晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雪中八策 防獣編(8) 2/27

2012-02-27 | 日記・エッセイ・コラム

2012.2.27(月)雪 積雪10cm 気温1℃

 雪が解けてきて、雪中八策のタイトルも怪しくなってきたがまたしても雪が降り続いて、安心して書き続けることにする。
 「人の営みの圧力」が最大の居住地にも獣が侵入する理由について述べてきたが、ABCDとエリアを分類して考察すると、昨秋から各地に張り巡らされた防獣ネットの功罪が明らかになってきた。
 ご承知のようにこのネットはワイヤメッシュを利用し2mの高さで農地を対象に設置され、資材は補助金で賄われたようである。P1010068
 
念道、上桝ヶ原の防獣ネット。ネット外の獣の行動がよく解る。


P1010127 P1010128




上記の2枚の写真は下桝ヶ原の防獣ネットの写真である。
雪上の足跡がネットを通過している。よく見るとイヌのようである。
イヌならば害は及ぼさないが、ヌートリア、イタチ、テン、アライグマ、アナグマ、
ハクビシンなどの動物に対してこのネットが無力であることは歴然としている。
猿も含めてこれらの動物に無力であるということは、これだけの対策では
集約的な農業を展開することは不可能である。


 大方の人はこのネットが完成したことで、永年悩まされてきた獣侵入による害が無くなると期待されていることだろう。わたしは従前このネットはやがて獣達に破壊されて修理を余儀なくされ、やがて消滅するだろうとなんとも悲観的な見方をしていたのだが、ABCDのエリアによる分類(ABCD理論と呼んでいる)でこのネットを考えると実はもっと怖ろしい結果が導き出されている。
 
 「税金を投入して張り巡らされた防獣ネットは防獣どころか獣害を助長する最悪の設備である」
 
 今までに言ってきたことは、獣の生息地域(D)と人間の居住地や隣接する農地(A)は里山など(B),山地(C)といった緩衝地域によって隔離されてきたということである。緩衝地帯の緩衝地帯たる理由は「人の営みの圧力」であると説いてきた。
 今回の防獣ネットがどういう位置づけにあるか考えてみよう。A地域は人の居住地と隣接する農地としていたが、この農地をA’とし、居住地をAとしよう。
 農村の環境として理想的な形態はDCBA’Aであり、現状はDDCA’AもしくはDDDA’Aとなっている。そして今回のネットはA’に張られとりあえずA’に獣が侵入しないようにとなされたものである。P1000903
 
わたしが大好きであった念道橋への風景は、アウシュビッツの収容所を思わせる景色となってしまった。



 農地に獣が侵入しなくなるというこの施策が如何に欺瞞であるか賢明な方なら気付くだろう。仮にネットは破られなくて農地は獣の侵入が防げたとしよう、しかしそれは人間が里山も山も獣たちに譲ろう、その代わり農地にだけは入ってくれるなという敗北宣言だということである。
 彼らが交渉の出来る相手ならそれも意味があるかも知れない、しかし彼らは本能によって行動する動物であって、人間の都合などお構いなしな訳だ。
つづく

【作業日誌 2/27】
雪かきくけこ

今日のじょん:P1010178




 予想外の雪が積もった。黒い土や路面が現れていた矢先なので、元の木阿弥感が強い。しかし北国と違ってこの時期の雪は何となく安堵感がある。気温も高く、日差しも明るいのだ。
じょんの様子で降雪の具合を感じて欲しい。もうすぐ出来なくなる雪山のぽんぽこぽんもアップで写してみた。P1010179 P1010181 

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雪中八策 防獣編(7) 2/26

2012-02-27 | 日記・エッセイ・コラム

2012.2.26(日)

 次に考えられることは動物の学習機能である。猿の学習機能については誰もが認めるところだが、猪だって鹿だって程度の差こそあれ学習機能はあるのだろう。
動物にとって本来入ってはならない危険地帯になんかの拍子で入ってみたら美味しい食べ物があった、危険だと思っていたら別にどうって事無かったなんてことを学習するのでは無いだろうか。
 六甲山で餌付けされた猪などその顕著な例である。本来もっとも怖れるべき人間は少しも怖くなくて、逆に美味しい食べ物をくれると学習したものだから、絶対にあり得ない東灘の街中でも暮らせるようになり、遂には山に帰れなくなってしまった訳だ。
 昨年隣家の屋根に二匹の猿が来てのんびり日向ぼっこしていた。近づいても怖れる様子も無く、兼ねて用意の爆竹を投げつけるのだが知らん顔している。かなり大きな音がするので怖がると思うのだがそうでないのだ。つづいておもちゃのパチンコでプラスチックの玉を飛ばすと、これには凄く驚いて慌てて逃げてしまった。花火や爆竹は怖くないと学習しているのだろう。パチンコだって何の威力もないものだが経験のないものが飛んできたので驚いたのでは無いだろうか。これにだっていずれ慣れてしまうのだろう。このように怖々居住地に入ってきた動物も、そこでなんの抵抗も威嚇もなかったとしたら、なんだここは安全なんだと学習するのでは無いだろうか。P1000426

動物園の猿はともかく、この猿は虐めなければならない。


 もうひとつの問題は獣達の食糧、餌のことである。わたしは地域の人たちは獣害に対し悲壮な感を持っているのに対し、このことに随分無頓着な気がする。獣達は居住地や農地に遊びに来ているわけでは無い、食糧を求めて来ているわけだ。
 柿や栗の季節になると猿がたかっている光景がどこでも見られる。栗の木の下には昼間でも猪が栗をあさっている。もっとも猪というのは元々は昼行性だということだ。柿の木に熊が寄って来ることもよくあることだ。Img_3414
 
毎年更新される爪痕は何ものがつけるのだろう。(家のすぐそばで)


 これ等の果実を出荷して生業としている方は致し方ないが、自家ですべてを消費するわけでも無いのに漫然とこれ等の木々を放置されている家はいくらでもある。広報で、「不要な果樹は伐採しましょう」といわれているのを見たことがあるが、一向に伐採されることは無いようだ。もっとたちが悪いのは転出した家の柿や栗の木である。近所のものが実を採るわけにもいかず、木を切るわけにもいかず、すべて猪や猿に食べて頂いている有様だ。
 そして畑や家の周囲に棄てられた野菜屑なども彼らの絶好の食糧となる。過去にはそれで良かったのだが、獣が居住地の周囲にうろついている現在では御法度である。つづく

今日のじょん:雪が解けてくると獣の動向は解らなくなる。朝一庭に放すじょんの探索のみが頼りとなる。ただじょんが嗅いだだけで獣の侵入とは限らないので要注意。P1010172 P1010175   

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