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ぽかぽか春庭「北斎 in 北斎記念館」

2021-01-14 00:00:01 | エッセイ、コラム

 神奈川沖浪裏

2021114
ぽかぽか春庭アート散歩>2020のアートシーン(2)北斎 in 北斎記念館

 11月11日に大相撲を見る前に、同じ両国駅から行く場所なので、北斎記念館へ立ち寄りました。

 私の世代の美術好きの多くがそうであるように、絵を見ることが好きになった中学生以後、印象派以後の近代絵画から見始めました。子供のころは、「浮世絵の美女も風景もなんだか古くさい感じがするなあ」と思っていました。

 浮世絵を見るようになったのは、ゴッホやマネの絵の中に浮世絵の模写があったり、ジャポニズムについて知って、浮世絵が西洋絵画へ大きな影響を与えてきたのだと言うことがわかって以後。西洋経由で浮世絵の価値を知ったのは残念なことですが、桂離宮の美を日本人が知ったのもドイツ人ブルーノ・タウトの賞賛と西欧社会への紹介を経てのことですし、中学生ごろから浮世絵が大好きだった、という人、あまり知らないです。
 ともあれ、江戸が浮世絵文化を持っていたこと、喜ばしいことです。

 中でも、「ビッグウエイブ」の絵は「レオナルドのモナリザ&ムンクの叫び」と並んで、世界中の誰でも知っている3つの絵、として知られています。ビッグウエイブ、正式名は神奈川沖浪裏」です。
 北斎は、「この千年の間に世界に影響を与えた人物100人」の中に、日本人としてただひとり選ばれています。ライフ誌が1999年に選出した「20世紀に最も影響を残した、1000~2000年間の人物100人」の中に選出されました。(この企画は人気記事となり、以後は毎年「今年最も影響力を与えた人物100人」が発表されています)

 北斎美術館。両国駅から数分歩いた先にありました。
 北斎館


 墨田区亀沢あたりは葛飾北斎が生まれた土地です。何度も引っ越しを繰り返しましたが、生涯をこの区域で過ごしました。エントランスに墨田区の地図があり、北斎が住んだ地、ゆかりの地が示されていました。

 館内撮影OK。入り口の上部に「須佐之男命厄神退治図」コロナ退散の願いを込めた展示です。インクジェット複製。原画は関東大震災で焼失し、美術雑誌掲載の写真から推定復元。素戔嗚尊が疫病神を退治する絵は、牛島神社に奉納されました。コロリ(コレラ)などが流行った江戸では人々の信仰を集めたことでしょう。スサノオさん、コロナも退治してください。

 須佐之男命厄神退治図(1845)


 賀奈川沖本杢之図(1804-07頃)


 富嶽三十六景甲州石班沢(1831)


 百物語さらやしき(1831~32頃)


 芥子(1833~34)


 諸国瀧めぐり下野黒髪山きりふりの滝(1833頃)


 「うゑかえどき 小野小町」(1835~36頃)「花の色はうつりにけりないたづらに~」の絵解き


 北斎の版画、江戸時代から人気作品で、何度も刷り返されているので、初刷りと後年の摺りでは色合いが異なっていたしますが、北斎館の収集は質が高いものが多いと感じました。

 北斎と娘の応為(お栄)が狭い部屋で画業に励むようす




 北斎館と両国駅の間に、「Ori」という店があります。北斎の版画を精巧なジャガード織りで織りあげてあります。

 一番大きな「神奈川沖浪うら」は、ひとつ20万円。とても買えないから、牛すじ煮込みのランチをいただいたあとひとつひとつ織り上がっている作品を見せてもらいました。


<つづく>
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