第10回「真夏の夜の夜の夢」はこちら。
おやまあ、前回の視聴率は8.7%と急降下。おそらくその大部分は「ポツンと一軒家」(テレ朝)に流れたんでしょう。危機的状況だ、とはわたしは思わないけれども、もうひとつの要因はさすがにしんどい。ピエール瀧の件だ。
何度も主張するように、わたしは役者は人を殺してもいいと思っている。むしろ芸能人を差別していると言えるかもしれない。品行方正さを彼らに求めるほうがどうかしている。
にしても、大河ドラマという金看板の下でコカインはさすがにしんどい事情は理解できる。ただ、これだけは言っておきたいの。電気グルーヴの諸作や「凶悪」「あまちゃん」「64(ロクヨン)」で見せた彼の凄みを、否定することは絶対にできないはずだ。画面にいるだけで多幸感を提供できる役者はなかなかいない。怒られることを承知で断言。復活を待つ。
だいたい、ミュージシャンとコカインの親和性はジャクソン・ブラウンが証明してる(笑)。
さて「百年の孤独」。このタイトルにしても、三島(生田斗真)が負けて晴れ晴れとした顔をしていたことも、まずこの大河がオリンピックではなく、アスリートを鼓舞していることがよくわかる。
同時に理解できるのが低視聴率の要因。もんのすごくいろんなことを短時間につめこんであるのだ。三島の母(白石加代子)が無学であることを一瞬で描くあたりの手腕にうなる。この濃密さは「マンハッタン・ラブストーリー」や「木更津キャッツアイ」と同様だ。ついてこれない人はいっぱいいるでしょ。
いま宮藤官九郎は必死にストーリーの核をぶらさずに修正することに必死だろう。でもそのことでますます彼の本領が発揮できるような気もするのだ。脚本家はいくらでも作品のなかで人を殺してもいいし、生かしてもいい商売なのだから。
第12回「太陽がいっぱい」につづく。