究極の罵倒芸「愛される理由」篇はこちら。
近作登場。ここまでくるとファンも多いはずなのでかなり怒られるかも。そう考えれば岡野と豊崎は誰にも遠慮なしに罵倒しまくっているわけだから立派だ。おかげで二人はネット上でボロクソに言われているわけで、この根性は見習わなければ。
「マディソン郡の橋」 ロバート・J・ウォラー 平成5年
豊崎 おナルな中年男のためのハーレクイン・ロマンスの称号を差し上げます。わたし、忘れません、これを初めて読んだときの怒りを。投げ捨てましたもん!とにかく、これって欲求不満の女の所にプラプラ~とした浮浪者みたいな男がやってきて、クラッと来てセックスしてアッハ~ンみたいなよくある痴話ばなし以外の何ものでもないでしょ。それを70年安保世代のバカなおやじどもが、「俺もキンケイドだ」って陶酔したのがベストセラーになった原因だと思うんですよ。当時、オヤジ世代の編集者がよく、「あの本、泣けるね~」とかいってやがったっけ。……殺すっ!
岡野 男と女が家庭を捨てて逃げない理由もどうしても納得できない。女は家族に責任があるといい、男はその意思を尊重する。でも、二人は、自分たちのこの地上の生はかりそめで、ほんとうは宇宙の時間の中に生きていると自覚してるんだぜ。そんな人間にとっては、現世的な責任というものがまずあり得ないか、あるいはあっても責任の質そのものが変わっちゃってるはずだよ。
「ハリー・ポッターと賢者の石」 J.K.ローリング 平成12年
岡野 これさ、読者にあらかじめヒーローが最強の血筋であることが約束されてるでしょ。どうひっくり返ったって、種明かしは全部最初に終わっちゃってるのよ。
豊崎 だからこそ安心して読めるんですよー。でも、成功がすべて約束されてる子どもの成長を読んでて、一体何が楽しいんだかね。
岡野 も、ぜっんぜん、わからない!読むの退屈で、エライ苦労した。ほんとツマラン。なんで記録的な大ヒットしたのか、教えてくれぇ。
……やっとわたしが読んだことがある二作品。「マディソン郡の橋」は、そのパッケージングが気になった。亡くなった母の秘密が語られる手紙を(その内容に感動した)彼女の子供たちが作家センセイに持ってくる……ってありえないでしょう。母親の不倫話だからだけではなく、そのメンタリティがちょっと。その辺が最初から気になったなあ。
「ハリー・ポッター~」はねえ。就寝前に読み聞かせていたら娘は興奮しまくりだったが、わたしは二作目以降を読もうという気には……静山社の成功は喜ばしいが、残るビジネスチャンスは文庫争奪戦になるのだろう。あの会社はきっと自社文庫を立ち上げるに違いないとわたしはにらんでいる。題して「ハリー・ポッター文庫」。少なくともわたしが社長ならそうする(笑)
次回はケータイ小説&セカチューです。