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『鉄道シリーズ』その296。1964年9月以前、つまりまだ東海道新幹線の開業前は在来線特急こだま、つばめ、はとなどいわゆるビジネス特急と夜行列車が東京〜大阪の旅客運送の大半を担っていたことはよくしられている。しかし、新幹線開業以前もこれらのビジネス特急(151系)では驚くべきサービスを行なっていたことは今は知る人も少ない。もちろん最上級の車両に限ってであるが。
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これらの特急(こだま、富士、つばめ、はと、おおとり、うずしお)は同じ編成であり、先頭車両には展望車を備えていた。”パーラーカー”と呼んでいたのだが、1車両の定員は18名、これが2つに区分されていて運転席後ろの区分席は4人用の個室、その後ろにある開放室は14席あり、席配置は2列に並んでいた。
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開放室の席は1人用の回転リクライニング席でフルフラットとまではいかないが足を伸ばして座ることができた。シートもココア色の濃淡格子縞のモケットと他の車両と全く違うものを使っていたのである。
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サービスも専用の給仕がいて紅茶やコーヒーを無料で提供された。さらに各席に電話用のジャックがあり、給仕に固定電話を持ってこさせて自席に座りながら電話をすることもできた。60年以上前の携帯電話など全くない時代にこのようなサービスがあったこと自体ビックリ。他にもラジオを聴くことができるサービスもあったのである。
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もちろんこのような座席の値段は一般に比べて高い。1964年9月現在でこだまの2等車は運賃1180円+特急券800円=1980円だが、通常の1等車は運賃2170円+特急券1760円=3930円、さらに展望車は特別座席料金が1650円かかるので片道5580円になる。当時は1等と2等では運賃も違っていた。因みに1964年10月に開業した新幹線ひかり号で1等車に乗る場合は運賃2170円+超特急1等料金2860円=5030円だからいかにこのパーラーカーが高かったかわかるであろう。
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新幹線開業以前など想像も付かないが、こんな車両があれば一度是非乗ってみたいものである。(私は京都〜東京間を昭和37年に特急つばめには乗ったことがあるらしいなだが、あまり記憶はない。)なお、座席は今も鉄道博物館に残されている。