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ぽかぽか春庭「映画とんび」

2022-04-14 00:00:01 | エッセイ、コラム


20220414
ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2022シネマ春(3)映画「とんび」

 堤真一が「ヤス」を演じたNHKの『とんび』は見逃しましたが、内野聖陽がヤス、佐藤健が息子あきらを演じた連続ドラマは、毎週楽しみに見ました。父の愛情に、ときに涙し、息子の反発に我が家と比べてはらはらし、重松清原作の『とんび』、とてもよいドラマでした。

 娘はいろいろな抽選に応募するのが趣味のひとつ。阿部寛がヤス、北村匠海があきらの父子を演じる映画に応募したら、3月22日夜の試写会上映に当たりました。

 監督:瀬々敬久 脚本:港岳彦 撮影:斉藤幸一 
キャスト
・市川安男:阿部寛
・市川旭:北村匠海
  • 由美:杏
  • 照雲:安田顕
  • 幸恵:大島優子
  • 広沢:濱田岳
  • 尾藤社長: 宇梶剛士
  • 萩本課長:尾美としのり
  • 葛原:吉岡睦雄
  • トクさん: 宇野祥平
  • 泰子:木竜麻生
  • 健介:井之脇海
  • 美月:田辺桃子
  • 島野昭之:田中哲司
  • 編集長:豊原功補
  • 出版社守衛:嶋田久作
  • 村田:村上淳
  • 海雲:麿赤兒
  • 市川美佐子:麻生久美子
  • たえ子:薬師丸ひろ子
 2013年放映TBS「とんび」は全10話の連続ドラマだったから、上映時間2時間20分に収めるには、ドラマと映画では違うところがあるのは当然ですが、2022年の映画版は、令和の時代も描かれていました。2003-2004年の新聞連載時にはもちろん、2013年のドラマでも令和時代にはなっていなかったですから、映画オリジナル脚本です。

 オリジナルつけたし部分、旭の仕事が紹介され、ヤスが息子をどれほど誇りに思っていたかもわかるシーンなので、観客が満足して帰れるラストシーンになっていて良かったと思います。
 ドラマは息子旭の回想として語られたのですが、映画は昭和63年と過去の時間軸が行ったり来たりします。2時間の中、行ったり来たりが私には余計な演出のような気がしました。ただ時間軸通りにストーリーがすすんだほうが良かったように感じました。最初が昭和63年で始まり、63年で終わるのかなと思ったら、令和まで進みました。時間を行ったり来たりすることで、何かよい効果を生み出していたように思えなかったんですが、これは私の映画作術がわかってないからかもしれません。ただ時間軸がたんたんと現代に向かって進んでしまうと、映画的ではないような、わかりやすすぎるような。

 私は内野聖陽と佐藤健の両方が「好きな俳優」だったので 、阿部寛と北村匠海の父子になじめるかな、と思ったのですが、映画の父子もすばらしかった。ただひとつ、阿部寛で悪かったところは、旭といっしょに銭湯につかり、頭から湯の中にもぐってしまうシーンで、ついつい「ローマに転生か」という思いがよぎってしまうところ。これは、試写3月22日の前日夜に放映された『テルマエロマエ』を見たせい。(2度目だか3度目だかのテルマエロマエなのですが、何度見ても笑えた)。

 海の波の撮影が美しかった。監督の演出力なのか、撮影斉藤幸一の腕なのかわかりませんが、美しいだけでなくつらさや悲しさも含んだ海に見えました。こういうところが「映画」なんだろうと思います。

 原作は、備後市という名の架空の町を舞台にしています。備後とは江戸時代の広島県。ヤスが務める運送会社は瀬戸内運送。
 小説の舞台は、備後の名の通り、広島県を舞台にしていますが、原作者重松清が岡山県出身であるゆえ、岡山県内1町7市でロケが行われました。映画の聖地巡りは、現代では大事な町おこしコンテンツですから。
 ヤスが暮らす昭和の町は、岡山県金光町に設置されたオープンセット。
 私がいいと思った海のシーンは、岡山県青佐鼻海岸。

 朝ドラの「カムカムエブリバディ」でも岡山弁を聞いています。とてもあたたかくて、心にしみる方言です。と言っても、私には広島弁との区別はついていないのですが。

 川崎TOHOシネマというシネコン、6時半からの試写で、キャパいっぱいの客でした。飯田橋ギンレイだと、ネットで動画を見る方法がわかっていないような高齢者が客層の大半を占めていますが、シネコンの試写会だと、ギンレイよりは若い層が来ていました。

 この先、映画館で映画を見ようという人たちは確実に減っていくだろうと思います。映画も、デジタルコンテンツ収入を見越しての制作になっていくのでしょう。また、制作にあたっては、今回の岡山ロケのように、地元のコミッションとの連携、エキストラの動員などが製作費にかかわってくるでしょう。映画の終盤、ヤスが神輿をかづぐ祭りシーンでも、地元のエキストラ200人が参加してお祭りを盛り上げたそうです。

 映画も、ネット公開を目指して、スマホカメラを駆使して撮影するような制作方法も出てきて、これまでとは違う表現が出てくると思います。
 テレビ放映の映画を見ることが多い春庭ですが、飯田橋ギンレイを中心に、これからも映画を楽しんでいきたいです。

<つづく>
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