事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「生首に聞いてみろ」法月綸太郎 角川書店

2008-06-05 | ミステリ

Norizuki01 彫刻家の川島伊作が病死した。その直後、彼の娘・江知佳をモデルにした石膏像の首が切り取られた。悪質ないたずらなのか、それとも江知佳への殺人予告か。名探偵・法月綸太郎の推理の行方は!?

娘を型どりした塑像の首が切り取られていたのはなぜなのか。高木彬光のある作品(「○○殺人事件」)を想起させるトリック、魅力的なタイトルといい、ゾクゾクさせる設定だけれど、殺人の動機がなあ。ありえないだろこれ。
このタイトルにひかれて娘が読んでましたが
「お父さん、これ、ホラーじゃないのね」
娘よ、どんな展開を期待していたのかね?(T_T)
このミスのベストワンには異議を申し立てる。

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「トンマッコルへようこそ」WELCOME TO DONGMAKGOL (’05 韓国)

2008-06-05 | 洋画

1950年代、朝鮮戦争が続く中、戦争とはまるで無縁の平和な村が山奥にあった。その名はトンマッコル。そんな村へまるで導かれるように、アメリカ人パイロットのスミス、韓国軍の2人、それに敵対する人民軍の3人がやってきた。顔を合わすなり、銃を持ってにらみ合う両者だが、銃や手榴弾を見たことがない村人たちは呑気なもの。偶然から村人たちの食料貯蔵庫を爆破してしまった兵士たちは、ひとまず協力して村人たちの畑仕事を手伝うことに。やがて両者に心の交流が生まれてくるが…。

 韓流をとりあげるたびに言っているので恐縮だけれど、今回も痛感。「韓国映画は成熟している」と。

 背景が仁川(インチョン)上陸作戦の頃、というから米軍中心の国連軍が北側へ逆襲に転じ、“生命の単価が安い”ことで有名な中国の人民解放軍が大量に(100万人!)投入され、んもう戦況はしっちゃかめっちゃかになっている時分だ。

 これだけの戦争の影響が、しかし及ばないでいる村の物語。いくら急峻な峡谷にあるとはいえ、要するに「どこにもない場所」におけるおとぎ話といえる。

 成熟していると思えるのは、政治的・歴史的事実を、そんなファンタジーの姿をとっているとはいっても、冷静に、淡々と語っていることだ。

 北朝鮮の若い兵士が、韓国軍のやはり若い兵士を難詰する。
「お前たちが先に手を出したくせに!」
「何を言ってるんだ。お前たちこそ先だ!」韓国兵は言い返す。
「隊長!あんなこと言ってますよ。あいつらが先ですよねー」
「……いや、俺たちの方が先だ」

これを、行列ができる弁護士にドッペルな北朝鮮側の隊長に静かに語らせるあたりがうまい。「トンマッコルへようこそ」では、この北側の隊長が一貫して先に平和に目覚めるように描かれている。“北もまた同胞”という認識は、先の大戦を「被害者」あるいは「加害者」の二元論でしか語ることのできない日本と、すでに性根からして大きな差がついているのだろう。

 音楽が久石譲だからだけではなく、イノシシが出てくる場面など、ジブリっぽい肌ざわり。六羽の蝶が舞うラストは、泣ける。

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25円。

2008-06-05 | 社会・経済

1292811  ガソリン1リットル200円の時代が、冗談や空想から『仮定』の段階に入ろうとしている。今回の道路特定財源をめぐる与野党の攻防は、いろいろと考えさせてくれた。

 明確に“よかった”と思えることがひとつあった。消費税導入以来、日本人がひさしぶりに税金についてマジで意識的になったということ。政治家の仕事は、税金の使い方と集め方を決めることなのに、これまでは“お上のやること”とばかりにまるで他人ごとだったのではなかったか?特に集め方の方は、国会論議などどこへやら、【党税調】と呼ばれる自民党の長老たちが操っていたし、だから財務省も肝心な情報は彼らにしか提供していなかったのだ。

 でも今回の大騒ぎのおかげで、復活した特定財源については(まあ、例によってあっという間に忘れ去られる危険性もある)国民が注視しているからヘタな動きはできない。およそペイするはずのない高速道路の建設とか、政治家の利益誘導がむき出しの路線決定とか。第一、現職の首相が一年後に一般財源化すると明言した事実は重い。これがひっくり返るとすれば、そのときは自公政権が文字どおりひっくり返るか、あるいは福田首相が辞任という選択をするだけだろう。

 新聞を読みこんで、特定財源についてわたしはこう整理している。
1.特に地方の道路整備は、特定財源があった方が圧倒的に有利。受益と財源のバランスを考えると、都会の人間がよくもまあこんなシステムを容認していると思う。
2.“必要な”道路と、“無駄な”道路の線引きは機能していない。財源を復活させようとした道路族の主張を考えると、うまく線を引こうなどというつもりは毛頭ない。
3.総体的に、予算は使い切れない傾向にある。つまり予算を必要な道路に振り向ける権能を誰も有していない。振り向けるには一般財源化(つまり地方にまかせる)が有効だろうけれど、それだと国土交通省がパワーの源泉を失ってしまう。
4.“改革”を推し進めるには、郵政などよりこちらの方がはるかに有効だったにもかかわらず、時の政権(遠回しに言うことでもないか。小泉政権です)は実行することができなかった。

……土建屋政治(集票マシーンとして特定郵便局長会などより建設会社の方が献身的)のせいで一般財源化が阻まれている、とするのは一面的にすぎるだろう。日本は旧来からこんなパターンで政治は行われてきたのであり、計算違いがあったとすれば、ドライバーたちはガソリンの値段というものに、為政者が考えるよりもはるかに敏感だったあたりじゃないだろうか。

 ところで、わたしがどう考えてもわからないのは、ある統計で【日本でいちばんガソリンの値段が安いのは山形県】だった事実。県内のどっかに油田でもあったっけ?

※画像は、一連の騒ぎのなかでいちばんあからさまだった人。

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