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ぽかぽか春庭「杏咲く頃絵筆と歩いたシルクロード小間嘉幸絵画展 in ユーラシア文化館」

2021-01-21 00:00:01 | エッセイ、コラム


20210121
ぽかぽか春庭アート散歩>2020アート散歩回顧(9)杏咲く頃ー絵筆と歩いたシルクロード小間嘉幸絵画展 in 横浜ユーラシア文化館

 ロイヤルウィングクルーズに行った日、馬車道から大さん橋まで歩く途中にユーラシア文化館と開港記念館があるので立ち寄りました。ユーラシア文化館で開催されていた「小間嘉幸絵画展ー杏咲く頃― 絵筆と歩いたシルクロード」を思いがけず観覧し、とてもよかったです。

 入り口に掲げられたパルミラ遺跡の写真


 小間嘉幸氏(1929~2012)は群馬県富岡市出身。東京で中学校の美術教師として教壇に立ちつつ1972年から約30年にわたりシルクロードを旅して、中国、中央アジア、西アジア各地の風景やその土地の人々を描き続けました。小間が描いた作品の中には、アフガニスタンのバーミヤン大仏やシリアのパルミラ遺跡のように戦乱によって失われた貴重な遺跡のかっての姿がとどめられています。
 横浜ユーラシア文化館は2019年に遺族より作品の寄贈を受け、今回の展覧会となりました。
 文化館所蔵品となったので、写真撮影OKですが、著作権は遺族にあります。「©KOMA NORIKO」を明記するように、という注意書き。(いろいろなサイトを眺めたが、コピーライト表示をしていないところがほどんどでしたが、以下の絵のすべて、©KOMA NORIKOです。

 失われた遺跡の光景を描きとどめたということももちろん大事ですが、日本画平山郁夫のシルクロードともまた異なる小間嘉幸の独自の世界が表現されていて、とても魅力のある絵でした。

紹介ビデオの中で 娘さんが「NHKのシルクロードの番組を見ていたら、画面の中に絵を書いている人が写されていて、遠景から人物が大写しになると、それがお父さんだったので、お父さんだお父さんだって、家族で大騒ぎした」と、語っていました。

 中学校の美術の先生をしながら、夏休みなどを利用して中国、パキスタン、トルコなどシルクロードの旅を30年続けたという画業のあり方。売れる絵を描くのではなく、描きたい絵を好きなように描くために、美術教師という生活を支える仕事を堅実に続けながらこつこつと描き続ける、そういう人生もいいなあと感じました。家族の生活をきっちりと支えた生涯だったからこそ、遺族は画商に売り出すなどの作品の散逸を招くことをせず、ユーラシア文化館というふさわしい場所にまとめて残すことを選ぶことができたのだと思います。

第1章 シルクロードを描く―中国から西アジアへ―
 小間は、1979、1984、1991、1996に中国を訪れ、スケッチや作品を残しています。

 北京・故宮(紫禁城)


 「火焔山」

 1985の俳句雑誌「寒雷」の表紙に使われた絵。中国トルファン盆地にある500mの丘陵が、日に染まると真っ赤に燃え上がるように見える。

 「火焔山とラクダ」


 「莫高窟」(火炎山近くのベセクリク千洞仏)


 「アブンババイヤ」

  1972年にヤ俳人加藤楸邨を案内してウズベキスタンの首都タシケント旧市街の広場を描きました。加藤の記録によると、電車に乗って旧市街へ出向いたとあります。
 
 「タシケント、サマルカンドの丘」


 小間は1973年1976年にアフガニスタンを旅行をしています。
 1976年に描いたバーミヤン磨崖仏。2001年にイスラム勢力タリバーンによって破壊されました。


 第2章 シルクロードの人々に出会う
 シルクロードの人々を描いた小間のあたたかいまなざしを感じました。

 「高昌故城の女性」

 
 「ウズベキスタン・タシケントのバザール」。露天商の人々


マザリシャリフの巡礼(アフガニスタンの聖地へ向かう巡礼者たち)


 マザリシャリフのブルーモスクへ詣でる巡礼者


 マザリシャリフの楽師(伝統楽器ルバブを弾く)


 埋葬 葬儀に集まった人々


 「遺跡に立つ」 カブールにあるシェール・ダルワーザ山の前に立つ男


 「ベドウィンの女達」1980年代末に訪れたシリアやレバノンで出会った遊牧民ベドウィンの人々は、テントを家として遊牧を続けていました。


 「カブールの女達」


 楽士

 
第3章 絵筆が遺した遺跡の風景
 「パルミラ遺跡」1992年にシリア・レバノンを旅し、パルミラ遺跡を描きました。


 イラン・クセルクセス門 寒雷400号記念号の表紙に使用


 ポスターとなった「杏咲くころ」


 杏咲くころと私


 小間嘉幸さんの絵、もともとシルクロードが大好きなこともありますが、とても心にしみるよい絵だと感じました。絵をご寄贈くださったご遺族にも感謝。

(おまけ)11月21日・22日に開催された「第1回 横浜ユーラシア・スタチュー・ミュージアム」。アマビエに扮したり緑の木に扮したりした大道芸の人々が、じっと動かずに彫刻のように立っています。私と娘はユーラシア文化館と開港記念館で「狼執事」さんに、出会いました。スタチューさんは、じっと動かず彫刻のように立っているので、最初は人形かと思います。しかし、ある瞬間少し動くのでびっくりします。その芸に投げ銭したら、いっしょに写真を撮ってくれました。狼執事さんが持つティーポットの蓋に「ありがとう」と書いてありました。
 

<つづく>
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