ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ベニトンボ

2017-10-16 21:05:25 | トンボ/トンボ科

 ベニトンボ Trithemis aurora( Burmeister, 1839)は、トンボ科(Family Libellulidae)ベニトンボ属(Genus Trithemis)のトンボで、国外では台湾以南の中国中~南部及び東南アジアに広く分布している。日本国内では、1954年に鹿児島県薩摩半島南端に近い池田湖で発見されたのが最初の記録で、その後、近くの鰻池にも生息していることが報告された。その後の調査で、本種はこの池田湖及び鰻池周辺だけに生息し、沖縄県や鹿児島県の南西諸島には生息していないことが確認され、鹿児島県の一部に飛地的な分布をする種として知られていた。(鹿児島県産の本種は、国外のものよりやや小型)
 しかしながら、1980年頃から八重山諸島や沖縄本島で本種が採集されはじめ、本種が北上しつつあることが判明する。2000年以降になると高知県、徳島県、和歌山県でも目撃されるようになり、現在では、それらの地域では定着しているようである。分布域の北上については、地球温暖化などが原因と言われている。

 ベニトンボを撮るために、高知県四万十市を訪れた。本種は、平地~丘陵地の流れのゆるやかな川や水路、池沼やダムなどに生息する。全長は34~43mmで、ハラビロトンボより少し大きいくらいのトンボである。四万十市では、多くのベニトンボが見られた。狭い範囲をかなり俊敏に飛び回るが、草木に止まると近接撮影も可能であった。
 成熟すると体の色彩が変化するトンボは多く、ナツアカネやショウジョウトンボでは全身が真っ赤になるが、ベニトンボは、全身がショッキングピンクになる。更に全身に赤紫色の粉を生じ、複眼の上部は深紅に染まり、翅脈も赤く色付くのである。この特徴的な色彩はオスだけであり、メスは黄褐色のままである。

 ベニトンボは、初見初撮影の種で「昆虫リストと撮影機材」「蜻蛉目」で101種類目となる。

参考文献
朝比奈正二郎.1956.日本におけるベニトンボの発見.新昆虫,9(1): 51.
竹村芳夫.1958.郷土の昆虫図説(Ⅱ).SATSUMA,7(17):1-2.

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、すべて1024*683 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ベニトンボの写真

ベニトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボの写真

ベニトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボの写真

ベニトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボの写真

ベニトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 250(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボ(メス)の写真

ベニトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボ(メス)の写真

ベニトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.



最新の画像もっと見る

コメントを投稿