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20210814 が 、は
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2021二十一世紀日記夏(9)カツベン椿姫
6日広島慰霊の黙祷、朝8時には出勤途中の電車の中で、9日長崎慰霊の黙祷は地下鉄を降りて地上に向かうエレベーターの中。でも、慰霊の念はちゃんと天に届いたと思います。
9日はエレベーターを降りると、江戸東京博物館の裏口に。通常のJR両国駅から入るメインの入り口は、国技館がオリンピック会場になっているため、パラリンピックが終わるまで閉じられています。
企画展「相撲錦絵と江戸文化」 を見ようと出かけたのですが、14時から「弁士とピアノ演奏付き無声映画」という催しがあることを知りました。
弁士に見覚えはありませんでしたが、ピアノ演奏者新垣隆の名に見覚えありました。そうそう、話題になった佐村河内守氏のゴーストライターを18年間務めていたことを告白した作曲家です。(ゴーストライター活動について彼自身のことばとしてメディアに出ているので、そちらをどうぞ)。
新垣隆は、2001年の8月、鳥取の三朝(みささ)での無声映画上映に代役ピアニストとして始めて参加して以来、活動弁士の澤登翠らのカツベンに鍵盤奏者として伴奏を続け、澤登翠の師匠である松田春翠との共演他、数多くの無声映画の伴奏者&伴奏曲作曲者として20年間無声映画に関わってきました。
今回の江戸東京博物館では、ハルキと新垣隆 の共演です。ハルキは、松田春翠の名から春を受け継いでハルキという芸名で活動弁士として活躍しています。
ハルキは師匠松田春翠の息子松田豊と結婚し、オフィス・アゲインを設立。夫妻で無声映画上演の活動を続けています。
入館チケット提示で座席指定の予約
ができます。無料。座席は一つおきになっていましたが、入場者は半分の座席数も全部は埋まっていませんでした。
台風接近の予報が出ていた月曜日。月曜日が祝日と重なった場合は、翌日火曜日が休館日となる、ということを知らない人も多いので、館内は空いているだろう」という狙い通り、観客数が少ない館内でした。
でも、ハルキカツベンの熱演を知ると、もっと大勢の人に無声映画を見て、その魅力を知ってもらいたかったと思います。
14時から30分間『子宝騒動』を上演。
監督 斎藤寅次郎 脚本 池田忠雄 出演 小倉繁 出雲八重子 爆弾小僧(横山昇一 )他 制作 松竹キネマ(蒲田撮影所)
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「貧乏人の子だくさん」の家に、7人目の赤ん坊が生まれるというのに、甲斐性なしの夫は、産婆の金もない。金の工面のドタバタが続きます。
この作品は、1935年の制作。中国戦線の拡大は続いていますが、人々にとり、戦争が続けば特需が増え、景気が向上すると受け取られていた時代です。人々は面白おかしい娯楽を求め、この作品も笑える映画として歓迎されたのだろうと思います。
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子宝騒動は、終始泥臭いドタバタ。文字通りの泥臭い田んぼの泥の中を「東洋一の名豚」を追いかける画面に、これが今も続くドタバタコメディの1935年の表現なのかと思うし、「このドタバタ、戦争に向かっていく時代の人の求める笑いだったのか」と、その単純あっけらかんの笑いに思いを深めたり。
ハルキのカツベンは、人物の性格を描き分け、わかりやすくストーリーを伝えていました。とてもよい声で、伝える力がありました。
2本めは1921年の『椿姫』。
[原作]アレクサンドル・デュマ・フィス
[監督]レイ・C・スモールウッド
[出演]アラ・ナジモヴァ(マルグリット・ゴーティエ)
ルドルフ・ヴァレンチノ(アルマン・デュヴァル) ほか
[監督]レイ・C・スモールウッド
[出演]アラ・ナジモヴァ(マルグリット・ゴーティエ)
ルドルフ・ヴァレンチノ(アルマン・デュヴァル) ほか
パリで浮草暮らしを続けてきた高級娼婦マルグリット。
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ある日、純朴なアルマンと出会い、真実の愛に生きようと田舎で暮らし始めます。幸福な日々の二人。
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しかし、アルマンの父に「息子の将来のために別れてくれ」と頼まれ、マルグリット身を引きます。マルグリットは患っていた病を悪化させ、アルマンとの生活のために蓄えも使い果たしています。アルマン は、マルグリットに棄てられたと自暴自棄となり、マルグリットを恨んでいるだけ。
マルグリットは、アルマンとの幸せな日々の思い出を思いだしつつ亡くなります。
全世界の涙を誘ったという臨終シーン。
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オペラでも有名な作品であり、何度も映画化されている「椿姫」ですが、ハルキのカツベンによる1921年制作、100年前の『椿姫』、無声映画に新しい命を吹き込むカツベンだと思いました。
夏の1日、無料で楽しめた無料の無声映画。楽しかったので、周防正行監督の『カツベン』もいつか見てみようと思いました。主演のカツベン士成田凌は私の好みだと、トップランクの次の第2ランクなので、どうしようかなあと思っていた映画だったのですが、草刈民代が「そっくりマネシーン」のマルグリットを演じるというのも興味引かれますので。
<つづく>