事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

taspoで一服。

2008-06-03 | 日記・エッセイ・コラム

Taspo  山形県では、2008年5月1日から、成人識別ICカード、いわゆるtaspoがないと自動販売機でタバコを買うことができなくなった。JTなどによってあれほどPRがなされたにもかかわらず、何よりすべての自動販売機で予告されていたにもかかわらず「知らなかったよオレ。」わが同僚ながらなさけない輩も存在する。

「仕方ないからその自販機おいてる店に入って直接買おうとしたら、店の親父に『ちょっと来い』って自販機まで連れて行かれて、親父のtaspoでピッとやって自販機で買わされたんだ。」
なんじゃそりゃ。

 しかし親父の気持ちもわかる。おそらく自動販売機の売り上げがガタ落ちなので、少しでも習慣づけしたかったのだろう。対面販売がめんどくさかったということもあるだろうけれど。なにしろtaspoはなかなか普及しないのである。2008年5月現在で全喫煙人口の13%しか取得していないのだとか。原因ははっきりしている。めんどくさいからだ。

 taspoの取得手続きはこう。
1.申込書を受け取る……これは簡単。タバコ販売店にもあるし自販機に備え付けているところも多い。ネットでダウンロードもできる。
2.本人確認書類を用意……これもまあ、簡単。運転免許証や保険証の写しでいいのだから。
3.顔写真を用意する……ここかな、面倒なのは。目的を考えれば写真は必須。でもわざわざパスポートサイズの写真を撮影するのはどうもなあ。
4.申込書に写真をセロテープで貼り、確認書類のコピーといっしょに郵送。
5.配達記録郵便でtaspoゲット。およそ二週間かかる。

……なんかね、やっぱりめんどう。しかも運転免許証承認や顔認証システムが認可される噂もとびかって二の足を踏んでしまうのは仕方がないところか。そのため、ここがチャンスとばかりにコンビニがタバコ販売のイニシアチブをにぎろうと攻勢をかけている。おかげでおまけのセブンイレブン電子ライターがだいぶたまってしまいました。

わたしの結論はしかしはっきりしている。未成年に販売する機会を減ずるという意味以上に、とにかく日本には自動販売機が多すぎる!外国人が日本に来てまず驚くのは街にあふれる自販機の多さ(「治安がいいんですねぇ!」って意味もあるんだけど)である。日本人の“技術があるんだから使わなきゃ損だ”とばかりにいびつに自販機依存がすすんだ社会こそが異常ではないか。かくいうわたしも、知り合いに財布からtaspoをとりだしてピッとやられたら、きっとうらやましがるに違いないのだが。

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「カポーティ」Capote ('06 ソニー)

2008-06-03 | 洋画

299844capoteposters    文章を紡ぐ上でまちがいなく天才。繊細な筆致、奇抜ではあるけれど的を射たレトリック……トルーマン・カポーティは若くして文壇の、そして社交界の寵児となる。しかし反面、悲惨きわまりない幼少期をすごし、同性愛者であり、矮小な体躯にコンプレックスを抱いてもいた。だからこそ奇矯なふるまいがゴシップ欄をにぎわせたのかもしれない。

 そんな彼が、家族全員が惨殺された事件の新聞記事に目をとめる(ここから映画はスタートする)。自分が事件を描くことで“何か”を生み出すことができると感じたカポーティは、幼なじみの作家ハーパー・リーとともに現地に向かう……

「アラバマ物語」の原作者であるリーが、作中で描いた“いつもやかましい隣家の子ども”こそがカポーティだった経緯を知っている方が、どちらの作品も楽しむことができるだろう。「アラバマ物語」の試写を観たカポーティが、酔っぱらいながら「騒ぐほどの映画じゃない……」とつぶやくシーンの深みを感じとることができるはずだからだ。

 二人の殺人犯が逮捕され、セレブである立場を利用してカポーティは彼らに接触する。ここから、カポーティの地獄が始まる。
 一方で、あのアヴェドンを連れてきて犯人たちを撮影させるなどのスノッブさを見せ、もう一方で犯人のひとり、スミスを愛してしまう。作品を完成させるためには彼らの死刑を見届けなければならず(そのために早期の執行を願ったりする)、しかしその死は同時に“恋人”を失うことを意味する……作品名『冷血』In Cold Bloodに自虐的な意味もこめていたのではないかと言われる理由がここにある。

Capote01 フィリップ・シーモア・ホフマンが、作家としてのエゴと犯人への想いに引き裂かれるカポーティを、ものまねの域を超えて絶妙に演ずる。アカデミー主演男優賞納得。彼をとりまく役者たちの“ニュアンス”の演技もまたすばらしい。傑作!

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