霧氷を撮るために、毎冬、様々な場所を訪れてきたが、前記事の「美ヶ原の霧氷」に掲載したように、念願であった長野県松本市の「美ヶ原」において霧氷を撮ることができ、一先ず、目標としてきた「高原霧氷」に区切りをつけることができた。そこで、それらをまとめたいと思う。
霧氷とは、着氷現象の一種で、氷点下の環境で樹木に付着して発達する白色や半透明の結晶構造が顕著な氷層の総称である。蔵王や北八ヶ岳等で見られる樹木が完全に氷や雪によって覆われた樹氷とは違って、過冷却にある霧や雲、空気中の水蒸気が昇華によって樹木に付着した小さな氷である。
霧氷は、11月頃になると高原や高層湿原、湖沼などで見られるようになるが、高原と湿原・湖沼では霧氷が付く条件が異なる。気温は、どちらも氷点下でなければならないのは同じだが、高原では、前線を伴った低気圧が通過した翌朝が良い。天候が荒れた日は、過冷却の霧や雲が高原の木々を流れて霧氷が付着するからである。一方、湿原・湖沼においては、前線を伴った低気圧が通過した翌々日の方が良い。湿原や湖沼は窪地にあることが多いため、天候が荒れた日でも過冷却の霧や雲は湿原や湖沼を流れない。しかし、西高東低の冬型の気圧配置が崩れて、移動性高気圧に広く覆われた朝は快晴無風で、放射冷却によって湿原や湖沼上の湿った空気が昇華によって樹木に付着し霧氷となるのである。霜が降りるのに似ている。
週末しか撮影に行くことができない私には、天候とのタイミングがマッチする確率は極めて低いが、行ってみなければ分からないという期待から、何度も空振りの遠征が続いたりもした。数年かけて湿原や湖沼の霧氷は、これまでに「上高地の田代池」「白樺湖」において撮影し、今後は「奥日光の小田代原」が目標であるが、高原霧氷は、「美ヶ原」「高ボッチ」「霧ヶ峰」で撮影してきた。これ以外にも「八千穂高原」「軽井沢」「清里」「八ヶ岳」「忍野八海」「山中湖」でも撮影したが、後記二か所は、富士山との組み合わせが目的であるから別にして、前記四か所は、どうしても絵にすることができなかった。霧氷は、他の地域でも見ることができるが、私にとっての霧氷の魅力は、「白く輝く繊細な美しさ」と、特にカラマツ霧氷の「整列しているようでも微妙な自然の揺らぎを感じる幾何学的光景」にある。それを表現する高原霧氷の写真は、「美ヶ原」「高ボッチ」「霧ヶ峰」でなければ撮れないと思っている。
霧氷の魅力を最大限に表現するためには
- 広大さ
- 光と影
- 繊細さと柔らかさ
以下に、「美ヶ原」「高ボッチ」「霧ヶ峰」において撮影した霧氷を、未掲載の写真を含めてセレクトし掲載した。霧氷を撮ろうと思っている方々に少しでも参考になれば幸いである。尚、霧ヶ峰においては、「ダイヤモンドダストとサンピラー」も撮影できるので挑戦していただきたいと思う。
お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、すべて1024*683 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。
1.霧氷風景の広大さを写す
霧氷/美ヶ原
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 20秒 ISO 100 -2/3EV (撮影地:長野県松本市/美ヶ原 2017.11.19 6:03)
霧氷/高ボッチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100 +1EV (撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ 2012.12.02 7:41)
霧氷/霧ヶ峰
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F16 5秒 ISO 400 +1EV (撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰 2013.1.27 6:33)
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2.霧氷の光と影を写す
霧氷/美ヶ原
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/50秒 ISO 100 -1/3EV (撮影地:長野県松本市/美ヶ原 2017.11.19 8:16)
霧氷/高ボッチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100 +1/3EV (撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ 2012.12.02 7:03)
霧氷/霧ヶ峰
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F16 1/5秒 ISO 100 +1EV (撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰 2013.1.27 6:39)
霧氷/高ボッチ高原
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/5秒 ISO 100 +2/3EV (撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ高原 2012.12.02 7:12)
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3.霧氷の繊細さと柔らかさを写す
霧氷/美ヶ原
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/50秒 ISO 100 +2/3EV (撮影地:長野県松本市/美ヶ原 2017.11.19 7:17)
霧氷/高ボッチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100 +2EV (撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ 2012.12.02 8:03)
霧氷/霧ヶ峰
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/40秒 ISO 640 +1EV (撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰 2014.12.07 8:44)
霧氷/高ボッチ高原
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/6秒 ISO 100 +1 1/3EV (撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ高原 2012.12.02 8:01)
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正に教科書でもあり 横にいて語りかけて下さってるようでした。今年から来年は霧ヶ峰体験してみたいと思います。待つ時間も楽しみですし、その瞬間は二度と無いものですので上手く表現したいです。ありがとうございました。
コメントいただきありがとうございます。
独り言なので好き勝手に書き綴りましたが、お悩みが解消されて嬉しく思います。
風景は一期一会で、同じ光景は二度と見ることができませんので、私もまだまだ撮ったことのない霧氷風景に挑戦すべく頑張りたいと思います。
霧ヶ峰をお会いするかも知れませんね。