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ぽかぽか春庭「 北斎づくし in 東京ミッドタウンB1ホール 」

2021-08-22 00:00:01 | エッセイ、コラム


20210822
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩版画の楽しみ(4) 北斎づくし  in  東京ミッドタウンB1ホール

 娘が応募したチケットが2枚当たりました。
 さっそく会期初日にでかけたのですが、これが大失敗。これまでは、展示室内に私と娘しかいないような美術館が多かったのに、東京ミッドタウンB1ホール、けっこうな人出で、あまりゆったりとした気分で見ることができなかったのが残念。祝日の初日。混み混みの日などに出かけずに、もっと人が少ない日を選んで見るんだった。

 展示内容はとても充実していて、北斎漫画全巻全ページをみることができました。こんな展示、これまでにありそでなかったと思います。全ページをならべるには、見開きのページ数だけ本が必要ですから。
『北斎漫画(初編~15編)』全883頁、「冨嶽三十六景」全46点、『富嶽百景(初編~3編)』全102店。

 展示口上
 20歳で浮世絵師としてデビューしてから90歳で没するまでの70年間、常に挑戦を続けて森羅万象を描き抜こうとした画狂の絵師・葛飾北斎。
その生誕260年を記念し、代表作である『北斎漫画』、「冨嶽三十六景」、『富嶽百景』の全頁(ページ)・全点・全図が一堂に会する前代未聞の特別展が2021年7月、東京・六本木に出現します。
 森羅万象を描いた全15編の絵手本。江戸の風俗、職人の作業の様子を始めとして、動植物、風景、建築、人物、故事から妖怪に至るまで、約3,600図が生き生きと描かれています。
「雀踊り」 浦上満氏 蔵 /『北斎漫画』三編 浦上満氏 蔵/『北斎漫画』十編 浦上満氏 蔵/『北斎漫画』十二編 浦上満氏 蔵

 臨時ホールでの臨時開催であり、美術館の展示ではなかったからしかたないことなのでしょうが、臨時雇われの会場係なので、上司に言われたことをきっちり守るのが職務と考えており、ちょっとでもしゃべっている観覧者がいるとすっとんでいって「話すな」と注意。ガラスケースの中の北斎漫画、細かいところを見たいと思って、展示ガラスに顔を近づけると「ガラスにさわるな」と叱られる。犯罪者を見つけたかのように「展示の注意」をする係員。職務にご忠実。
 娘と私は、しゃべりたくならないように、別室に離れて観覧しました。ほんとは「これ面白いね」なんて、展示の絵について小声で言いかわしながら見たかった。コロナの時代ですから、話すな、というのもわからないではないですが。全員検温アルコール消毒の上で入場しマスクをしていても、いろいろ禁止が多いのも時代のせいですね。このご時世のなか、開催されただけでもありがたいので、我慢がまん。

 北斎漫画の写真撮影は自由、というのはよかったのですが、展示はすべてガラスケースの中に入っているので、照明がガラスに反射して、ほとんどの展示はきれいに撮ることができない。富嶽三十六景は撮影禁止。

 正面から写すと光が入る展示ケース。動植物、人物、道具、この世のあらゆるものが緻密に「絵の手本」として書き込まれていました。


 光が反射しないように写すには斜めから。ちょっと絵がゆがんでしまいますが。
 多色刷りの富岳三十六景のいくつかは北斎美術館でも見てきましたが、版画本の富士のさまざまな構図、おもしろいです。

 展示室内の見た目は、空間デザインなんちゃらという人々の斬新な空間づくりがなされており、こみこみで展示物がよく見えなくても楽しめるようにしつらえてあったのですが、私はやはり、斬新空間でなくてもいいから、ゆったり展示を見たかった。
 斬新空間を見に行ったのではなく、北斎を見に行ったのですから。と、文句たらたらなのは、混み混みだったせい。すみません。

 デジタルアートの部分、椅子があったので「休憩用」に座って見ていました。踊りのコマ割りをパラパラ漫画のように続けて、踊りがわかるようになっていたのはよかったけれど。特にデジタル表現が目新しくもなく、展示をしっかり見ることのできる空間にしてほしかったと思います。

 北斎の全業績を並べて見せる企画。北斎の天才ぶり、90歳まで生きて描き続け、なお「あと10年描けばもう少し上手になれるのに」と嘆いたという絵に対する執念。すごい人がいたなあと、思います。(映画『北斎』楽しみ)
 北斎館でも北斎の画業を俯瞰できましたが、北斎漫画全ページという展示の方法をとることによって、すごさをあらためて感じました。
 ただし、展示数はここより多くはないですが、ゆっくり見るなら、江戸東京博物館から徒歩5分のところにある北斎美術館のほうがよい。今回の展示はやはり富嶽三十六景全部、北斎漫画全部という圧倒的な量が成果だといえましょう。

 夕方になり閉館時間が近づくと、人出もやや減ってきて、少しは人の頭越しにでなく絵を見ることができるようになりました。娘と「近いんだから、もっと遅い時間に出てきて、閉館時間までいればよかった」と観覧時間設定失敗の談。予約が必要だったので、とにかく開いている時間に、と予約したのです。

 人が少なくなった閉館近く。
 床にも北斎の絵、天井からも版画コピーがぶら下がる空間です。 


 日本の、そして世界の北斎。
 招待券で無料で見たのですから、もう少し感謝しなけりゃいかんですけど、人込みに疲れてしまい、恒例の「アートを見た後のごはん」をやめて帰宅。



<おわり>
コメント
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