山形県では、2008年5月1日から、成人識別ICカード、いわゆるtaspoがないと自動販売機でタバコを買うことができなくなった。JTなどによってあれほどPRがなされたにもかかわらず、何よりすべての自動販売機で予告されていたにもかかわらず「知らなかったよオレ。」わが同僚ながらなさけない輩も存在する。
「仕方ないからその自販機おいてる店に入って直接買おうとしたら、店の親父に『ちょっと来い』って自販機まで連れて行かれて、親父のtaspoでピッとやって自販機で買わされたんだ。」
なんじゃそりゃ。
しかし親父の気持ちもわかる。おそらく自動販売機の売り上げがガタ落ちなので、少しでも習慣づけしたかったのだろう。対面販売がめんどくさかったということもあるだろうけれど。なにしろtaspoはなかなか普及しないのである。2008年5月現在で全喫煙人口の13%しか取得していないのだとか。原因ははっきりしている。めんどくさいからだ。
taspoの取得手続きはこう。
1.申込書を受け取る……これは簡単。タバコ販売店にもあるし自販機に備え付けているところも多い。ネットでダウンロードもできる。
2.本人確認書類を用意……これもまあ、簡単。運転免許証や保険証の写しでいいのだから。
3.顔写真を用意する……ここかな、面倒なのは。目的を考えれば写真は必須。でもわざわざパスポートサイズの写真を撮影するのはどうもなあ。
4.申込書に写真をセロテープで貼り、確認書類のコピーといっしょに郵送。
5.配達記録郵便でtaspoゲット。およそ二週間かかる。
……なんかね、やっぱりめんどう。しかも運転免許証承認や顔認証システムが認可される噂もとびかって二の足を踏んでしまうのは仕方がないところか。そのため、ここがチャンスとばかりにコンビニがタバコ販売のイニシアチブをにぎろうと攻勢をかけている。おかげでおまけのセブンイレブン電子ライターがだいぶたまってしまいました。
わたしの結論はしかしはっきりしている。未成年に販売する機会を減ずるという意味以上に、とにかく日本には自動販売機が多すぎる!外国人が日本に来てまず驚くのは街にあふれる自販機の多さ(「治安がいいんですねぇ!」って意味もあるんだけど)である。日本人の“技術があるんだから使わなきゃ損だ”とばかりにいびつに自販機依存がすすんだ社会こそが異常ではないか。かくいうわたしも、知り合いに財布からtaspoをとりだしてピッとやられたら、きっとうらやましがるに違いないのだが。