚本賞、ディカプリオの主演男優賞、ピットの助演男優賞など計10部門でノミネートされ、助演男優賞と美術賞を受賞しました。

 タランティーノは映画ファンの中にも、好き嫌いの強い監督ですし、この「ワンスアポンアタイムinハリウッド」にも、毀誉褒貶さまざまに玄人素人の評価がでています。
 アカデミー監督賞と脚本賞にノミネートされたものの、受賞は逃したタランティーノ、次回作で監督業引退を表明しています。春庭個人としては、監督賞か脚本賞、どちらかはもらってもよかったんじゃないかと。
 ただ、この映画を理解するためには、監督が説明していない事実を観客が知っている必要がある、という難点があり、これが受賞を逃した原因かなと思います。映画は映画のみで世界を完結する必要があるという考えだと、評価できない面もでてくるんだろうと思います。

 知っておくと映画の内容が深くわかること。1969年のシャロンテート事件とその首謀者であるチャールズ・マンソンの生涯。これを知っているといないとでは、感想が異なるんじゃないかな。私の娘はシャロンテート事件もチャールズマンソンファミリーも知らずに映画を見ました。

 「素人のミーハー鑑賞が私の見方」と思っている春庭の感想。 
 「この映画には、1969年に生きたふたりの男の願望の成就と非成就を描いています。
 ひとりは、映画の主役級に這い上がろうとして果たせず、落ち目になっているかってのテレビ人気俳優。
 もうひとりは、スター歌手になろうと望み、音楽プロデューサーにとりいろうとして果たせなかった男。

 以下、ラストまでのネタバレあらすじ&感想です。未見の方はご注意を。

 かっての人気テレビ俳優リック・ダルトン(レオナルド・デカプリオ)は、今や落ち目。若手俳優を目立たせるための悪役や単発のゲスト出演をこなす日々。
 りックの専属スタントマンを務めてきたクリフ・ブース(ブラッド・ピット)も、リックの仕事激減に伴いスタントの仕事はまれになり、リックの付き人雑用係に甘んじている。リックから「テレビのアンテナを修理しておけ」と言われれば、嫌な顔もせず仕事をこなしていく。スタントの仕事がない現在の立場について、不満をいうことはない。
 アンテナ修理のためにリック邸の屋根に上ると、隣家が見える。隣には1ヶ月前にポーランド人監督のロマン・ポランスキーと妻の女優シャロン・テートが越してきている。

 スタントの能力が高いクリフなのに、リック以外に彼を雇わないのは、クリフに「妻殺し」といううわさが消えていないことと、撮影所内で暴力沙汰を起こした過去がたたっているから。
 クリフのいざこざ。若手カンフー俳優のブルース・カトーともめ事を起こし、ブルースをコテンパンにしたことがあるのだ。ブルースは、クリフとのけんかののち、ヒットを連発するようになる。ブルースを大事にしたいスタントコーディネーターとしては、クリフは使えない。

 ロマンポランスキーなど、ハリウッド関係者が実名で出てくるのに、ブルースだけはリーじゃなくてカトーと呼ばれているのはなぜか。
 ブルース・リーの出世作となったテレビドラマ『グリーンホーネット』に、スターになる前のブルースが出演してます。主人公の助手役。その時の役名が「カトー」。まだブルースリーという芸名よりも、ドラマの役名「カトー」のほうが通りがいいころのブルース、という設定で、クリフとブルースのけんかは、1966年前後の出来事とわかる。

 駆け出しの女優シャロンテートの出演場面の中、映画館で自分の出演作を見るシーンなど、好意的に描かれているのに対して、ブルースカトーは、ブラピにやられてしまうというシーンのせいか、タランティーノは、ブルースをちょいカッコ悪く描いている。タラ様はブルースが好みじゃなかったのか?
 正義の味方グリーンホーネットの助手を務めるカトーは、戦前のアメリカンコミックスやラジオドラマでは「日本人」だったのに、戦争中日本との関係が悪化すると、中国人という設定になったりフィリピン人に変えられてしまいました。「カトー」は、おのれのアイデンティティをころころ変えて生きのびた役名なのです。

 リックは落ち目とはいえ、高級住宅地街に住んでいます。その隣に引っ越してきた映画監督は、ポーランドからハリウッドに進出してきたロマンポランスキー。「ローズマリーの赤ちゃん」大成功でノりに乗っています。シャロン・テ―トと結婚したが、映画の仕事が忙しく、ほとんど自宅には戻っていません。シャロンはパーティーにあけくれ、夫不在の自宅には元カレが入り込んでいる。
 シャロンは映画『サイレンサー第4弾/破壊部隊』などにちょい役で出演しているとはいえ、映画館のモギリさんに名も顔もを知られていない程度の女優。
 隣人のリックとはまだ顔あわせもしていない。

 シャロンとロマンスキーの家の前の持ち主は音楽プロデューサーのテート・メルチャーです。シャロンが引っ越してくる1ヶ月前まで住んでいました。 

 シャロンが出てきたところで、この話は1969年のチャールズマンソンファミリーによる「シャロンテート殺害事件」を扱うのかと思いました。ラストシーンでシャロンはマンソンファミリーに無残に殺されるだろうと、ドキドキしながら破局に向かう。ところが。
 「むかし、むかし~」と語られるお話ですから、そんな現実通りのストーリーではありませんでした。タランティーノは、こうだったかもしれない、という「昔話」の世界を描きます。

 ブラピはアロハシャツにジーンズといういでたちで、考えるより先に手が出てしまう男を演じて、50代後半とは思えないキレのいい動きでした。クリフが何歳かという設定は画面には出ていませんでしたが、スターになる前のブルースリーよりも少し年上、という年齢の設定だすると、30~40くらいの役と思うのだけれど、ほんと実年齢50過ぎとは思えない。(クリフの専属スタントがいたとして、優秀です)

クリフブラピの衣装。和柄のアロハシャツ。通販14,500円で買えます。

 
 アカデミー賞ではレオ様主演、ブラピ助演となっていましたが、私の受けた印象ではW主演。かっこいいのはブラピのほう。レオ様、落ち目の自分を嘆いたり愚痴ったり涙目になったりの演技、よかったですが、アカデミー主演男優賞はノミネートのみ。受賞はのがす。

<ワンスアポンァタイムその2に つづく>
コメント (6)
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