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ぽかぽか春庭「上田薫展 in 横須賀美術館&埼玉県立美術館」

2021-01-17 00:00:01 | エッセイ、コラム

 上田薫展埼玉美術館ポスター

20210117
ぽかぽか春庭アート散歩>2020秋アート散歩(1)上田薫展 in 横須賀美術館&埼玉県立美術館

 横須賀美術館は2007年の開館。横須賀市制施行100周年記念事業のひとつとして建てられました。
 私は東京から離れたところだと群馬県立美術館とか埼玉県立美術館などは生まれた土地仕事をしてきた土地なので、ゆかりを感じて美術館を訪れる機会もありましたが、神奈川だと葉山にある神奈川県近代美術館や鎌倉の文学館などのほかはあまり出かけたことがありませんでした。
 横須賀にも、市立美術館が設立されたことをようやく知りました。13年もたっているのに。
 建物は、「山本理顕設計工場」です。

 これまで私が「これを見逃してなるものか」と思うような展覧会がなかったこともこれまで横須賀まで足を延ばさなかった理由のひとつです。
 今回、私ではなく娘が「絶対にこの絵を見ておきたい」という展示があり、一緒に行くことにしました。
 写真の登場以後、「リアルに描くことはどういう意味があるのか」という気持ちを持ちつつ、娘の希望に従うことにして横須賀美術館入館。

 上田薫展 横須賀美術館ポスター


 上田薫の「超リアリズム絵画」。
 時間の流れの中の「一瞬を切り取る」という超絶テクニックで描いた絵画を、「現代美術も抽象画もようわからぬ。具象やリアリズムがいい」という娘にとって、「驚愕の超リアリズム」だったのです。

 生玉子A1975群馬県立近代美術館


 生玉子C1976東京都現代美術館


 皿の上の玉子のカラ


 私は「ホキ美術館」を2度訪ね、リアリズム絵画を見てきました。
 私はホキ美術館で「超リアリズム絵画」の数々、「写真以上にほんものそっくり」という絵をたくさん見ました。「そっくりに描いても写真を超えられないものが多い」と感じる作品もあったし、写真以上にリアルという作品もありました。

 でも、リンゴを本物そっくりに描いた絵を見るなら、絵を見ないで、リンゴをテーブルの上に置いて眺めていても同じではないか、という思いが消えていなかった。木枠でフレームを作っておいてりんごを2個並べて、おけば同じじゃないかと。
 ホキの展示では気に入った作品もあったのですが、リアリズムの「本物そっくり」というのがあまりピンときていなかったのです。「反リアリズム」への気分も残っていました。

 「写真以上にほんものそっくり、写真以上にリアル」という絵もあるし「そっくりに描いても写真を超えられないものが多い」と感じる作品もありました。
 
 スプーンのジャム1974東京都現代美術館


 上田薫のハイパーリアリズム。サラダが本物のサラダ以上にみずみずしくおいしそうに見えたこと、リアルな絵の中に確かに画家の精神が見えたこと、リアリズム絵画をどこか「写真の亜流」のように思っていたことが間違いだったことがわかりました。

 最初に「上田薫、制作を語る」というビデオを見ました。私も作者についてぜんぜん知らなくて、NHK「日曜美術館」の「展覧会紹介」で作品のいくつかが紹介されているのを見ただけ。娘は「あれ?薫って名前なので女性画家だとばかり思っていた」上田薫は92歳のおじいさんでした。


 埼玉美術館による上田薫紹介
上田薫(1928~)は、写真を使って対象を精巧に描き出す画家です。 殻からつるりと落ちてくる、なま玉子、スプーンですくい上げられたアイスクリーム、泡、水の流れなど、流動する世界の“一瞬”を切り取ったかのような作風で知られています。 東京藝術大学で油画を学び、卒業はグラフィック・デザイナーとして活躍しました。しかし、1970年頃から再び絵筆をとり、対象を克明に描き出す絵画作品を発表して、高い評価を受けます。 鮮やかな色彩と精緻な描写によって、動きの中の“一瞬”を捉えた緊張感あふれる作品は、さまざまな写実表現が注目を集めた2000年代以降の美術の動向の中でも、不動の位置を占めています

 生玉子G1976愛知県美術館


 絵を描くことを趣味のひとつにしている友人ミサイルママに上田薫を見てもらいたいと思い、巡回展が開かれている埼玉美術館へいっしょにでかけました。私は2度めの上田薫ですが、ミサイルママはホキ美術館へも観覧に行ったことがあるリアリズム絵画好きですから、楽しんでもらえてよかったです。
 
泡k1981水戸市立美術館
 

 スプーンのイチゴ1975豊橋市美術館


 一番おいしそうと思ったのは、サラダ。
 サラダE2014


 リアリズムのすごさを知った上田薫展でした。

 展示のようす



 横須賀美術館の撮影OKコーナーで


<つづく>
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