中国の電子商取引大手アリババグループは19日、ニューヨーク証券取引所に上場した。新規株式公開(IPO)に伴う資金調達額は最大で250億ドル(約2兆7200億円)に達する可能性があり、史上最大規模の上場として市場の注目を集めている。アリババは当初、公開価格の仮条件を1株当たり60~66ドルに設定していたが、投資家の需要が旺盛なことから66~68ドルに引き上げ、最終的には上限の68ドルに決定。19日の初値は92.7ドルだった。
当初の公開株式数は3億2010万株を予定しており、調達額は約218億ドル。ネット関連企業としてはフェイスブック(約160億ドル)を上回って最大となる見込み。更に追加売り出しも行う見通しで、追加分を含めると最大250億ドルとなり、上場による資金調達額でこれまで最も多かった中国農業銀行(221億ドル)を超え、全業種で過去最大になる。企業価値を示す時価総額も約1680億ドルと米ネット通販大手アマゾン・コム(約1500億ドル)をしのぐ規模となる。
アリババは英語教師だったジャック・マー現会長らが1999年に創業。「淘宝(タオバオ)」などのネット通販サイトを運営し、今年6月末までの年間の総取引額は2960億ドル、利用者数は2億7900万人に上る。現在の事業展開は中国国内が中心で、通販市場の8割のシェアを握る。マー会長は「将来的には世界にどれほどの進歩をもたらしたかによって評価される」とし、上場を機に米国や欧州市場で事業拡大を目指す姿勢だ。
ただ、市場ではアリババのグループ企業の複雑な運営形態を疑問視する声もある。また、米国ではアリババの知名度は極めて低く、米市場でどれだけ浸透を図れるかも課題になりそうだ。
.
【関連記事】