芸術の秋というほどでもないが、現在東京国立博物館で開催中の『京都・南山城の仏像』(〜11月12日)を見に行く。この展覧会は浄瑠璃寺九体阿弥陀仏の修理が5年かけて完成したことを記念したものである。
国立博物館は15時頃に到着したため、混雑はない。webでチケットを予め取ってすんなり入場。会場は特別5室という1階奥の部屋である。
中に入ると海住山寺の『十一面観音菩薩立像』をまず目にする。それほど大きくはないが、十一面それぞれの解説がされているのがありがたい。何しろ像自体も小さく、十一面に至っては3cmほどしかないのである。
京都・薬師寺の『薬師如来坐像』。どっしりと構えたお姿が安心感がある。和束町のこのお寺は今まで知らなかった。
岩船寺『普賢菩薩騎象像』。赤い三重塔と阿弥陀如来坐像は覚えていたが、お寺にお参りしたにもかかわらず、このお像は覚えていない。象の上にまたがる細面の普賢菩薩は優美で、優しいお顔である。
現光寺『十一面観音菩薩坐像』、殆どが立像の十一面観音では珍しい坐像。少年のような細面で金が多く残る美しいお像であった。
浄瑠璃寺の『地蔵菩薩立像』は丸顔の優しいお顔。さらに『多聞天立像』『広目天立像』は真ん中にいらっしゃる『阿弥陀如来坐像』をお守りしている。
いつもは九体並んでいらっしゃるが、一体のみをしげしげと、しかもぐるり回って裏から見るチャンスは今まで無かったのでゆっくり拝観させてもらった。因みに9体の中で1番右側に並んでおられる1番のお像であった。
ほかに『阿弥陀如来坐像』(極楽寺)、2m近くある『十一面観音菩薩立像』(禅定寺)などあったが、目を引いたのは寿宝寺の『千手観音菩薩立像』。本当に千本の手を持つ仏様は大きな唐招提寺、大阪の葛井寺しか見たことがないが、このお像はコンパクトな上にしっかり千本の腕を持つ素晴らしい像であった。また、降三世明王立像は異教の神を2人も踏んでいるあたかも蔵王権現のようなダイナミックな足には驚いた。
もう一体、神童寺の『不動明王像』は他のお像とは異なり、何とも親しみやすいお顔。鎌倉時代の作らしいが一度見ると忘れないお像であった。
全部で17体、国宝3体、重文11体のお像が一堂に会することはまずないが、バリエーションのあるお像を一体ずつじっくり見た。もちろん良かったが、次はぜひ南山城の地に行って見ることにしたい。