萩原健一の訃報にはいろいろと考えさせられる。
かつて「ショーケン」で特集したように、常に美女にかこまれ、そのプロデューサー体質が彼を幸福にも不幸にもした。
忘れられないシーンがあった。タイガースもテンプターズも解散し、彼らがスーパーグループ「PYG」を結成し、おそらくはその初めてのテレビ出演をわたしは見ていた。
沢田研二にはもちろん歓声が上がった。そしてつづいて登場した萩原健一には……負けずに大きな嬌声があがったのだ。そして、そのことに彼が本当に喜んでいたのが感じられたのだった。
彼だって不安だったに違いない。まもなく「太陽にほえろ!」で人気が爆発するなんて誰も予想していなかったし。
例の恐喝問題でわたしは彼への熱はさめたけれども、神代辰巳の諸作、「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」そして大河での新田義貞役と犬公方はよかったなあ。ひとつの枷を与えられたら、その中でこそむしろいきる俳優だったのではないかと今は思う。
そうか、「いだてん」の収録は終えているのか。にしても高橋是清役に彼をキャスティングするセンスはすばらしい。
うう、やっぱり寂しいな彼がいなくなるのは。