KUMIの句日記

写真と一日一句で綴るブログ。句の転載を禁じます。

覚えるのをやめるのも認知症?

2021年11月20日 | 俳句
写真は、もう15年くらい前の、昭和記念公園のイイギリ(飯桐)の実。これも青空の似合う真っ赤な実で景としては大好き。木が高いので、頚椎を痛めている今は見上げることが無理になった。


考えると気持が塞いでくるので考えないことにしていたのだが・・
毎日食事を共にする、認知症の進行中の元教師のSさんが昨日、別の人から
「あの介護士さん、何て名前だっけ」と訊かれていた。訊いた人は数ヶ月前に入所したので、まだ覚えられないのだろう。で、かなり前からの入居者のSさんに尋ねたのだ。
「私は人の名前をたくさん覚えなきゃならない仕事していたから、必要なくなった今は覚えないことにしたの」というのが、Sさんの答え。それは前にも聞いたことがある。要するに覚えられないんでしょ、と言いたいところだが、プライド高き元教師には言えない。もっとも、介護士の名前は私も新しい人など、覚えきれていない。でも、主な常勤の人は覚えた。名前を覚えないと無論、不便だから。名札をいつも付けている訳でもないし。
そんなことがあって、ふと考えたら、ここへ入ってもう1年になるのに、私は4階のフロアの入居者から名前で呼ばれたことが多分、一度もないことに気づいた。後から来たのだから、と以前は思っていたが、認知症の人は仕方ないとしても普通の人でも私の名前は知っている?知らない?どうせ名前なんて結婚したら付いてきたもの、姓に執着する訳ではないけれど、平凡な実家の姓よりは気に入っている。
一緒に食事したりお喋りしたりする、他の階の人とは名前で呼び合うのに・・。同じフロアに住む人たちは私の名前だけでなく、他の人の名前も、Sさんのように知らないのかもしれない。覚えるのを省略しているのかもしれない。
高齢者の施設なんて、そんなものなのかなあ、周りの人の名前を覚えなくても生きていられれば、それでいいのかなあ・・90歳を越えた人が多いからそれも悟り?

 
Sさん、認知症とはいえそのあとに言ったことが私にはムカついた。
「色々と仕事が大変だったのよ、たくさん覚えることがあって。人の名前を覚えなくて済むようになって、ほんとにすっきりしました」先生だけが大変な仕事なのですかあ?ふざけんじゃないよ!・・なんて言わなかったけれど。

今考えると、1年前も、認知症は進んでいたのかもしれない。当時から、食堂で介護士さんを呼ぶのに「お姉さん、お兄さん」だった。教師にしては品がないわね、飲み屋じゃあるまいし・・と思ったものだ。人に話しかけるのは「あなた、もう食事に行くの?」と言う。それで通じるけれど。隣の席の人が食事に来ないと「ここの人、どうしたのかしら」と、当時から名前を呼んでいなかった。
認知症には色々なタイプがあることが、だんだん解ってきた。解ったからといってどうなの?ではあるけれど。

鳥の食みこぼす木の実の真くれなゐ  KUMI   
コメント (4)
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