『大正・昭和の建築物を訪ねて』その13。北千住の続き、勝専寺を後にして元の道まで戻り、国道4号線にむかう。信号を渡ると『旧千住郵便局電話事務室』のビルが見えてくる。
1929年山田守の設計のもと建築された、いわゆる逓信建築の一つであり、2階建で前面道路に沿う形で造られたコの字型の建物である。角の部分を曲面にしてタイルを水平に並べたデザインとなっていて今見ても美しい。特にアーチ型の門は優美である。
日光街道沿いに北に向かう。この辺りは下町風情が残されていて安い八百屋や街の自動車修理工場など『三丁目の夕日』に出てきそうな風景である。
右に曲がると大きな銭湯、しかし、銭湯という規模ではなく、お寺のような大伽藍である。『大黒湯』は第一回キングオブ銭湯にも選ばれており、正面の唐破風、その規模など王者の風格がある。
建築は1929年、もうすぐ100年は迎えるが当然現役である。これは時間が合えばぜひ入ってみたい。
日光街道に戻り、右に曲がる。あまりに広く、交通量も多いため、圧倒される。北千住駅に向かう駅前通りを左に、アーケードとなっているが、アーケードが切れるところに西洋建築がある。この『大橋眼科』だが、実は建築は1982年と意外にも新しい。
調べてみると建て替え前には1915年築の洋館の医院があったが、そのイメージを引き継ぐように造られた。
建築にあたり街燈は昭和通りにあったもの、バルコニーは東大前にあった煙草屋のものなど取り壊されようとしている西洋館の資材を集めて建設したとのこと。なるほど仔細にわたりよく工夫された建物である。
他にも市場通り(旧、日光街道)を歩けばまだまだレトロ建築物もあるが、今回はここまでにしておく。