Christina Perri - A Thousand Years [Official Music Video]
2016年9月号「実力」はこちら。
「触るなクソ。どこつかんどんじゃボケ。土人が」
東村高江の米軍北部訓練場周辺で、警備活動中の大阪府警機動隊員が発した言葉。松井府知事が擁護するような発言をしたとかも問題になっている。ネット上には反対派も「やくざ」とか悪口雑言を投げかけているのだからいっしょだ、という論調もある。気が遠くなる。この発言の闇が理解できていないのだろう。
感覚として沖縄差別というのがわたしなどにはよくわからないのだが、ひょっとしてこの機動隊員は、沖縄県人を自分とは違った存在だと規定しているのだろうか。
だとすればこれはよくある「マジョリティの側にいることに安心し、マイノリティを差別することでなお安堵したい」という下劣な根性の発露ではないのか。
今週号の「週刊新潮」の見出しはこうだった。
・「ぶっ殺すぞ、お前!」ヤクザまがいの暴言一覧
・地元住民に本音を訊くと「あいつらはバカ」
わたしは今年、「戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)」という沖縄における基地闘争のドキュメンタリーで同様の場面に出会った。沖縄県警はもっと紳士的だったが、反対派の悪口雑言は同様。しかし、国家権力を盾にした警察に対峙するとき、暴言を発したからどうだというのだろう。権力に許容された暴力装置の発言と等価に例えるのは、あまりにも卑怯な態度だと思う。
<人工透析患者の大多数は暴飲暴食をし、運動もせず、医師の注意も無視して糖尿病になり、その結果人工透析を受けるようになった人たち。1人あたりの透析費用は年間500万円にもなる。そのような自業自得の患者の人工透析費用は全額(本人の)実費負担にせよ!>
元フジテレビアナウンサー長谷川豊氏の主張。あまりにずさんだったせいで彼はバッシングを受けたわけだが、おそらくこれも「マジョリティの側にいることに安心し、マイノリティを差別することでなお安堵したい」感情の発露だと思う。たしなみというものが、世の中からなくなってきた。
本日の一曲はクリスティーナ・ペリの「A Thousand Years」彼らに、千年の計を求めるほうが無理筋か。
2016年11月号「TPP」につづく。