2011.8.4(木)快晴
雨は降らないが暑すぎるので晴読ができる。今回は図書館で借りた本なので余計プレーッシャーがかかる。明日が返却日なのだ。借りた本は読み直すことが出来ないので、読書ノートを作ってメモを取りながら読み進む。最近とみに記憶力が減退しているのでこの方法は普段でも有効だ。
ではなぜ購入しないかというと、それは値段の問題だ。貧乏生活になると本の購入費は大変負担となる。特に新刊書の値段は高騰しているし、古書でも掘り出しものは少なくなっている。ちなみに本書は7,8千円が相場で、オークションに6,000円が出ているのが最安値と言うところである。
若尾氏の名著「鬼伝説の研究」と「黄金と百足」
「鬼伝説の研究」金工史の視点から 若尾五雄著 山和書房
若尾氏の本は以前にも「黄金と百足」で紹介している。(2010.1.31参照)その際かなり批判的に論評しているのだが、後日若尾氏の卓見性に気づき、逆に評価している。
鬼伝説と金工(採鉱、冶金、鍛冶)というのが関連があるというのは今では当たり前のように思っているのだが、過去にはそのような視点は存在せず本書あたりがそのパイオニアなのである。そういう意味では大変価値のある本で高価な値が付いても致し方ないと思っている。氏は鍛冶神が片目であるということもたたら製鉄の過程でのいわば職業病と解き明かした。民俗学の諸先生が納得のいかない諸説を振り回しているときに、なんと爽快な結論であろうか。そして氏の卓見性というのは超人的なものを感じる。かつて「淘汰=藤太」や「大江山の江は鉱山に関係がある」などといった氏の発言に疑問を感じていたのであるが、今ではなるほどと信じている。江の川はともかく、江ノ島がかつて鉱山であったとは驚きである。もちろん大江山は鉱山だし、ありえるなあという感じだ。
鳥取県の山奥に楽々福神社から話が始まる。ササフクと読むそうだ。ササは銅や砂鉄を表すとか、三岳の佐々木は本文にあるが、丹波には佐々江、佐々里など気になる地名も数あって興味深いところである。
鬼伝説のあるところと金工の関係、修験道と金工の関係など満載で一気に読んでしまう内容である。
若尾氏は気づかれてはいないと思うが、鬼伝説のある箇所に引地地名が出てくるのが気になる。実は引地地名考は挫折中で、新しい情報が得られなくて困っていたところである。豊田市の引地地名の真っ只中に酒呑(しゃちのみ)地名があったり、熊野の銅山地帯にヒキジヤシキがあったり、その辺の地図を見ていると引土があったり、私としてはどきどきはらはらの読書であった。
古城山から引地方面、文献の中に引地のヒントが出てきたのは嬉しい。但し、氏は引地について書いているわけではない。
今日のじょん:夜中1時のことである、じょんが吠えるので階下に降りてみると北側の窓に連れて行く。闇の中を耳を澄まし目を凝らしても何も確認できない。二階の窓からじっと聞いていると時々物音がする。きっと小動物だろうと思うのだが、じょんのび谷の上に昨日見つけた熊の糞らしきものと、春に見つけた爪痕が気になるのだが、、、、。