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高齢・地価…震災被災者、住まい再建に深まる葛藤

2014年09月11日 07時37分44秒 | ニュース
 震災から約3年半となり、被災者の住まいの再建をめぐる葛藤が深まっている。行政の調査で移転先の希望を伝えても実現するとは限らず、多様な事情に支援の手も届きにくくなっている。

 「元気なら家の一つくらい自分で造れたのに。この年になって選択肢がない」。宮城県石巻市の仮設住宅団地で、大工の経験のある佐藤時衛さん(82)は漏らした。

 震災前、刺し網漁をしていた佐藤さんが夢見るのは浜の近くでの生活だ。ただ、1人暮らしになって10年。単独で新生活を始めるハードルは高く、災害公営住宅の申し込みには行けなかった。

 意向調査など、市役所から届く書類は「漢字が多くて読めない」ためほとんど開けたことがない。頼りにするのは市内に住む息子家族だが「来てもいいよと言ってくれるのを待つしかない」。

 自宅が大規模半壊となり、宮城県多賀城市の仮設住宅に暮らすパート従業員の女性(32)は市の調査に災害公営住宅を希望すると答えたが、昨年の仮申し込みで「入居不可」と知らされた。

 半壊した自宅を名義人の親族が売却し、家屋が解体されていない点が条件に合わなかった。「こんなに厳しいなんて……」。ショックを引きずったまま、民間物件を探し続けている。

 土地や住宅の値上がりもネックだ。「みんなでまた一緒に暮らせる家を建てようと土地を探し回ったが、住宅メーカーが買いあさって値がつり上がった」。子供や孫と離れ、仮設暮らしが続く仙台市の女性(67)はいらだちを隠せない。

 看護師を中心としたボランティア団体「キャンナス東北」の山田葉子さん(46)は「抱える問題が多様化して見えにくくなっており、行政やNPOなど支援する側の連携が不可欠だ」と話す。〔共同〕