事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「拝啓、父上様」フジテレビ 倉本聰脚本

2007-05-09 | テレビ番組

31855015 放映が終了しても、さまざまなところでいまだに絶賛されている。この分だとDVDの発売も早まるかもしれない。このドラマはもちろん75年から77年にかけて放映された「前略おふくろ様」(日テレ)のアンサーソングのような存在。視聴率も安定していたので、「前略~」のように第二シリーズが制作されることも期待できる。

「前略おふくろ様」との相似はこうだ。

主人公が内気な板前……萩原健一(前略)、二宮和也(拝啓)

主人公がつとめる料亭の女将……八千草薫

主人公が尊敬する花板(はないた)……梅宮辰夫(前略では秀次、拝啓では竜次)

怒ると怖いが欠点も多いとび職…室田日出男(半妻…前略)、松重豊(シャク半…拝啓)

そして、ある意味“失われた”親に語りかけるスタイルが(あいだに『北の国から』をはさんで)なによりも共通している。

「前略おふくろ様」は地元にもDVDが入荷しているのであらためて特集することとして、「拝啓~」のすばらしさは、久しぶりに倉本聰が“軽い”コメディで本領を発揮してくれたことにつきる。「2丁目3番地」(日テレの土曜グランド劇場)や「浮浪雲」(テレ朝)でみせた切れ味が健在だったのだ。

 これはうれしい。他にもいろいろと書いていたとはいえ、この二十数年の倉本はどうしたって「北の国から」(フジ)。すばらしいドラマだし、わたしもくりかえし泣かされたが、やっぱり重いじゃないですか。しかもただ軽いだけでなく(ただ軽いだけのドラマの方がむずかしいのだが)、こんな会話で古い町(→神楽坂)を惜しみ、しかし若い世代への期待を自然にシンボライズしてみせる。

竜次(梅宮辰夫)「これは俺からの、お前への餞別だ……京都の、有次(ありつぐ)の包丁だ。それも左利きだ」
一平(二宮和也)、一礼して包みを解く。
竜次「いつかも云ったがお前は本来左利きなのに無理して右利きで仕事をしている。昔の板前はそうだったかもしれんが、もうそんな時代ではないと思うんだ」
一平「……(聞く)」
竜次「もっとも、もう長いこと右でして来たから最初は却って馴れないかもしれん」
一平「……」
竜次「使いにくかったら使わんでもいい。自分に自然な……楽な方を選べ」
白木の箱のふたを開く。そこに並んだ一式の包丁。
一平、無言で頭を下げる。
竜次「身のふり方も、自分で選びな」

……くーっ、うまい。ぜひともDVDで堪能して!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする