事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

いだてん 第12回 太陽がいっぱい

2019-03-24 | 大河ドラマ

第11回「百年の孤独」はこちら

前回の視聴率は8.7%と微動だにせず。

さあおそらく一年を通していちばんしんどい回だ。低視聴率の要因のひとつに、金栗四三のアスリートとしての結果が知られてしまったことにあるんだと思う。

これが、たとえば高橋尚子の物語だと、興奮が最初から約束されている。でも金栗の場合は違う。今回のタイトルが象徴する要因によって、とんでもないことになってしまう。

今日は鶴岡まちなかキネマで「サムライマラソン」を見てきました。地元で撮影された映画なのでお客さんがいっぱい。で、これは言っていいのかな、ラストに金栗四三や円谷幸吉が紹介されるんです。

そしてつくづく思いました。マラソン選手って、悲劇的な存在だなと。アベベも不幸な事故があったし、瀬古には変な電話がレース前夜にかかってきたという話もあった。谷口さんはこけちゃいましたし(彼のあたりからマラソンは陽性の存在になってきたように思う)。

長時間にわたる中継を、こんなに熱心に見続ける国民も珍しいらしい。箱根駅伝の視聴率が30%というのも外国人には理解しがたいものがあるだろう。円谷の自死に象徴されるように、マラソンは常に国威発揚の道具として認識されてきた。途中経過が国旗で示されるという方式が象徴的。だから金栗の目前に、あのぶっきらぼうな子役が登場するという限界ギリギリの描写が必要になってくる。

その意味でやはりこの「いだてん」は、ストックホルムというより“東京”オリムピック噺なのだと思う。

ふう。来週からはもうちょっと気楽にこの大河を楽しめそうだな。今回の視聴率はでも低下しそう。8%は維持してほしいけど。

第13回「復活」はこちら

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「ニューヨーク1997」Escape from New York (1981 アブコ・エンバシー)

2019-03-23 | 洋画

要塞警察」でメジャーデビューしたジョン・カーペンターの、今でもカルトな人気を誇る問題作。マンハッタン島が刑務所となっている設定で、そこへ大統領が拉致され、カート・ラッセルが救出に向かうという無理矢理さ。

リー・ヴァン・クリーフアーネスト・ボーグナインドナルド・プレザンスハリー・ディーン・スタントン……こんなメンツをそろえられたら面白くないわけがない。

もっとも、低予算なのも相変わらずで、女優は監督と主役のそれぞれの奥さんを起用しているというお手軽ぶり(笑)。特殊撮影にはジェームズ・キャメロンも参加しています。

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うまい店ピンポイント2019 春休みラーメン祭りVol.04 照月

2019-03-23 | 食・レシピ

Vol.03「四川料理 仁」はこちら

きのうは市役所に用事があった。ほんとうにありました。なぜ二度も言うかというと、いつもはラーメンを食べるためにだけ外に出ているからです。

で、市役所の駐車場にクルマを入れて、用事をすまし、おもむろに近くのラーメン屋へ。すみません。

昨年の年末に突貫工事で仕上がったらしい照月は、あのころよりもまたうまくなってました。おお。

おっとまもなく正午だ。地方公務員たちが大挙してやってくるぞ!急がなきゃ……自分も地方公務員だけど。

午後からは校長も行って絶讃。すごいな酒田ラーメン。あ、ちゃんと駐車場があったことはお知らせしておきます。

文下食堂篇につづく

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「雪の階」 奥泉光著 中央公論新社

2019-03-22 | ミステリ

昭和十年に始まるお話。とくれば昭和十一年二月二十六日のあの事件に収斂されていくのではと予感。

ヒロインは女子学習院に通う笹宮惟佐子(いさこ)。空恐ろしいほどの美貌の持ち主で、同時に囲碁と数学に長じている。意図的に、徹底して名探偵的キャラに設定してある(伏線)。

俗物で、天皇機関説を排撃することでようやく政治的に生き残ろうとする惟佐子の父親は伯爵。彼は娘のことがまったく理解できないでいる。

語り手は惟佐子と、彼女の“おあいてさん”(家柄の確かな娘を遊び相手に選択する風習が当時の貴族にはあったようだ)だった職業婦人の牧村千代子がメイン。同じパラグラフのなかで平気で語り手が交代するので油断がならない。

事件のはじまりは、惟佐子の親友、寿子の行方がしれなくなったことだった。彼女はその後、陸軍士官と富士の樹海で心中死体となって発見される。しかし惟佐子のもとへは、寿子が仙台から投函したハガキが送られてきていた……

悠揚迫らぬ語り口。昭和初期の風俗と、天皇機関説を批判することで世論が次第に国家主義に染められていく過程がじっくりと説明される。

速読のわたしが、このミステリを読み終えるのに二週間もかかってしまったのは、穏やかな展開がひたすらに心地よく、毎晩すぐにお布団のなかで気を失ってしまったからです(笑)。

しかし終盤は突っ走る。およそこれほど過激な思想と犯罪の動機がミステリのなかで語られたことがあったろうか。しかも、名探偵で語り手であったはずの惟佐子が、読者の意表を突くようにさまざまな男性に身をまかせていくのに驚かされる(それには理由がある)。

日本の天皇制について、奥泉光らしいシニカルで冷徹な考察がなされており、国家主義を突き抜けるとむしろ天皇制を……あ、ネタバレになってしまう。暴走する軍にしても、ある思想を体現する犯人にしても、その来し方、行く末はまことにあやうい。雪でできた階段、というタイトルはそれを象徴している。

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「要塞警察」Assault on Precinct 13 (1976)

2019-03-22 | 洋画

「ハロウィン」などのジョン・カーペンターのメジャーデビュー作。監督、脚本、音楽(すばらしい)、そして編集までこなしたワンマン映画。日本では劇場未公開。

ストリートギャングに娘を殺された父親が、必死の思いで復讐を成し遂げる。しかしギャングの仲間たちが大挙して彼を追う。父親はなんとか警察署に逃げこむが、署は新庁舎に引っ越し済みだった……
かなり無理のある設定。予算が足りなかったのが見え見え(笑)。

しかし見せる。ハワード・ホークスの「リオ・ブラボー」を下敷きにして、限定された空間で、くせの強いメンバーで強大な敵に立ち向かう。ちゃんとアンジー・ディキンスンのような鉄火肌の女性も用意されております。

署に侵入するギャングを撃ちまくる展開はほとんどゾンビ映画。思えば「ニューヨーク1997」「遊星からの物体X」「ゴースト・オブ・マーズ」と、カーペンターはこんな映画ばかり撮っていた印象。願わくばヒロインがもう少しアンジーばりにグラマラスだと……そのあたりも予算の関係でしょうか(笑)

その「ニューヨーク1997」につづく

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精霊の守り人みたび

2019-03-21 | 大河ドラマ

PART2はこちら

呪術師トロガイに、4時間もかけてメイクした高島礼子(美人である彼女を起用した意味が最後に理解できます)、聖導師に平幹二朗(急逝したのでシーズン3は鹿賀丈史に交代)、戦闘能力的にバルサに引けをとらないシハナに真木よう子……

強力なキャストと大森脚本があり、4K画像とCGで、およそ日本で撮影されたとは想像もできない映像がありつつ、どうにも面白くないんですよ。

それは一にも二にも展開が遅すぎるから。ドラマが進んでいかないの。あふれるほどの分量の原作がありながら、どういうことかしら。しかもシーズン2「悲しき破壊神」はお話が陰惨すぎてどうにも。オープニングが壇蜜の処刑シーンというのはちょっとうれしかったけど。

ところが、最終章にいたって爆発的に面白くなる。っていうか感動。どんな部分だったかというと、ジグロ(吉川晃司)とバルサ(綾瀬はるか)が親子として真の意味で和解する展開。

「わたしさえいなければと思ったはずだ。殺せ」

とジグロに迫るバルサへ

「お前とすごしたことを後悔したことは一度もない」

と抱擁するジグロ(の亡霊)。いやー、ドラマの王道とはいえ、これは泣けたな。そして長期シリーズのエンディングがひたすら静かであるのもすばらしい。

役者でうれしかったのは、あきらかにナチスドイツもモデルにしたタルシュ帝国のラウルをクールに演じた高良健吾。「横道世之介」の彼もすばらしかったが、あのルックスを存分にいかしていた。同様に、Dragon Ashの降谷建志が「八重の桜」の齋藤一役につづいてけっこうでした。

「STAR WARS」(一作目)や「ひまわり」(ソフィア・ローレン)などの要素もとりこみながら、少なくとも最終章は傑作。見続けてよかったよかった。そして、原作にもこの金言はあるのかな。

「誰かのために生きるなら、顔も知らない者のために生きろ」

為政者たるもの、こうでなくっちゃ。

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うまい店ピンポイント2019 春休みラーメン祭りVol.03 四川料理 仁(じん)

2019-03-21 | 食・レシピ

Vol.02「ラーメン哲 おやじ味噌篇」はこちら

チャリ通も三日連続となると行く店も限られてくる。足腰もへたってるし。

ってことで安全パイの三日月軒駅東店へ……臨時休業。

お向かいの麺屋新三へ……高校生のチャリがいっぱい。

そうなんだよな、春休みって高校生たちがラーメン屋にたむろす時期でもある。まあ、いまのうちに酒田のラーメンを食べておけ。で、県外に就職したり進学すると、鮭が帰ってくるように盆正月にラーメン屋にまた帰ってくるのよね。

さて呆然。どうしようとあてもなくチャリをこぐ……あ、あそこがあるじゃないか、機関区近くに「仁」がっ。名物の麻婆ラーメンをいただきました。営業マンとか作業服を着た人たち御用達の店でもある。確かに、ここに高校生たちが集まるって図は想像できないもんなあ(笑)。おいてある雑誌の見出しには「真梨邑ケイ撮り下ろしヘアヌード」と。高校生にはマニアックすぎます。おじさんは見たかったなあ(T_T)

Vol.04「照月」につづく

 

 

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精霊の守り人ふたたび

2019-03-20 | 大河ドラマ

PART1はこちら

侵略者として描かれるタルシュ帝国がしかし複雑なのだ。破った相手国の自治をある程度認め、有能な人材であれば異民族であっても登用。高い文明と技術力を誇り……どう考えてもこれはかつてのローマ帝国がモデル。彼らの侵略は、他国の民を豊かにするため、というお題目を兵は本気で信じている。

ふう、ようやく背景の説明は終わり。カンバル王は新ヨゴ国にコンプレックスをもっているとか、タルシュ帝国のなかにはヨゴ人もいるとかがわかっていただければ。

さて主人公のバルサは三十才くらい。女用心棒として凄腕だ。彼女はカンバル王によって父親を殺された過去があり、そのために父の友人である「王の槍」ジグロによって育てられ、槍術を学んだ。

バルサを演じるのが綾瀬はるか。ジグロは吉川晃司。このふたりは文句ないです。特に、アクションシーンが圧倒的に多いバルサに綾瀬はるかを選択したNHKは慧眼だ。コメディセンスが抜群の彼女が、実は運動神経がいいらしいことはわたしも気づいていましたよ(自慢)。

新ヨゴ国の王子チャグムがある事情で父親の帝(藤原竜也がいつものようにファナティックに演じています)に殺されそうになるのを救ったバルサは、チャグムの母親(木村文乃)に用心棒として雇われる。弱っちくてわがままなチャグムをバルサは叱り、鍛え上げ、チャグムのなかに宿った精霊の卵を……

画として、バルサとチャグムはどうしたって母と子のように見えるが、その姿が幼少期のバルサと、父親としてのジグロの姿に重なるように撮ってある。原作とは違う構造にしたのは脚本の大森寿美男の意図だろうか。

かつて「クライマーズ・ハイ」「64(ロクヨン)」と、横山秀夫のドラマ化に成功した(映画より面白かったです)彼のことだから、これは期待できる、と……ところが。以下次号

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うまい店ピンポイント2019 春休みラーメン祭りVol.02 ラーメン哲 おやじ味噌篇

2019-03-20 | 食・レシピ

「花火」篇はこちら

チャリ通なので遠くには行けない。となると候補はしぼられる。まずは7号線を南進してラーメン哲。ありがとう哲、いつもここにいてくれて。

ここは前よりおいしくなっている気がする。輪郭がはっきりしている味なので、下品だと思う人もいるかもしれない。しょせんロードサイドの店じゃないかと侮る人も。

でも、おれはこの味が大好き。ええそうですともお下品なオヤジですけれどもそれが何か?(笑)

「四川料理 仁」につづく

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明細書を見ろ!2019年3月号 平成

2019-03-19 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2019年2月号「退職」はこちら

もう平成生まれが同僚であることが普通になりました。そりゃそうですよね。“あれ”からもう三十年もたつんですから。

昭和天皇の容態が悪化し、連日のように記者発表があったあの頃。事実上、改元にむけて国民みんなが覚悟を決めているようなものだった。つまりは、平成から次の元号への移行と同様。表立って語るか小声で語るかの違いだけ。

日産のCMで井上陽水が

「お元気ですかぁ?」

と例の調子で語るのが

「不敬である」

とかいうわけのわからない理由で音声がカットされるというバカげた一幕もありました。

Xデーは昭和64年1月7日。吹上御所で午前6時33分に昭和天皇は崩御。以降、歌舞音曲は自粛という形で禁じられ、しかしテレビにはパイプオルガンの荘厳な曲が延々と流されました。

その結果、多くの人たちがレンタルビデオ屋に駆けつけたのである。カウンター前には長蛇の列。その日に会員になる人も多かったので、当時の会員証に単に「クイック入会様」とだけ印字されている人も。

改元で思い出すのは、小渕官房長官(当時)が「平成おじさん」と呼ばれるきっかけとなった記者会見よりも、だからビデオ屋の長い列だったりします。

昭和という時代の最大の特徴は、その長さ。もちろん歴史上最長でした。だから改元を経験したことのない人が圧倒的多数。さまざまな混乱が学校にも。まだしも卒業証書の刷り直しはなかったものの、昭和がずっと続くという前提だったものだから、昭和と印刷済みの書類が多かったので大活躍したのがスタンプ。こんな形です。


= 

これはどう使うかというと、この二重線の部分を昭和に当てて修正を意味したわけ。おそらく今度の改元でも平成の部分を修正するためにつくることになるでしょう。

×中おしゃれ化計画(笑)の一環としてデザインを一新した長40封筒には平成と印字してあるし(角2封筒はすでに抜いてあります)。他の学校も、新元号が決定するまで、自前で印刷した封筒を使用するなど、どこも苦労しているみたい。

さて、改元が混乱必至である以上、西暦に統一してしまえという論議も当然でてくる。逆に、保守派からは一世一元がどうしたのという突き上げも。

実は現在でも公文書に元号使用が強制されているわけではないらしい(意外でした)。「慣行」という日本らしいチカラが働いている結果、ほとんど元号が使用されているのだと。

事務だよりは意見発表の場ではありませんが、どんな形であれ強制的に一本化されるのだけは勘弁してほしいと思っています。外国人の流入が本格化すれば、否応なしに西暦使用は広がるはず。その流れにのりながら、都合のいいときだけ元号を使用する……そういうことでいいのでは(日本的)。

画像は「運び屋」 The Mule (2018 WB)

花作りに血道を上げ、ほとんど家族をかえりみなかった男。ネット時代に乗り遅れ、農場を手放すことに。麻薬カルテルは、そんな老人に目をつけた。老人であることだけでも当局の目をごまかせると。

88才のクリント・イーストウッド(昭和5年生まれ!)が90才の運び屋を演じ、いつものようにさらりと傑作に仕上げている。山形まで観に行った甲斐がありました。まだ最上や北村山は雪がいっぱい。

 2019年4月号「配当予算2019」につづく

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