King Crimson - 21st Century Schizoid Man
Vol.10「理想の夫婦」はこちら。
60代後半の男性。交際している40代前半の女性に結婚を申し込み、逆に別れを切り出されています。
妻とは定年後に死別しました。喪失感から入会した自助グループでその女性に出会いました。スタッフです。最初は食事を共にする程度でしたが、今は我が家に泊まることもあります。
私は現役時代、大企業でそれなりの活躍をしていました。彼女はそんな私を認めてくれ、彼女の姉に私とのことを相談しているのですが、将来の介護などを理由に早く別れるよう勧められているようです。最近、何度か「別れたい」と言ってきました。私に一億円の財産があるなら結婚してもいい、などと冗談か本気かわからないことも言われました。
彼女の姉の言うことはもっともです。私が諦めるべきなのですが、寂しさや思慕の念に負け、元の関係に戻ってしまいます。彼女の人生を束縛する権利はないと思いながら、最後の結論ができないのです。息子2人は家族を持っており、相談はしていません。(東京・C男)
……プライドの高い人なのだろうな、と思う。大企業でバリバリに活躍してきた思い出を財産に、愛する妻の死の喪失感を若い女性で相殺していることが、いけないことだと“わかっている”と主張するあたり、さすが団塊の世代は違うなあ。
すみません、ちょっと揶揄がすぎましたね。
お気持ちはわからないではないんです。仕事人間が、初めての孤独な境遇にうろたえているんでしょう?自分のことを第一義に考えてくれる人間の不在は、プライドの高い人間にとって耐えられないはず。
ただ、それがどうして結婚に結びつくのかがちょっとわからない。回答者の出久根達郎さんは「将来の介護を頼めるという気持ちがどこかにあって、相手には、それが透けて見えるのではありませんか」と例によって卓見を。
冷静になれば、あなたはやはりずるい。彼女は姉に関係を明かしているのに、あなたは息子たちに関係を隠している。知られれば反対、あるいは軽蔑されるのが怖いのが本音でしょう。
娘ほどの年齢の女性を魅惑したのだから、きっとあなたは魅力的な男性なのだと思う。ずるくて、魅力的で、妻と死別していて、そして実は財産もそれなりにあるあなたが、若い女性にふられ、あるいは財産分与でもめるようなみっともない事態が怖くて仕方がない……プライドを捨てる勇気がないのなら、このままの関係で十分でしょうに。
本日の1曲は来日決定記念、キング・クリムゾンの21st Century Schizoid Man。同僚は狂喜しています。
かつて雑誌ロッキング・オンのキャッチコピーは21ST CENTURY SCHIZOID MAGAZINE。
ロバート・フリップに「うちの雑誌のコピーはこれです!」と渋谷陽一(だったと思う)が見せたら鼻で笑われたというオチがついてます。性格をよくあらわしてます。
Vol.12「アニバーサリー人間」につづく。