晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

地方の「負」 11/17

2014-11-17 | 日記・エッセイ・コラム

2014.11.17(月)曇り、雨

 讀賣新聞の日曜版は毎週楽しみにしている記事がある。名言巡礼といって文学作品や戯曲、映画などから名言を抽出して、その作品や舞台となる町を紹介する記事だ。11月9日の名言は「どんどん変わっていくのもいいが、こうして変わらんのもいい」2002年の映画「なごり雪」の中の台詞である。記事のタイトルは、地方の「負」は文化になる、というものだ。

 大分県臼杵市(うすきし)は2007年3月18日に訪れた。その日は佐伯市の宿を出て、津久見市、臼杵市、佐賀関半島をまわって大分市まで96Kmのロングランをしている。もちろん自転車だからロングなんだが。その日の訪問先はというと鯨魚塔、暁嵐公園、源兵衛翁碑、佐賀関半島、築山古墳など道端にあるものばかりで、走り続けた一日だった。臼杵市で訪れたところは何も無いし、町の印象も残っていない。それはバイパスを走ったのでどこでも同じ光景しか映らなかったかもしれない。臼杵市の写真が1枚もないのがそのことをよく表している。

何でも無いこの写真が時間的に臼杵市かもしれない。(2007.3.18)
 ところが記事に載っている町の風景はわたしの最も好きな古い町の姿である。歴史的に古いというのではなくて、変わらない風景といえばいいのだろうか。再度この町を訪ねてみたい、訪ねられなかったら「なごり雪」を観てみたい。
 大林宣彦監督はこの町を訪ねて、当時の市長後藤国俊さんに、「この街で映画を撮りたい」とおっしゃったときのことである。「静かな街作りを始めたのに、観光客にたくさん来られたら困る」と一旦断られることとなるのである。大河ドラマの誘致に躍起になっている丹波丹後の市長さん達には解らないだろうなあ。
 後藤市長が目指したのは「街残し」。古いものを壊して新しく造り替えるのではなく、古くからある街並みを伝統的な暮らしと共に残していくことだったそうだ。
実はこういった考えが大林監督も同じくするところであって、結局ありのままの臼杵を表現した「なごり雪」が出来上がったということだ。
 採算を度外視して工場を誘致する、いつまでたっても売れない団地を造成する、観光客を誘致すると言って程度の低い箱物を作る、無理矢理に特産物を作り上げる、大河ドラマの誘致や世界遺産の指定に血道を上げる、あなたの町、こんなんじゃありませんか?

【今日のじょん】猟期が始まると川はカワウとサギばかりになって、鴨や雉の親子連れは姿を消す。危険を察知して隠れているのか、はたまた撃たれてしまったのか、
鳥より、鹿や猪撃ってくれよなあ。

川辺に残された薬きょう。

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